はらぺこライターの旅人間です。大阪の和菓子屋で「笑わず餅」というユニークなお菓子を目にしたことはないだろうか。これは陰暦6月16日の「嘉祥」にちなむ菓子で、江戸時代には菓子や餅を食べて健康を願う風習があったという。

現在6月16日は「和菓子の日」とされている。「あぁ、もう過ぎてしまったか…」という人もあるだろう。でも、大丈夫だ。

今回紹介する大阪市西区の廣井堂では、夏の定番菓子として「笑わず餅」が夏の期間は販売されている。厳密にいえば、陰暦六月十六日の「陰暦」とは旧暦のことで、2026年の旧暦6月16日は、新暦では7月29日にあたる。

「旧暦だから大丈夫」と言うのは、私による少し強引なこじつけではあるがが、同店で売られている「笑わず餅」は水羊羹のような夏菓子で、暑い日に冷蔵庫から取り出して食べるには最高なのだ。

6月16日は「和菓子の日」。これは全国和菓子協会が1979年に制定した記念日で、西暦848年、仁明天皇が6月16日に、16の数にちなむ菓子や餅などを神前に供え、疫病除けと健康招福を祈ったという「嘉祥」の故事にちなむ。

和菓子には小豆を使ったものも多く、赤い色には魔除け・厄除けの意味があるとされてきた。つまり、ただ甘いだけではなく、そこには健やかに過ごしたいという願いも込められているようだ。

なぜ、大阪では「笑わずに食べる」という風習に?

しかし、それにしても一体どうして、大阪では「笑わずに食べる」という風習になったのか。これは気になる。そこで、廣井堂の店主・小澤さんに話を聞いてみた。

すると期待通りの答えが返って来た。

小澤さんによると、「嘉祥の儀」では神前に黙って供えたことから、大阪らしく「黙って」ではなく「笑わず」にしたのが始まりだという。どうせなら面白いことをやろう。そんな発想から「笑わず餅」は生まれた。

今から約30年前、大阪府生菓子青年クラブが和菓子の日のお菓子として作ったもので、小澤さんも当時のメンバーの一人だった。大阪の夏の和菓子として、すでに四半世紀以上の歴史を重ねている。

この「笑わず餅」は店によって形や味わいは異なるが、小豆を使うこと、そして夏菓子であることが一つの共通点のようだ。

廣井堂の「笑わず餅」は、十勝産小豆のこしあんと大納言小豆のかのこ豆を使用した、わらび餅のようなもちもちとした食感と、水羊羹のようなみずみずしく滑らかな口当たりが楽しめる夏菓子である。

食べてみると、甘すぎることなく、冷たいので暑い日には最高だ。

「笑わず餅」は和菓子の日に食べるもの。そう思われがちだが、そうとも限らない。もちろん、店によって販売時期や方針は様々だろう。

この廣井堂に関しては、6月16日を過ぎても、8月下旬頃まで店頭に並んでいるようだ。細かい販売状況はお店の公式サイトなどで確認してほしいが、歴史ある店の和菓子は、やっぱりうまいのだ。

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