定点観測|旬のライチョウと雷鳥写真家の小噺 #68
2026年6月に長野県松本市で開催されたイベント「信州山フェスタ」で、私が代表を勤める表現者グループ「作家結社 雷鳥」の立ち上げ興行を行なうことができた。ライチョウのディテールに強いこだわりをもつ私とその仲間たちによる不定期活動ではあるが、作家ごとに取り扱いジャンルが際立っているので、推しの作家を見つけていただければなおのことうれしい。
編集◉PEAKS編集部 文・写真◉高橋広平。
定点観測
信州山フェスタの参加後、毎年恒例となっている知り合いのライチョウ家族のヒナたちに会うために急いで稜線に上がった。ちょうど台風一過となった山の上は、下界の暑さとデスクワークでなまった体には大変助かるものであった。
いつもならヒナが孵化する前に現地入りしているが、今回はほぼ孵化と同時のタイミングでの入山となった。道中、まだ抱卵をしている最中の証であるその名も「抱卵糞」などを発見して、この縄張りの子はまだ孵化していないのかなとか思いを巡らせながらの稜線歩きをしていた。
そうこうして定点観測しているフィールドへ。ここには私が「知り合いの人妻」と呼んでいるメスのライチョウが住んでいる。とりわけこの個体に関しては私のことを認知しているようで撮影に協力してくれている。というのは人間の手前味噌な解釈であるが、実際、私という人間が抱卵期や育鄒期に近くにいることによって捕食者避けになっているので、このライチョウとしては都合が良いというのが真実であろう。何年もかけて私という存在を無害なものとして知ってくれたがうえでの関係性である。
さて、肝心のヒナであるが、今年も無事に孵っていた。黄色くてフワフワの小さい天使があたりをヒヨヒヨ言いながら動き回っているさまは筆舌に尽くし難くかわいらしい。
今回の一枚は、私の知り合いが産んだかわいいお子さんの写真である。被写界深度を極力狭くして撮影してポートレート感を強調している。ちなみに奥に母鳥とほかの兄弟姉妹たちが写っている。この子たちも「人を恐れないライチョウ」に育って欲しいものだが、登山者や撮影者はいろいろいる。彼らにはできるだけ良い出会いだけあるようにと願ってやまない。
