科学技術振興機構 (JST) のさくらサイエンスプログラムが支援するLOTUSプログラムは、日印両国の研究機関間の協力を促進し、ネットワークを構築することで、日印共同研究の強化を目的としている。この「LOTUSプログラムに迫る」という記事では、ハイデラバード大学の博士課程学生であるムリナリニ (Mrinalini)氏にインタビューを行った。ムリナリニ氏は、本プログラムへの参加の一環として、名古屋大学で研究を行っている。

ムリナリニ (Mrinalini) 氏(LOTUS被招へい研究員)
ハイデラバード大学博士課程学生

Q1. ご自身の経歴について教えてください

A1. 凝縮系物理学への関心がLOTUSプログラムにつながりました

私はインドのハイデラバード大学の博士課程学生です。凝縮系物理学を専門として物理学の修士号を取得し、現在は博士課程に在籍しています。LOTUSプログラムや以前の訪問を通じて、日本で磁性とスピン波デバイスに関する研究を行う機会を得ました。

Q2. LOTUSプログラムではどのような研究に取り組んでいますか

A2. 強誘電性と強磁性の両方の性質を持つ材料を活用に取り組んでいます

私はマルチフェロイック材料の研究に取り組んでいます。これは強誘電性と強磁性の両方の性質を示す材料で、そのため「マルチフェロイック」と呼ばれています。この研究室では、その応用を探っています。磁性の分野では、薄膜を作製・調製し、その磁気特性を研究しています。これらの材料を用いて「スピン波デバイス」を作製し、マグノニクス (磁性におけるスピン波の研究) という新しい分野を探究しています。現在、社会は半導体ベースの技術に依存していますが、近い将来、小型で消費電力の少ない論理デバイスを実現するため、情報処理に磁性だけを用いるデバイスの研究を進めています。

実は以前にも、デバイス作製の研究のため、短期間で何度か日本を訪れる機会がありました。大学を通じて再び来日する機会はもうないかもしれないと思っていました。しかしLOTUSプログラムを通じて長期滞在が可能となり、以前に始めた研究を完了する大変よい機会を得ることができました。ですから、このプログラムに感謝しています。

基礎日本語講座など、他の活動にも参加しましたが、とても役立ちました。滞在中、基本的な単語やフレーズを理解するうえで大いに助けになったと思います。また、このプログラムでは、全国各地のLOTUS参加者を対象とした研究発表会も開催されました。他のLOTUS奨学生と会い、その研究について話を聞けたのはよかったです。非常に有意義でしたので、今後のプログラムでもこうしたイベントがさらに増えればよいと思います。

ムリナリニ氏と指導教員の谷山智康教授

Q3. 日本と比較したインドでの経験について詳しく教えてください

A3. まったく新しい機器があふれる世界でした

日本に来るまで、インド国外に行ったことはありませんでした。ですから初めて到着したとき、先進国がどのようなものかを見て、とても気に入りました。こちらの文化や、あらゆる物事がきちんと整えられている様子はインドとはまったく異なり、そこが本当に気に入りました。全体として、すべてが素晴らしかったです。今回の経験では、昨年5月に来日し、7か月半かけて研究に取り組みました。

私たちにとって、最初の課題の一つは言語だと思います。来日前は日本語が分かりませんでしたし、こちらではほとんどの人が日本語しか話さないからです。大学内では問題ありませんが、外出先では難しさに直面することがあります。

インドでは、利用できる研究施設が最大の課題の一つです。使用できる機器が少なく、稼働時間も制限されています。例えば、受付時間が9時から17時までの場合、各機器に操作担当者が割り当てられており、その時間帯にしか使用できません。しかし日本では、機器を24時間365日利用できるため、研究ははるかに速く進みます。これは私が見てきた中で最も大きな利点の一つだと思います。

もう一つの制約は、限られた施設や利用可能な時間を活用するうえで、なお課題があることです。資金面の問題から、インドの研究機関では外部の支援を求めず、自力で修理を試みたり、問題を回避して機器や材料を活用する方法を探したりすることがあります。専門家の支援が限られるため、修理方法をよく知っており、このことが時には利点にもなります。この点は興味深く、機器の問題をうまく回避して対処する能力につながっています。

Q4. 将来のLOTUS奨学生へのメッセージ

A4. インドのすべての学生に応募してほしい素晴らしい機会があります

このプログラムには、さらに多くのインドの学生に応募してほしいと思います。私にとって本当に良い機会でしたし、特に、これまで日本に来たことがない人や、日本の大学で利用できる施設に触れたことがない人にとって、とても有益だと思います。このような機会は、研究の進め方に対する見方を変え、将来利用できるさまざまな機会に目を向けるきっかけにもなると思います。例えば、このプログラムを通じて短期インターンシップに触れる機会も得ているので、本当に良い経験になっていると感じています。

インドの学生の多くは、博士号取得後にポスドクの機会を考えます。私自身、日本のいくつかの大学を視野に入れていますが、インターンシップを通じて経験も積んでいるところなので、それが終わってから、日本でアカデミアの職に進むか、産業界の職に進むかを決めたいと思っています。楽しみにしています!

LOTUSプログラムに感謝しており、研究に適した場所を探しているインドの他の研究者にもお勧めしたいです。

ムリナリニ氏がLOTUSプログラムの一環として研究を行っている名古屋大学

ムリナリニ(Mrinalini):
ハイデラバード大学博士課程学生

ハイデラバード大学(凝縮系物理学専攻)で物理学修士号を取得し、現在は同大学で博士号取得を目指している。

2025年度 LOTUS被招へい研究員


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