奈良工業高等専門学校(奈良高専)で学んでいる学生さんに、ものづくりの道に進んだきっかけや研究内容、科学を楽しむヒントなどについてのインタビュー。3回目は情報工学科専攻科1年中辻さん、指導教官の市川先生です。

 

 同インタビューは「奈良小学生新聞」(夏号)と一部連動しています。

 

 

1.「かっこいい」から始まった情報工学への道

 中辻さんが情報工学に興味を持ったのは中学2年生の頃。「パソコンを巧みに操る姿がかっこいい」という純粋な憧れがきっかけでした。当時、特にパソコンに詳しかったわけではなく、ご家族や友人に影響を受けたわけでもありませんでした。

 

 その興味の原点は、小学生の頃に遡ります。おもちゃのラジコンの代わりに買ってもらった小さなドローンを飛ばして遊んだ経験が、「空を飛ぶもの」への関心につながり、現在の研究の礎となっています。

 

 その後、自らインターネットで奈良高専の存在を知り、その自由な校風に惹かれて進学を決意。推薦入試で見事合格を果たしました。

 

 

2.高専での驚きと成長

 高専に入学して驚いたのは、想像以上の「自由さ」と、大学レベルの数学を学ぶ「授業の高度さ」でした。また、先生方がそれぞれの分野の博士号を持つ専門家であり、知識の深さに感銘を受けたと言います。

 

 一方で、中学時代は得意だった数学が、高専ではレベルが格段に上がり、大きな壁として立ちはだかりました。レポート課題の多さに押しつぶされそうになることもありましたが、友人や先生に相談し、助け合いながら乗り越えてきました。

 

 中辻さんは、「高校生の段階から専門知識を学び、手を動かしてモノを作る技術力が身につくのが高専の良さ」と語ります。

 

 

3.現在の研究:「人に優しいドローン」を目指して

 現在の研究テーマは「ドローンの動きによって、人間に親しみや愛着を感じさせること」です。

 

 将来、荷物の配達や災害救助などでドローンが日常的に空を飛ぶ社会が来ると予想されています。しかし、その時ドローンの出す音や風が、人々に「怖い」「迷惑だ」といった心理的な負担を与える可能性があります。

 

 そこで中辻さんは、ドローンの「動き」を工夫することで、そうした不安を和らげ、まるでペットのように人々に受け入れられる「優しいドローン」を実現できないかと研究しています。これは、工学だけでなく心理学的な視点も取り入れたユニークなアプローチです。

 

 研究では、プログラムの想定外のバグ(エラー)に直面するなど、困難も伴います。そんな時は一人で抱え込まず、指導教官の市川先生や研究室の仲間に相談することで、少しずつ解決の糸口を見つけていくそうです。

 

情報工学科の授業風景

 

 

4.未来の科学者たちへのメッセージ

 将来は大学院へ進学し、ドローンと人との関わりを探る「ヒューマン・ロボット・インタラクション」の分野で研究を続けたいと語る中辻さん。

 

 まずは興味があることに何でも挑戦してみてください。その中で「これだ!」と夢中になれるものを見つければ、モチベーションは自然と続きます。誰もやっていない新しいことを研究し、それが世の中の役に立つのは、とても楽しくてやりがいのあることです。

 

 

市川先生から

 

 算数や理科などの学問は、世界で不思議に思ったことや興味を持ったことを理解し、説明するための「言葉」のようなものです。学んでおけば、自分の世界がもっと広がります。大切なのは「なぜだろう~」という興味と、実際にやってみる「経験」。それが一人ひとりの個性を作っていきます。

 

【取材協力】

奈良工業高等専門学校(大和郡山市矢田町22番地)

https://www.nara-k.ac.jp/

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