コンパイルハートより2026年6月25日に発売される新作学園RPG『Villion:Code(ヴィリオン:コード)』。対応機種はNintendo Switch 2、Nintendo Switch、プレイステーション5(PS5)、プレイステーション4(PS4)となっている。
企画プロデュースはファミコン版『女神転生』や『ペルソナ』シリーズを生んだ岡田耕始氏が担当し、岡田氏とともに『ペルソナ』を手掛けた里見直氏や『真・女神転生』の増子津可燦氏ら“戦友”も制作に参画。さらに、キャラクターデザインには、『攻殻機動隊 SAC_2045』などで知られるイラストレーターのイリヤ・クブシノブ氏を起用している。
近未来の学院都市を舞台に、人々が異形の生物に変えられてしまうパンデミックが発生。ゲノム編集を軸に“人間の業”に鋭く斬り込む物語が描かれる。
今回は、開発の核とも言える岡田氏、里見氏、増子氏へのインタビューをお届け。長きにわたって戦友としてゲーム作りをしてきた仲だからこそのやり取りや、『Villion:Code』へのこだわりなど、ファンならずとも注目してほしい。
※インタビューは2026年5月中旬に実施コンパイルハートの関連商品をAmazonで検索コンパイルハートの関連商品を楽天ブックスで検索週刊ファミ通にて発売記念特集が掲載! 本稿は、週刊ファミ通 2026年7月9日増刊号(No.1953/2026年6月25日発売)に掲載されている『Villion:Code』発売記念特集内のインタビューに加筆を行ったもの。
14ページにわたる特集では、物語のあらすじ、キャラクター、360°すべてが床となるダンジョン、スピード感溢れるバトル、ゲノム編集によるキャラクターの強化など、これまでに発表された魅力を一挙紹介。


さらに、キャラクターを演じるキャストのコメントも掲載しているので、こちらもお見逃しなく!

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岡田耕始氏(おかだこうじ)
企画プロデュースを担う。『女神転生』、『ペルソナ』の両シリーズを始め、長年にわたり多くの作品を手掛ける。この日はファンであるオアシスのTシャツを着用。
里見 直氏(さとみただし)
シナリオを担当。『ペルソナ』シリーズや『Caligula -カリギュラ-』など、多数の作品に参加。今回も写真には“分身”であるメガネのみが参加している。
増子津可燦氏(ますこつかさ)
サウンドを担当。岡田氏らと並ぶアトラスの創立メンバーで、アトラスから独立後もジャンルを問わず多彩な作品を制作。近年は同人でも精力的に活動している。
長年の戦友たちをも驚かせた、妥協しない岡田耕始氏のこだわり――まずは今回のプロジェクト全体を振り返って、率直な思いを語っていただけますと幸いです。
岡田
立ち上げ当初はいろいろありましたが、多くの方々の調整と協力があり、やっと完成したという感じです。この数年すごく長かったようで、あっという間だったような……。自分でも不思議な感覚がありますね。――里見さん、増子さんはどのくらいの時期・段階から参加されていたのでしょうか?
里見
かなり初期の段階から声を掛けていただいていました。そこから膨大なシナリオを書き上げて、ほかにもアフレコの監修を手伝ったり、特装版に同梱されているショートストーリーを書いたりと、けっきょく丸1年くらいは関わらせていただきました。――ひさびさに岡田さんと共闘したわけですが、どうでしたか?
里見
仕事でたいへんじゃないことなんてないんですけど、やはりたいへんでした(笑)。契約時に言われていた3倍は書かされましたからね。岡田さんは「2倍くらいだよ」と言っていましたけど。――2倍でもすごい数字ですよね(笑)。
里見
選択肢の数も僕の仕事史上で過去最高だと思います。岡田さんのこだわりで、300以上にはなっているんじゃないかな。

