丸山達也・島根県知事が公表…膀胱がんステージ3でも温存できる可能性【中川恵一 がんサバイバーの知恵】

入院しても公務は続ける丸山達也知事(C)日刊ゲンダイ

【Dr.中川 がんサバイバーの知恵】

 島根県の丸山達也知事(56)がステージ3の膀胱がんであることを公表されました。抗がん剤治療の後、全摘手術を受けるそうです。抗がん剤治療に合わせて6月19日から7月2日まで入院し県議会を欠席されますが、タブレットなどを活用し、公務は続けるそうです。

 報道によると、丸山知事は5月上旬、わずかな血尿を見つけ、精密検査を受けたことが診断につながったといいます。しかし、見た目はもちろん顕微鏡でも血尿が認められないケースが2〜3割と少なくありません。早期発見は困難で、早期発見されるのは別の病気のための超音波検査などで見つかることがほとんどです。

 私も2018年12月に膀胱がんを見つけた時、血尿はありませんでした。自分で行ったエコー検査で偶然、見つかったものです。

 膀胱がんのステージ3は膀胱内にできた腫瘍が粘膜、上皮を越えて筋層に達した状態です。転移はありません。

 膀胱を全摘すると、尿をためて、排出することができなくなります。そのため尿の排出口となる尿路ストーマを腹部に設けるため、尿の通り道を変更する手術が不可欠です。尿は、専用の袋にためて、ある程度たまったらトイレに流します。

 心理的な抵抗が強いかもしれませんが、少しずつ慣れてきます。尿意がなくなるため、夜間頻尿がなくなります。夜間頻尿による不眠に悩んでいた人にとって、この点はプラスかもしれません。仕事への支障もほとんどありません。生活上の制限があるとすれば、入浴施設や海水浴などに出かけにくくなることでしょうか。

 そうはいっても、ストーマを嫌がる方がいるのは事実で、2014年に亡くなった俳優の菅原文太さん(享年81)もそうでした。07年にステージ2の膀胱がんと判明。医師に全摘を勧められて私の外来にセカンドオピニオンを求めて来られたのです。そこでお勧めしたのは、放射線治療のひとつである陽子線治療と抗がん剤治療を組み合わせたものでした。それにより、膀胱を温存し、診断時に半年から1年と宣告された余命を7年に延長することができたのです。

 転移がないステージ3の膀胱がんでは全摘が標準ですが、患者さんが温存を強く希望する場合など一定の条件で温存治療も選択できます。それは内視鏡でできるだけ腫瘍を切除してから、放射線と抗がん剤を追加する治療です。ただし、再発すると最終的に全摘になることもありますから、主治医とよく相談することが重要でしょう。

(中川恵一/東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授)

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