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三菱UFJリサーチ&コンサルティング 調査部 主任研究員
8月から段階的に施行される「包装・包装廃棄物規則」
欧州連合(EU)の行政機関である欧州委員会は、EUの国際競争力の低下を問題視している。一方、そもそもこの問題は、欧州委員会が立案した様々な規制の結果、深刻化したものでもある。そうした欧州委員会による規制運営の在り方には、政府の経済に対する過剰な干渉を好まないドイツを中心に、EU内から強い批判が寄せられている。

写真=Hans Lucas via AFP/時事通信フォト
2025年3月5日、ブリュッセルの欧州委員会本部「ベルレモン」にて、欧州社会対話協定の署名式に出席したウルズラ・フォン・デア・ライエン欧州委員会委員長
その欧州委員会によって、EUでは8月11日から、新たに「包装・包装廃棄物規則(PPWR)」と呼ばれる規制の一部運用が始まる。このPPWRは包装廃棄物を削減し、発生を防止するとともに、包装材のリサイクルを推進することを目的とするもので、2025年2月に施行された。企業は新たに、このPPWRの順守を迫られることになる。
EUがPPWRで念頭に置くのは資源ごみ、特に廃プラスチックの扱いだ。EUはこれまで資源ごみの多くを輸出していた(図表1)。しかし中国が2017年末に環境対策の一環として資源ごみの輸入を禁止したことや、代わりにそれを引き取ってきたマレーシアが資源ごみの輸入に慎重になってきたことで、EUの資源ごみは行き場を失っている。

出所=ユーロスタット
要するに、PPWRはその高過ぎる環境意識の賜物というよりも、行き場のない資源ごみをどう処理するかという現実的な課題にEUは迫られていたわけだ。そこに欧州委員会が描く循環型経済(サーキュラーエコノミー)の発想が加わり、プラスチックなど資源ごみの利用の削減のみならず、リサイクルを進めるというストーリーが出来上がった。
問題はリサイクルにある。PPWRのもと、今後、EU域内で事業を行う企業には、リサイクルを念頭に入れた包装材を作ることが義務付けられる。そして、そうした包装材には一定の割合でリサイクルされた原材料を用いることも義務付けられる。リサイクルされた原材料を用いる割合の目標値もまた、年を追うごとに引き上げられるわけだ。