――各選択肢の後に分岐があるんですよね。
里見
物語的に大きな分岐になっているわけではありません。ただ、キャラクターの反応が変わったり、親密度が変化してその結果も考えて書かないといけなかったりして……。岡田さんが妥協してくれないので、ひたすら力業で書き連ねていった感じです。――増子さんも岡田さんから声が掛かって参加することになったのでしょうか?
増子
詳しい時期は覚えていないのですが、Facebookに岡田耕始を名乗る人物からいきなりメッセージが来たんですよ。まずは「本物?」と疑いました(笑)。調べてみると、同じ名前のユーザーがけっこういっぱいいて、どうも疑わしいぞと。そうしたら「本物だよ」と言ってきて。その後本人だと確認が取れて、とりあえずネット会議をして依頼を受けることになりました。――やり取りは基本的にオンラインでやっていたとお聞きしたのですが……。
増子
里見
僕も全部オンラインで打ち合わせをしていたので、直接会うのはじつは今日が23、4年ぶりです(笑)。
岡田
もうそんなになるんだ!――どういう流れで依頼があったんですか?
増子
資料がポンと送られてきて、あとは順ぐりに作っていきましょうと。――何曲くらい作られたのでしょうか?
増子
ゲーム中に曲名がついているので28曲ですが、アレンジ違いやジングル扱いにされてしまったものも含めるとかなりたくさん書きました。
岡田
アレンジが少し違うバージョンは「まとめて1曲ね」って事前に言って。何か悪いことをしているみたいに聞こえるな(笑)。――皆さんは制作に際して、どういったテーマやコンセプトで臨んだのでしょうか?
岡田
これはずっと言ってきたことですが、ゲームを企画するよりもっと前から興味を持っていた“ゲノム編集”ですね。それを自分なりに研究して今回の物語やシステムに落とし込んでいきました。
シナリオの部分では、さらに“人間の業”をテーマにしていて、大げさに言うと“生きかた”についてプレイヤーへのメッセージを盛り込んでいます。

里見
僕のほうでは、岡田さんがやりたいと言っているテーマをゲノム編集というモチーフで描いていくにあたって、それらを結びつけるために時事問題的な要素を多く取り入れることにしました。
また、大人のひとりとして若い世代の方たちへの謝罪の気持ちや、「このままだと本当にこのような世界になってしまうかもしれませんよ」という警鐘も込めたつもりです。
増子
僕自身は岡田くんのリクエストにしたがって曲を作っていっただけなのですが、古めの音楽に寄った方向の指示が多かったので、全体的にはあまりおしゃれな感じにせず、自分なりのオールドロックを中心にしたバンドサウンドっぽい仕上げになっています。
岡田
どうせ岡田と増子と言ったらオールドロックだろう、というのもあって、いろいろと細かいツッコミを入れさせてもらいました。
増子
そうそう。「ここのギターの音にはファズを入れて」とか、「ここのドラムの音色は」とか。「細かいなあ」と思いながら作っていました(笑)。アレンジを変えたりとか、いままでにないくらい細かくディレクションがあったと思います。――里見さんにもそういった細かいディレクションはあったのでしょうか?
里見
岡田さんは“主人公=プレイヤー”ということにこだわりの強い方なので、その観点からのツッコミはとくに多かったと思います。「もっとプレイヤーが主人公としてこの世界観に入れるようにしてほしい」と言われて修正していたら、すごく導入が長くなったり、その過程で選択肢が増えたりすることもあって、改めて言うのですがかなりたいへんでしたね。

主人公
――直接顔を突き合わせてゲームを作っていた20数年前と比べて、「岡田さん、変わったな」と思うところはありましたか?
里見
多少は丸くなったのかな?(笑) 昔は本当にキレて怒ったりしていましたから。また、昔はいつも複数本のタイトルを抱えていたからか細かい部分にはあまりツッこんでこなかったのですが、今回はとんでもなく熱心に細かいリクエストをしていましたね(笑)。

岡田
もう同僚とか上司とかの間柄ではなくなりましたが、自分としては本当に昔に戻ったような感覚でした。とくにシナリオへの思い入れは強かったので、オンラインでの打ち合わせ中もたまにヒートアップして、同席しているコンパイルハートのスタッフさんたちをビックリさせたこともありましたね。――お三方が数多くの学園RPGに携わってこられたことは知られていますが、どうして今回も学園ものにしたのでしょうか?
岡田
時代も変わってきていているので、これまでの蓄積があって作りやすいというのはそんなにありません。そもそも学園ものにしたのは、より多くの方に共感してもらいやすい舞台だからです。なぜなら、大半の方がこれまでの人生で学生生活を体験してきているだろうと。
やはりゲームプレイの内容が自分の実体験にリンクしていると、共感しやすいし、世界に入り込みやすくなると思います。


――BGM作りでは“学生っぽさ”を意識することはあるのでしょうか?
増子
学院内の会話シーンなどで流れる曲は、ノリがよくそれっぽい雰囲気で作ってはいますが、全体的に今回は重めの曲が多いですね。とくにダンジョンではそれぞれの“業”に沿った内容の曲になっているので、重いです。

