国の文化審議会の答申で、民家としては全国初の国宝に指定される見通しとなった箱木家住宅主屋(神戸市北区山田町)と旧古井家住宅(姫路市安富町)。兵庫県内の建造物の国宝指定は、1955年の太山寺本堂(神戸市西区)以来となる。そのうち、箱木家住宅の51代当主・箱木真人さん(94)は「責任は重いが、しっかり守っていきたい」と語った。(浜端成貴)

国宝に指定される見通しとなり、喜ぶ箱木家51代当主の真人さん(神戸市北区で)国宝に指定される見通しとなり、喜ぶ箱木家51代当主の真人さん(神戸市北区で)
箱木家住宅=兵庫県教委提供箱木家住宅=兵庫県教委提供

 箱木家は土豪として、地域の神事を取り仕切る「下頭屋」を務めた家柄とされ、古井家は名田を経営して年貢などの納入責任を負った
名主(みょうしゅ)
であったと伝わる旧家で、ともに建物は入り母屋造りの
茅葺(かやぶ)
きとなっている。

 近年の科学的調査の進展に伴い、神戸市と姫路市教育委員会は2018年から共同調査を進めてきた。最新の年代測定技術や工具痕の確認などで、箱木家住宅主屋は鎌倉時代末期から室町時代前期にあたる14世紀頃、旧古井家住宅は15世紀頃の建築物であることを確認した。

 箱木家住宅は戦乱や都市化を経ながら、1977年まで実際に住居として使用されていた。呑吐ダム建設に伴い、現在地に移築されたが、離れを含む両棟とも67年に国の重要文化財に指定されている。調査に携わった神戸大の黒田龍二名誉教授(建築史)は「中世民家の姿をこれほど良好な状態で残している例はない。大工の技術水準は高く、居住者による維持管理も非常に丁寧だった」と高く評価した。

 現在は土日祝日に一般公開されており、箱木家が管理している。真人さんは「代々受け継がれてきた建物なので、国宝になることは大変名誉なことだと思う。責任は重いが、しっかり守っていきたい」と話した。住宅は今夏、耐震化に向けたボーリング調査を実施し、来年度から耐震工事を進める予定。23、24両日には神戸市文化財課学芸員による現地解説も行われる。

地域の魅力向上に期待旧古井家住宅=兵庫県教委提供旧古井家住宅=兵庫県教委提供

 旧古井家住宅は「無災の千年家」と呼ばれ、江戸時代から地域で大切に守られてきた。床下には「亀石」と呼ばれる大石があり、厄よけの象徴として伝えられる。豊臣秀吉が姫路城築城の際、験担ぎとして建築部材の木材を使ったとの伝説も残る。姫路市教委文化財課の福田剛史係長は「地域で大切に守られてきた歴史があり、残るべくして残った建物だと思う」と話す。

 1968年頃まで一族が居住していたが、99年に旧安富町へ譲渡され、平成の大合併に伴い姫路市所有となった。現在は土日祝日に一般公開されている。来年度から耐震診断を行い、順次茅葺き屋根の修理を進める。福田係長は「姫路市は姫路城のイメージが強いが、市北部にも国宝が誕生することで地域の魅力向上につながれば」と期待する。

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