日本では珍しくない「おひとり様」。イギリスでは?(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
日本では近年、「おひとり様」という言葉がすっかり定着し、ひとりで食事をすることへの抵抗感が以前よりも少なくなっています。しかし、海外には、そうした感覚が当たり前ではない国もあります。イギリス・ロンドンで暮らした経験を持つフードジャーナリスト・斎藤理子さんは、現地で「ひとり飯」のハードルの高さを何度も実感したそうです。第16回は「イギリスのレストランはカップルが基本」をお届けします。
◇ ◇ ◇
仕事帰りにひとり酒が楽しめる日本
仕事が忙しくて遅くなったときは、疲れているし、家に帰ってから料理なんてしたくないですよね。コンビニエンスストアなどで何か買って帰って家で食べるのでも良いのですが、仕事のことでパンパンになっている頭をクールダウンしたいし、帰宅する前に気持ちも切り替えたい。そういうとき、私はよく、ひとりで居酒屋に行きます。
居酒屋にもいろいろありますが、行くのは料理がおいしくて(大事!)こぢんまりとしている個人経営店。カウンターがあり、気心の知れた大将がいれば最高です。
席数が多いお店だとどうしてもガヤガヤしているし、グループ客も多いので、ひとり酒にはあまり向きません。個人的には、居酒屋よりも小料理屋タイプのお店が好きですし、ひとり酒のときも落ち着きます。
そこで、1時間ほどゆっくりとおいしいお酒と肴をいただき、サクッと帰るのが忙しいときのルーティン。女性ひとりでも安心してひとり酒が楽しめるのは、日本ならではの高い安全性と、ひとりでの食事が奇異に思われない素敵な食文化のおかげなので、本当に素晴らしいと思います。
そば店や回転寿司店のように、小腹がすいたときに何かちょっと食べられる店が種類豊富にあるのも、日本が誇るべき食文化ですね。
イギリスでは「誰かと食べる」のが基本
これがイギリス(に限らず欧米全般ですが)になると、性別にかかわらず、ひとり酒やひとり飯はなかなかにハードルが高くなります。
イギリスにおいて、食事の基本はカップルです。カップルではなく友人同士でも問題はないのですが、2人以上が原則。ある程度のレベルのレストランになると、ひとり客の予約は取らないところもあるくらいです。最近はだいぶゆるくなってきたようですが。
そもそもイギリスには、サクッと食べて飲んでというシステムがほぼありません。パブがあるじゃないかと言われそうですが、パブ飯はとてもじゃないけれど、サクッと食べるレベルの量ではありません。
都心の観光パブを除き、パブは基本的に常連さんが来る場所なので、知らないパブに女性ひとりでふらっと立ち寄るのは、なかなかハードルが高いです。まあ、常連になれば良いだけの話ではありますが。
郊外や地方のパブでよく見かけるのが、“毎日決まった時間にひとりで必ず来るおばあ様”です。身ぎれいにしていて、チップス(フライドポテト)などをつまみながら、ハーフパイントのビールをゆっくりと飲んで帰っていきます。
その席は決まっていて、いつも同じ場所に座ります。年齢の高い女性に限っては、女性のひとり飲みも特別奇異ではないのがイギリスです。