リニア中央新幹線の開業に向けて大きな節目です。静岡県の鈴木知事が7日、県内のトンネル工事着工を容認すると表明しました。
■対立から9年…ついに全線着工へ
リニア全線着工へ、9年にわたってストップしていた工事がいよいよ動き出します。
静岡県の鈴木知事:
「リニア中央新幹線工事にかかる自然環境保全協定を、事業者であるJR東海と締結することといたします」

7日の静岡県議会で鈴木康友知事は、「待った」をかけ続けてきたトンネル工事の着工を認める考えを示しました。
JR東海の丹羽社長:
「鈴木知事のご判断に改めて深く感謝申し上げるとともに、身が引き締まる思いでございます」
リニア中央新幹線は当初、2027年の東京〜名古屋間の開業を目指し、2014年に工事が始まりました。285.6キロのルートの中でまだ工事が始まっていないのが、静岡県をかすめるように通る南アルプストンネルの8.9キロの区間です。

静岡県の川勝前知事(2017年):
「デメリットしかないですね。何のメリットもありません。リニアそれ自体については」
2017年、静岡工区の着工に突然反対を表明したのが、前の川勝知事です。

トンネル工事で大井川の水量が減る恐れをはじめ、環境への影響の懸念などを訴え、何かにつけてJR東海の姿勢を厳しく非難しました。
静岡県の川勝前知事(2019年):
「(JRが)自分の会社が立てた事業計画の年次に対して、金科玉条のごとく相手に押し付けるのは無礼千万」
これには、愛知の大村知事も…。
愛知県の大村知事(2019年):
「静岡県のせいでリニアが止まっていいんですか?今のままでは、とにかく文句を言って、止めたいから止めるんだというふうにしか受け止められない」

この流れが大きく変わったのが2024年、川勝知事が失言問題で辞任したことです。
リニア推進を掲げた鈴木知事の誕生で、静岡県とJR東海の関係が大きく改善。そして、およそ9年のときを経て静岡工区の着工にゴーサインが出されました。
■「生きているうちに開通を」名古屋では“歓迎の声”
工事が先行して進む名古屋駅周辺でも、歓迎の声が聞かれました。
街の人ら:
「いいなと思います。反対するなりの理由があったと思うので、住民の方の理解を得た上での承認であれば、必要な時間だったのかなと思います」
「孫たちといろいろな所に出掛けられると思うと、すごくワクワクする」

東海道新幹線より古い1960年に開業した老舗の喫茶店では…。
喫茶店くらうんのマスター:
「やっと進むんだなと思って。名古屋は観光客が少ないから、日本人も外国人も来てくれるとうれしい」
二代目のマスターは、街の変化に複雑な表情も見せます。
喫茶店くらうんのマスター:
「下町だからね。年配者が増えて人口も減っているから、その割に土地の値段は上がっちゃって、住みにくくなっているんじゃないか。寂しい気もするけど、僕が生きているうちに開通してくれんかなと思います」
JR東海の丹羽社長は…。
JR東海の丹羽社長:
「1日でも早く工事に着工できるよう、鋭意準備を進めてまいります。当社としては早期開業を目指して全力を尽くしてまいりたい」

全線着工、そして開通へ膨らむ期待。JR東海は今後、地元での工事説明会などを順次進める計画で、着工時期は未定としています。
一方、深さが1キロ以上の区間が続く南アルプストンネルは、長野県や山梨県でも想定以上の難しい工事に。丹羽社長は、静岡工区の工事にかかる期間が、当初見込んだ10年より伸びる可能性も示唆しています。
■全体の6割で遅れ…「空白の8.9キロ」は“最難関”
“空白の8.9キロ”と言われた静岡工区ですが、鈴木知事の容認表明で大きな節目を迎えました。

今後は、7月18日に工事に必要な「自然環境保全協定」を静岡県とJR東海が結び、1日も早い着工を目指すとしています。
しかし、静岡工区は完成までに10年以上かかる最難関の工事とされていて、品川ー名古屋間のリニアの開業は2036年以降となりそうです。

そもそも現状でも、当初の開業予定の2027年までに間に合わないと公表している工区が全体の約6割あります。
愛知の坂下西工区では3年遅れ、岐阜県駅(仮称)も6年遅れなど、トンネル掘削の長期化や用地取得に時間がかかったことなどで遅れています。
静岡工区も、工事の進捗によってはさらに遅れ、その分開業が遠のく可能性があります。