――「こういう曲を作ってほしい」といった具体的な指示はありましたか?
増子
多くの楽曲は「こういう感じで」とサンプル曲など資料が送られてきたり、指示があったりしました。でもダンジョンに関してはそういうのがあったのは1ヵ所くらいで、あとはわりと自由に作れました。と言っても、自由に作って提出したら細かいリテイク指示が山のように来たのですが(笑)。それでもボツになったのは1、2曲くらいでした。
岡田
上がってきたらイメージと少し違うなんてこともあるのですが、それは違う場面で使ってみたり、アレンジを変えてもらって合わせたりしたので、まるっきりNGというのはあまりなかったと思います。
増子
楽曲は基本的に場面に合わせて作るので、あまり全体の設定については気にしません。ただ、あるあるなのが、曲を作って「これはいい仕上がりだな」と思ったら、過去の僕の曲に似ていたということ。そりゃあ似たようなシチュエーションの曲を作っているんだから、そうなりがちですよね(笑)。
そういうときは、メロディーラインだけ残してコード進行を変えてぜんぜん違う雰囲気にしてみるとか、強めのアレンジでもとのイメージを消すとか……。いろいろと工夫しています。
キャストたちの心を揺さぶった、誰もが背負っている“人間の業”――一方で、ゲノム編集や人間の業といった要素を世界観に落とし込むのは、かなり苦労があったのではないかと思われますが……。
里見
最初に岡田さんからいただいた企画には、“中高生がゲノム編集を勉強する学校”という設定が書かれていたんです。実際、ゲノム編集という研究分野は、頭のいい人が大学、大学院を通じて勉強を積み重ね、ようやく研究者の入り口に立てるくらいの険しい道なので、それを中高生がやるという設定にするにはどうしたらいいか、ということを考えました。ふつうじゃあり得ないと。だから、“そうせざるを得ないくらい追い詰められている世界”である必要がある。あとは連想式で設定ができていきました。――あり得なさそうな設定のようで、リアリティーも追求されているんですね。
里見
アドバンレジリエンス学院は、国連管轄で、世界中からエリートが集められた学校という設定です。6年間ふつうの勉強をしていたら間に合わないから、寝ているあいだも睡眠学習で効率よく学べる設備もあります。また、いつまでに基礎学力をつけて専門的な学習は何年生からやる……といったカリキュラムなども考えていました。
ほかにも世界中に同じような学校が9つくらいあって、この作品に登場する学校はアジア・オセアニア地域を担当しているので、環太平洋諸国の出身と思しき子どもたちが集まっているというわけです。さまざまな国籍の子どもたちがいるから、日本人も主人公ひとり。日本のゲームでこういう設定になっているものはあまりないかもしれませんね。


――細かく設定を作り込まれているようですが、その作業もたいへんでしたか?
里見
じつは岡田さんに声を掛けていただく前に、環境問題を題材にした物語を考えていた時期があったんです。そうしたら岡田さんから話が来て、「あれ、これ岡田さんがやりたいこととマッチするのでは?」と気付いて、提案してみたらバッチリハマりました。――うれしすぎる偶然ですね!
里見
下地があったおかげで、ゼロから考える苦労がなかったのはよかったですね。もっともゼロからではないというだけで、岡田さんとバチバチやりながら当初の予定の3倍もテキストを書いたわけですから、そうとう苦労はしていたと思いますが(笑)。――『Villion:Code』ではパンデミックが発生したり、東京湾の海上封鎖といった大事件が起こったりしますが、設定を作る際に世界の時事問題を取り入れたのはなぜでしょう?
里見
以前から、我々が暮らすこの世界はこのままだと『Villion:Code』のような世界になってしまうのではないかという危機感が自分にはありました。それでゲームの中で警鐘を鳴らそうと取り入れてみたのですが、ここ数年の世界情勢を見ていると恐ろしくなってきましたね。
岡田
もともとは人間の業を描くために、人類がくり返してきた行いを取り上げてみたり、ウイルスの問題に関しては人類が集団化や都市化を進めていけばこういった問題は避けられないよね、と想像して入れたものです。それが結果として現実世界とリンクしたような形になってしまうとは……。

