〔特集〕新緑を楽しむ 初夏の絶景旅 新緑が眩しく、一年で最も美しい季節。この時期に訪れるにふさわしい自然に恵まれたエリアへ誘います。その土地の自然そのものを目的地とする「グリーンツーリズム」、新旧の芸術や建築、それらがもたらす地域活性化の足跡を辿る「アート・建築ツーリズム」、そして、大自然の中での体験に重きを置く「アドベンチャーツーリズム」――。自然の営みに深く没入し、体験を軸とする新しい旅のスタイルを紹介します。

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グリーン、アート・建築、体験・冒険型…… これが新しい旅のスタイル。 今、新しい旅のスタイルが広がっています。その共通項は、単に景勝地を回る観光ではなく、その土地ならではの文化に深く触れる没入型であること。

都心を離れ、自然豊かな農山魚村に滞在し、その土地の自然や文化を体感する「グリーンツーリズム」、全国各地で行われるようになったサイトスペシフィックな芸術祭に端を発する「アートツーリズム」や、新旧の建築を観光資源として街おこしをしようとする動きに乗じた「建築ツーリズム」、富裕層の間では世界的な潮流ともいわれる、大自然を生かした体験・冒険型の「アドベンチャーツーリズム」など ──。

夫婦で、親子で、友人同士で、あるいはお一人で。新緑が美しい行楽の季節。自然を満喫できる、気持ちのいい癒やしの絶景旅へご案内いたします。瀬戸内の絶景とともに
アート・建築ツーリズム 自然豊かな瀬戸内は、世界が注目するアートと建築の聖地でもあります。足を運ばなければ得られない、心揺さぶられる体験が待っています。「ひろしま国際建築祭2025」に沸いた
福山・尾道 建築探訪の旅 新旧の建築を軸に、地域活性化を図り、世界に向けて建築文化の発信を続けようとする瀬戸内の試みを紹介します。

常石グループCEO河野さん。神勝寺無明院本堂前の枯山水「無明の庭」(右)と「阿弥陀三尊の庭」(左)にて。

2025年、広島県の福山市と尾道市にて国際建築祭「ひろしま国際建築祭2025」が開催され、延べ20万人を超える来場者を集めました。中心的な役割を担ったのが、広島県福山市を拠点に、海運、造船、環境、エネルギー、ライフ&リゾート事業を展開する常石グループ。

これまでに、前記事で紹介した「神勝寺 禅と庭のミュージアム」や、建築家・堀部安嗣が設計したクルーズ船「ガンツウ」、谷尻 誠と吉田 愛が率いるサポーズデザインオフィスによる「ONOMICHI U2」、スタジオ・ムンバイによる「LOG」などを手がけ、今後も多彩な試みを予定しています。

なぜ地域活性化の核として建築に着目したのか。グループCEOの河野仁至さんに話を伺いました。

「常石グループは、1903年に広島県福山市沼隈町常石で海運業からスタートしました。まずは瀬戸内にあるこの地に、ほかの地域と同様の文化的な豊かさをもたらし、地域に貢献したいという思いがありました。良質な建築に日常的に触れることが、人々の意識や考え方によい影響を与えるのではないかと考えています。建築は一部の限られた人のためのものではなく、不特定多数の人々が見て、触れることができるもの。また、新たに建てるものだけでなく、これまでにあった建築をリノベーションし、光を当てて財産とすることで、地域全体の価値を上げ、次世代に繫げていくことができます」

また、「ひろしま国際建築祭2025」開催後の地域へのインパクトについて、河野CEOはこう語ります。

「日本各地のみならず、世界から多くの人に来場していただきました。それが住民にとっての誇りとなったように感じています。また、建築に対する目線が濃くなり、建築との距離感が縮まったのではないかと思います」

イベントを通じて地域住民の意識を変えるきっかけづくりまで行うという、まさに理想的な街おこしの形を体現。2028年に開催される2回目の「ひろしま国際建築祭」も楽しみです。

[広島県モダン建築MAP]
1.大開口と水盤が美しい市民憩いの公共施設
まなびの館 ローズコム(福山市) 図書館と生涯学習施設が一体となった複合施設。レンガ、ガラス、木、水がバランスよく組み合わされた建築は、館内で読書する人、周辺の公園を散歩する人の両方に開放感をもたらしている。
※「ひろしま国際建築祭2025」の関連施設ではありません。

広島県福山市霞町1‒10‒1
TEL:084(932)7265
開館時間:施設により異なる

2.神勝寺 禅と庭のミュージアム(福山市) 「ひろしま国際建築祭2025」のメイン会場の一つとなった寺院。新緑、紅葉の名所としても知られる。

広島県福山市沼隈町大字上山南91
TEL:084(988)1111
拝観時間:9時~17時(最終受付16時30分)
不定休

3.尾道水道を望む全長63メートルの展望デッキ
千光寺頂上展望台PEAK(尾道市) 標高144.2メートルの千光寺山に広がる千光寺公園の頂上に、2022年に完成した展望台。設計は建築家の青木 淳と品川雅俊。螺旋状のスロープとまっすぐに延びる展望台の組み合わせが独創的。先端からは尾道大橋が望める。
※「ひろしま国際建築祭2025」の関連施設ではありません。

広島県尾道市東土堂町20‒2(千光寺公園内)
TEL:0848‒38‒9184
24時間入園可能 無休

4.千光寺山中腹の築古住宅がモダンな観光目的地に変貌
LOG(尾道市) 1963年に建てられた集合住宅を、国際的に高い評価を受けるインドの建築集団「スタジオ・ムンバイ」がリノベーション。カフェやギャラリーを併設したホテルとなっている。

広島県尾道市東土堂町11‒12
TEL:0848‒24‒6669
営業時間:店舗により異なる 無休
URL:https://l-og.jp/

5.千光寺公園のシンボル。安藤忠雄が新館を増築
尾道市立美術館(尾道市) 1980年に開館した切妻屋根の本館に沿うように2003年に新館が建てられた独特な形状の美術館。猫が多い街として知られる尾道らしく、エントランスには大きな猫のオブジェが飾られることも。

広島県尾道市西土堂町17‒19(千光寺公園内)
TEL:0848‒23‒2281
開館時間:9時~17時(最終入館16時30分)
月曜定休
URL:https://www.onomichi-museum.jp/

6.1940年代建設の海運倉庫をサイクリスト向け施設に改修
ONOMICHI U2(尾道市) サポーズデザインオフィス/谷尻 誠+吉田 愛が1943年築の倉庫をリノベーションし、2014年にオープン。サイクリスト向けホテルに、レストランやベーカリー、ショップなどを併設。

広島県尾道市西御所町5‒11
TEL:0848‒21‒0550
営業時間:店舗により異なる 無休
URL:https://onomichi-u2.com/

(次回に続く。この特集の記事一覧はこちらから>>)

この記事の掲載号

『家庭画報』2026年06月号 家庭画報 2026年06月号

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