欧州委員会は5月28日、中国系格安通販プラットフォーム「Temu」に対し、デジタルサービス法(DSA)違反として2億ユーロ(約370億円)の制裁金を科したと発表した。Temu上で販売される違法商品のリスクや、それによるEU消費者への被害を、十分に特定・分析・評価していなかったと判断したためだ。
欧州委員会は、調査で得た証拠から、EUの消費者がTemu上で違法な製品に出くわす可能性は非常に高いとしている。DSAは、対象に指定された「超大規模オンラインプラットフォーム(VLOP)」に対し、サービスに関わる構造的なリスクを十分に評価し、それに応じた緩和措置を取るよう義務付けている。
欧州委員会は、Temuが2024年に実施したリスク評価について、法が定める基準を満たしていなかったと指摘した。
具体的には3点だ。評価が「Temu自身のサービス」に関してではなく、EC業界全体のリスクに関する一般的な情報に基づいていたこと。EUの消費者が違法商品に遭遇する頻度を大幅に過小評価していたこと。そして、レコメンドシステムや提携インフルエンサーによる販促プログラムといったサービスの設計が、違法商品の拡散リスクをどれだけ高めうるかを適切に評価していなかったこと、の3点だ。
調査の一環として実施した覆面調査では、抽出した充電器の非常に高い割合が基本的な安全試験に不合格となり、テストした乳幼児向けおもちゃの高い割合で、中程度〜重度の安全リスクが確認されたという。リスクの内容は、法定の安全基準を超える化学物質が含まれていることや、取り外し可能な部品による窒息の危険などだとしている。
欧州委員会は2024年10月31日、Temuがプラットフォーム上で違法な商品が広まることに関するシステミックリスクを評価する義務などについて、正式な調査手続きを開始した。2025年7月に予備的所見をまとめており、今回はそれをDSAに不適合と認める「非適合決定」として確定させた形だ。決定の根拠としたのは、Temuの2024年と2025年中間版のリスク評価レポート、欧州委員会が2024年6月28日と同10月11日に出した正式な情報提供要請への回答、第三者から共有された情報、独立した検査機関による覆面購入、EUの税関や市場監視当局のデータなどだとしている。
Temuは2026年8月28日までに、リスク評価義務違反を是正するための対応計画を欧州委員会に提出する必要がある。提出後、加盟国の規制当局で構成する欧州デジタル・サービス委員会が1カ月以内に意見を発出し、欧州委員会がさらに1カ月以内に最終決定を採択する。非適合決定に従わない場合、定期的に発生する制裁金の支払い対象になる可能性があるとしている。
テクノロジー主権・安全保障・民主主義担当の上級副委員長を務めるHenna Virkkunen氏は「リスク評価は形式的な手続きではなく、DSAの背骨だ。Temuのリスク評価は具体的なリスクを過小評価しており、Temu固有の事情を踏まえた具体性に欠け、確かな証拠に基づかず、包括的でもない」と述べた。
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