――時事問題に近いセンシティブな話題は、修正が入ったりしなかったのでしょうか?
里見
実際、倫理的な観点で修正が入った箇所があります。もともと岡田さんから「いいから攻めろ、とにかく攻めろ」とハッパをかけられていて、僕自身も攻めるのは好きなので思い切りやったら……。
けっきょくコンパイルハートのスタッフの皆さんが、 話の流れは変わらないようにしつつ、具体的すぎる表現は調整してくださって、何とかこうして発売にこぎ着けられました。
――そんなことがあったのですね。もし気に入っているシーンがあれば教えてください。
里見
主人公たちがどうしてアドバンレジリエンス学院に来たのか、来ざるを得なかったのか、その理由が語られるシーンです。ダンジョンを作り出した人物たちだけでなく、主人公たちも業を背負って生きています。その思いの強さを感じてほしいですね。
岡田
僕は特定のシーンというよりは、声の収録で声優さんが『Villion:Code』の物語に触れて、すごく感情を揺さぶられていたのを見たときに驚かされました。さらに、声優さんだけでなく、演出担当のディレクターの方も感動してくれていたんです。
里見くんとふたりで作っているときは特別に思うことはなかったのですが、ああやって僕らの物語で心動く瞬間を見られたのが印象的でした。
――今度は増子さんにお聞きしたいのですが、作っていて楽しかった曲はありましたか?
増子
アレンジをしていて楽しかったのは主人公のテーマですね。メインテーマをアレンジしたものなのですが、さまざまな場面で使われています。曲のつながりなども考えて、微妙なところで手を入れている感じです。
里見
昔の増子さんの『女神転生』の感じがちょっと漂っていますよね。
増子
あとは『妄語』というダンジョンの曲は、岡田くんからかなり注文があったんですよ。「ドラムのハイハットの音をもうちょっと」とか「バスドラムをもう少し効かせて」とか。そういうことを言ってくるプロデューサーってなかなかいないと思います(笑)。
岡田
僕は昔バンドでドラムをやっていたのでこだわりが強いんですよ。
――シナリオ、音楽に続き、お気に入りのキャラクターを教えてください。
岡田
お気に入りというか、ギリギリまで作り込んで強い思い入れがあるのはアナスタシアです。設定の部分でも試行錯誤をして、実際にイリヤさんに描いてもらった後も、自分で「大丈夫かな?」と不安になるくらい何度もリテイクを出してようやく完成させたキャラクターなんですよ。

アナスタシア・イヴァノヴナ・ヴァレーリエヴツカヤ
里見
岡田さんは佐粧先生が好きなのかと思っていました。ずいぶんこだわっていましたよね。なんでこんなにこだわるのかと、ずっと不思議に思っていました。もしかしたら、彼女のようなことをご自分も体験されていたからなんだろうな、と思ったんですが……。

佐粧 葵
岡田
それは深く突っ込まずサッと流していただければ(笑)。里見くんは?
里見
僕はスシロですね。ノリがいいし、性格もものすごくいいやつなので、仲よくなったら一生ものの友だちになれるんじゃないかと思います。

スシロ・スギオノ
――スシロと言えば、留年しているなどの設定もユニークな感じになっていますよね。
里見
あれは岡田さんのこだわりです。いちばん年上で、留年していて後がないということですね。あとバスケットボールをしているのは岡田さんがバスケをしていたからです。――そんな事情があったんですね! 増子さんはお気に入りのキャラクターはいますか?
増子
イリヤさんが描いたという猫はちょっとだけ気になっています。
里見
イリヤさんがイラストだけでなくシナリオも担当したサブクエストがあって、そこに出てくるらしいんですよ。じつは僕たちも見たことはないのですが……。――気になる方はゲームをやり込んそのシナリオをプレイしてみてくれ、ということですね(笑)。さて、お三方には数多くのファンがいらっしゃいますが、制作時にファンの存在やファンの方々が支持している過去の作品群を意識することはあるのでしょうか?
岡田
個人的にも過去に囚われることはあまりないので、ファンに対して意識することはありません。それよりも、いままでにない“新しいもの”を作ることを意識しています。
もっとも、主人公=プレイヤーであることなど、自分のポリシーみたいなところは今回も投影されているので、そこがファンの皆さんには喜んでもらえるかもしれません。
里見
僕も同様で、お話を書くうえで自分なりの哲学のようなものはありますから、それが意図せず僕のカラーとして出てしまっているところはあると思います。
増子
自分の曲はあくまでゲームの一部なので、作っている最中に過去を意識することはありません。ただ、自分が気持ちいいメロディーとか音の流れというのは、なかなか変えることができないものなので、同じように感じられてしまう部分もあるかもしれません。――今回は完全新作としてさまざまな新しい試みを盛り込みつつ、終わってみればそれぞれのイズムみたいなものもしっかり発揮された結果になったというわけですね。それでは最後に、近々のお仕事の予定やファンへのメッセージをお願いします。
里見
20年くらい前からずっと、本を書きたいなと思っておりまして、今回ひさびさに特装版に短編小説のようなものを書かせていただいています。仕事をしながらだとなかなか難しいのですが、今後も機会があればまたやりたいなとは考えています。
増子
個人的にはゲームの仕事もやりつつ、同人活動も継続しています。以前クラウドファンディングで出させていただいた復刻CDもそうなのですが、終活として過去の作品を自分の手でよみがえらせていきたいという思いがあるんです。
あと、自宅でウチの奥さまがケーキを焼いて販売しています。そちらのほうも続けていければいいかなと思っています。
岡田
ゲーム作りでは、もっと新しい技術を追いかけていきたいなと思っています。また、今回は物語からゲームシステム、サウンドまで、本当に盛りだくさんの内容で作り込んで、これでもかというくらいに追い込んで、結果いいものに仕上げられました。ぜひプレイして楽しんでください。よろしくお願いします。

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