5月23日(土)、JR東海と伊豆箱根鉄道が連携して特別列車「HAMA-IZU サイクルトレイン」を運行。この列車は、自転車を解体せず、そのまま車内へ持ち込めるのが最大の特徴。さらに、浜松エリアから伊豆半島のサイクリング拠点・修善寺までダイレクトにアクセスできる1日限定の特別企画だ。
「伊豆で走りたいけれど、輪行が面倒……」。そんなサイクリストの悩みを解決してくれる今回の「HAMA-IZU サイクルトレイン」。ここではバイシクルクラブ編集部員が静岡駅から乗車し、修善寺到着後に中伊豆エリアを走行。サイクリストにとって理想的ともいえる移動体験をレポートする。
輪行袋不要! 愛車と一緒にホームへ

通常、自転車を列車に載せる場合は、「輪行袋」と呼ばれる専用の袋への収納が必要になる。そのため、一部の愛好家だけの楽しみ方になりがちだ。しかし、HAMA-IZU サイクルトレインでは、その手間が一切不要。
駅構内で受付を済ませたら、そのまま自転車を押してホームへ向かう。慣れない輪行作業に時間を取られることもなく、ライド前から余計なストレスがない。今回、列車はJR東海道線の浜松を出発し、途中、用宗、静岡、富士に停車しながら三島へ向かう。
今回、浜松から乗車した大場さんは、初めてのサイクルトレイン体験だという。本州を縦断し北海道を走った愛車を列車に持ち込めたことに感動し、思い出となる写真を撮影していた。
途中、由比など景勝地を楽しみながら東海道線で乗り換え地点の三島駅へ。ホームにはロードバイクやクロスバイク、小径車、さらに一般車など多様なサイクリストが集まり、さらに伊豆箱根鉄道駿豆線のサイクルトレインへ乗り換える。

珍しいサイクルトレイン同士の乗り換え JR東海から伊豆箱根鉄道へ

今回のHAMA-IZU サイクルトレインで印象的だったのが、三島駅での乗り換えだ。
JR東海のサイクルトレインから降りたサイクリストたちが、そのまま伊豆箱根鉄道駿豆線のサイクルトレインへ移動する体験は、普段では味わえない。
ホームには多くのロードバイクが並び、まるでサイクルイベントのスタート会場のような雰囲気。通常の輪行では、自転車を袋から取り出したり組み立てたりする作業が必要だが、この日は愛車を押しながらそのまま乗り換えられる。サイクリストにとって、これ以上ないスムーズな移動体験だった。

じつは伊豆箱根鉄道駿豆線では、自転車をそのまま持ち込めるサイクルトレインを通常運行している。ただし、利用できるのは1列車あたり最大6台まで。乗車できるスペースも先頭車両の乗務員室付近に限られている。
それに対し、今回のHAMA-IZU サイクルトレインは臨時列車として運行され、20名を超えるサイクリストが一度に乗車。普段の駿豆線サイクルトレインでは見られない規模感となった。
浜松から参加した三宅さん親子。このあと西伊豆スカイラインを目指した。
サイクルトレイン同士が接続し、多くのサイクリストがまとまって伊豆へ向かう——。鉄道と自転車の連携による、新しい移動スタイルを象徴するような場面だった。
伊豆箱根鉄道線に入ると、沿線の風景は一気に伊豆らしい雰囲気へ。山並みや田園風景を眺めながら進む約1時間は、まさにサイクリング旅のプロローグだ。
修善寺駅のホームに集まる参加者
車内では警察官による青切符に関する安全教室も開催

