非公式経済が生む暴力の連鎖とUAEへと続く不透明な流通ルート

BLOOD GOLD

2026年06月19日(金)18時15分

Michele Cattani

地表に金が出現した──そんな情報でスーダンの山地に若者が殺到した2009年を皮切りに、アフリカのサヘル地域で「現代のゴールドラッシュ」が巻き起こっている。波はチャド、ニジェール、モーリタニアなど西の国々へ広がり、過去15年で数十万人が一獲千金を夢見てこの「非公式経済圏」に流入した。

熱狂は同地域の地政学的バランスを激変させ、深刻な紛争や暴力の火種になっている。採掘される金はスーダンの内戦を助長し、マリやニジェールの軍事政権の資金源となり、密輸業者や武装勢力の利権にも結び付いている。22年には、チャドとリビアの国境地域で、一晩に100人超が殺害される事件も発生した。

金採掘の労働条件は極めて劣悪だ。若者たちは地下100メートルの深層で、武装攻撃の脅威に怯え、現代の奴隷制さながらの過酷な労働に従事。鉱石から金を分離するには水銀やシアン化物が用いられ、環境と労働者の健康を汚染する。

採掘された金の多くは不透明なルートに乗りアフリカ大陸を離れる。最終的にたどり着くのは、今や小規模金採掘取引の中心地と化したアラブ首長国連邦(UAE)だ。


アフリカのサヘル地域

Photographs by Michele Cattani-Panos



撮影:ミケーレ・カッターニ 

1991年イタリア生まれ。大学で映画・メディア工学を学び、卒業後に西アフリカでAFP通信などのフォトジャーナリストとして活動。人道危機や気候変動、移民問題、紛争、クーデター、サヘル地域の文化など、幅広いテーマを取材する一方で、UN News(国連ニュース)の写真編集者も務める

【連載第1030回】Newsweek日本版 写真で世界を伝える「Picture Power」

  2026年6月9日号掲載

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