垂直統合で推論効率化・インフラ受注、供給網管理や電力抑制で優位競う

小久保 重信

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2026.6.12(金)

NVIDIAが台湾で5月に開催したアジア最大規模のAIに関するコンファレンス「GTC台北」で講演するジェンスン・フアンCEO(同社の発表資料より)

 AIインフラの競争軸が、従来の学習用GPU(画像処理半導体)から、CPU(中央演算処理装置)を含むシステム全体へと拡大している。

 2026年5月下旬、米エヌビディア(NVIDIA)と米AMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)の経営トップは、それぞれ台湾で新たな事業戦略を表明した。

 自律的にタスクを遂行する「エージェンティックAI(AIエージェント)」の普及を背景に、演算資源の主役が交代しつつある。

 特に、5月27日に台北で新拠点の設立を祝ったエヌビディアのジェンスン・フアンCEO(最高経営責任者)は、台湾をAI革命の「核心拠点(エピセンター)」と呼び、年間約1500億ドル(約24兆円)を台湾に投じる計画を明かした(英ロイター通信)。

 同社は2030年までの稼働を目指し、新たな台湾本部を建設する方針だ。

「エージェント」が促すCPU需要の急増

 フアン氏は5月23日、同社が予測する2000億ドル(約32兆円)規模の将来的なCPU市場に、中国が含まれることを明らかにした(ロイター通信)。

 米中間のハイテク覇権争いが続く中、同社は依然として中国市場に長期的な需要を見いだしている。背景にあるのは、AIが自ら思考し実行するエージェント型へのシフトだ。

 従来のAIはチャット形式の回答が主だったが、エージェントは外部ツールの操作や計画立案など、複雑な逐次処理を繰り返す。

 こうしたワークロードでは、GPUが得意とする並列計算よりも、CPUによる処理の比重が高まる。

 フアン氏は、「将来的に世界には数十億のエージェントが存在するようになる」と予測した。

 それらエージェントが、ソフトウエアを操作するための主要エンジンとしてのCPUを動かす時代が来ると同氏は指摘する。この変化が、同社にとって未開拓だった巨大市場を切り拓くと強調した。

 同社は2026年3月、推論処理におけるトークン処理の高速化に特化した新型CPU「Vera(ベラ)」を投入した(発表資料)。

 米メディアのテッククランチによれば、同製品には主要なクラウド事業者などからの需要が集中しており、発売から約2カ月で、200億ドル(約3兆2000億円)規模の受注があった。

 さらに、この潮流はデータセンターにとどまらず、個人用のパソコン(エッジ)にも波及し始めている。同社は6月1日、AIエージェントの処理に特化したPC向け新型半導体「RTX Spark」を発表した。

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