講話では、青切符に関する交通違反の取り締まり強化だけでなく、伊豆エリアで実際に発生した自転車事故についても紹介された。
講話の中で警察官は、「青切符制度の導入によって道路交通法そのものが大きく変わったわけではありません」と説明。そのうえで、現在重点的に取り締まりが行われている違反として、走行中のスマートフォン使用(ながら運転)、遮断機が下りた踏切への立ち入り、ブレーキのない自転車の運転を挙げた。
また、静岡県内でもすでに青切符による取締り事例が発生しており、自転車利用者に対する指導・取締りが本格化していることも紹介。さらに、信号無視や一時不停止についても、他の車両や歩行者に危険を及ぼした場合には取締りの対象となるため、「事故が起きなければ大丈夫」という認識は通用しなくなっていると注意を呼びかけた。
伊豆ライドを楽しむためのサイクルトレインだが、車内では改めて交通ルールやマナーを確認する機会も設けられた。参加者たちは熱心に耳を傾け、安全なサイクリングへの意識を高めていた。
修善寺駅ではサイクリストを歓迎するおもてなしも
修善寺駅に到着すると、美しい伊豆創造センターのスタッフが参加者を出迎えた。
修善寺駅前では、美しい伊豆創造センターがライド前の補給に役立つエネルギーゼリーをはじめ、推奨サイクリングコースを掲載したマップ、協力店舗で利用できる商品割引券などを参加者に配布した。初めて伊豆を訪れるサイクリストにとっても、現地での楽しみ方が分かりやすい心配りだ。
修善寺を拠点とする中伊豆エリアは、伊豆半島の中でも特にサイクリング環境が充実している地域のひとつ。伊豆半島の中央部に位置する中伊豆は、自然・温泉・歴史が調和する地域で、狩野川沿いの平坦路から天城方面の山岳ルートまでコースバリエーションが豊富。伊豆半島全体を巡るサイクリングの拠点として高い人気を集めている。
その後は参加者全員で記念撮影を実施。輪行の手間なく伊豆までやってきたサイクリストたちは、これから始まるライドへの期待に胸を膨らませながら、それぞれが選んだコースへと走り出していった。
伊豆のサイクリング&グルメをフリープランで満喫
浜松から参加の岡本さんは地元の仲間と修善寺駅で合流し、達磨山を目指した
西伊豆スカイラインの本格的なヒルクライムへ向かう人、温泉やグルメを目的にのんびり巡る人、そして地元の仲間と合流してオリジナルルートを楽しむ人など、楽しみ方はさまざま。
サイクルトレインはあくまでスタート地点であり、その先には伊豆ならではの自由なサイクリング旅が広がっていた。

上級者向けの西伊豆スカイライン・ヒルクライムコースでは、だるま山高原レストハウス(標高約620m)を通過。天気が良ければ富士山を見ることができる。この日は富士山こそ見えなかったものの、眼下に広がる駿河湾の風景を満喫した。
編集部山口は戸田峠から海岸へ。チェレステカフェに立ち寄り、名物ハンバーガーを楽しんだ。
ライドの途中で立ち寄る温泉や地元グルメも伊豆ならではの魅力。参加者は走ることだけでなく、お蕎麦やおはぎ、ハンバーガーなども楽しみ、再び修善寺駅へと戻った。
袋井にある自転車工房りんりんのメンバー3人
スペシャライズド静岡に集まるメンバーは、修善寺駅で合流した地元メンバーの案内でライドを楽しんだ。
帰りもそのまま乗車。最後まで快適なサイクル旅

ライドを終えた後は、修善寺駅から再びサイクルトレインへ乗車。
疲れた身体で輪行作業をする必要がないのは、想像以上に快適だった。気軽に列車へ乗り込み、そのまま座席で休める。最近ではロードバイクにもディスクブレーキが採用され、以前よりも「帰りの輪行が面倒」という声も多いが、この列車なら最後までサイクリングそのものに集中できる。
守屋さん「静岡県は東西に長く、浜松から伊豆へ走りにいくには躊躇してしまいます。でも、今回のような愛車をそのまま持ち込めるサイクルトレインを利用すれば気軽に楽しめます。こうした企画はうれしいですね」

HAMA-IZU サイクルトレインの車内では、サイクリスト同志の交流もあり、単なる移動手段ではなく、「移動そのものを楽しむサイクルツーリズム」の可能性を感じさせる取り組みだった。
今後も継続開催が期待されるHAMA-IZU サイクルトレイン。次回開催時には、ぜひ愛車とともに体験してみてほしい。
HAMA-IZU サイクルトレイン概要
運行日:2026年5月23日(土)
往路:浜松駅 6:05発 → 修善寺駅 10:10着
復路:修善寺駅 15:58発 → 浜松駅 19:11着
JR線使用車両:313系3両編成
伊豆箱根鉄道線使用車両:1300系3両編成
サイクルトレインチケット:片道550円
別途、各区間の乗車券およびJR線指定席券が必要
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