2026年6月10日 午前7時30分

 【論説】3月末に辞職した中村保博前副知事の後任に県未来創造部長だった武部衛氏が就き、22日開会の6月定例県会は新たな体制で迎える。石田嵩人知事は県政ビジョン「躍動する福井」の実現に向け、補正予算案で政策的肉付けに意欲を示しており論戦が注目される。

 中村氏は2019年8月の副知事就任後、約6年半にわたり杉本達治前知事と県行政をつかさどってきた。2月県会では、セクハラ問題で辞職した杉本氏を側近として長年支えた責任を厳しく問われた。

 石田知事は退任を求める県会側の強い姿勢に応じる形で交代を決めたが、自身に地方行政の経験がないだけに中村氏を頼りにしており、当初は「(交代で)県政を停滞させて、もう一度県民の信頼を損ねてしまうのではないかという不安がある」と吐露していた。新体制で円滑、着実な県政運営の姿を示す必要がある。

 2月県会は本来、県民の暮らしに大きく関わる当初予算案の審議がメインテーマになる。ただ、今回は杉本氏のセクハラ問題への対応や中村氏を含めた県庁の体制刷新を巡る議論が目立った。6月県会は、中東情勢の混乱による物価高や原材料の供給不安に直面する企業や県民をどう支えるか、加速する人口減少の中で地域をどう守るのかといった幅広い視点での政策本位の議論を期待したい。

 県政の重要課題も待ち構える。自民党と日本維新の会による北陸新幹線敦賀―新大阪間の延伸ルート再検証は、現行の小浜・京都ルートを含む8案それぞれの費用対効果などのデータが近く示される見込み。その後に京都、大阪の府・市の意見聴取が行われ、与党が一致している7月のルート決定に向け、文字通りの正念場となる。石田知事はもちろん、副知事として敦賀以西の整備促進を担当する武部氏の手腕が試される。

 県内原発の使用済み核燃料の最終的な搬出先となる日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)は、26年度内の完成を目指しているが、青森県の宮下宗一郎知事は「確実に遅れるだろう」との認識を示す。県外搬出に向けた関西電力のロードマップ(工程表)の実効性を懸念する向きもある中、関電が県内3原発全ての敷地内で計画する乾式貯蔵施設の設置を認めるかどうかの判断が迫られる。

 来春の統一地方選で改選を控える県会側の姿勢も問われる。議案や行政運営のチェック機能だけでなく、理事者側が気づきにくいテーマや施策の新たな手法などを積極的に示す提案型の建設的議論が求められる。

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