沢井史
2026/05/19
(最終更新:2026/05/19)
#関西六大学野球
#大阪商業大学

関西六大学リーグを代表する打者となった大阪商業大の春山陽登
今シーズン初の本塁打を5月3日の大阪学院大戦で放ち、リーグ通算10本目となった大阪商業大の春山陽登(あきと、4年、敦賀気比)は、今年の関西六大学リーグを代表する右の強打者だ。
今季初スタメンで復調示す
リーグ戦デビューした2年秋に神戸学院大戦で連盟初となる1試合3本塁打を放ち、さらに1試合の最多塁打記録(12)も更新した。その頃から「2年後のドラフト候補」として名前が一気に広まり、初めてのベストナインに選出された。さらに関西六大学の新人賞にあたる平古場賞、担当記者クラブ賞と“三冠”を達成した。逆方向にも強い当たりを連発。パワーとパンチ力を備え、3年春秋も計5本塁打をマークしている。
だが、この春のリーグ戦は開幕直前に右足首をねんざし、開幕カードの大阪経済大戦は3試合とも途中出場にとどまり、快音は響かなかった。3節目の2カード目となる4月18日の龍谷大戦では指名打者として今季初めてスタメン出場し、2安打1盗塁と復活した姿を見せた。

2年秋にデビューしたリーグ戦で三冠を達成した
焦りを越えて今に集中
大学ラストイヤーが始まる春のリーグ戦。昨年までの実績もあり春山への注目度は高く、春山が打席に立つと、スタンドにいるNPBスカウトがビデオやタブレットなどで動画を撮影し始める。試合前のアップやノックなど試合以外の動きを目で追われることも、昨年より格段に増えた。
だが、春山の中にはある覚悟があった。
「4年生の春のリーグ戦は、(2年上の渡部)聖弥さん(西武)や福元(悠真、中日)さんが結果をなかなか出せず、苦労されていた。最上級生になって良いところを見せたいとどうしてもなるんですけれど、誰のために頑張っているのかと言われたらチームのためにやっているので……。自分がプロへ行くために頑張ることも一つの理由になるかも知れないですけれど、ドラフトに向けてアピールしようと思うと、どうしても私利私欲も出てしまう。やっぱりチームのためにやりたい、負けたくないと思うのが一番いいと思ったんです」
特に今年はケガで出遅れ、ようやく復帰した打席で何とか結果を残そうと必死になっていた。途中出場した3試合も、心のどこかに焦りがあったのかもしれない。でも、頭では冷静に考えた。何のために結果を残すのか、と。
「ですので、自分はリアルを大事にするようにしています。要は今を大事にすることですかね。ドラフトの評価もあるから未来を見据えるのも大事なんですけれど、その前に今やるべきことは何かを冷静に考えます。そうしたら、チャンスで一本打つとか、この場面は必ず守り切るとか、自分のプレーをすることを心掛けています」

2年上の渡部聖弥のプロでの活躍に刺激を受けている
厳しいマークにも動じず
ただ、注目されるからこそ周囲からの期待は大きくなり、相手からは警戒される。
特にこの春のリーグ戦は厳しい攻めをされることが多く、スタメン復帰からの6試合で7死球を受けていた。「プロ野球だったら乱闘とか起きてしまいますよね」と本人は苦笑いを浮かべたが、それでも感情的にはならなかった。
「自分は甘いところに来ないことは分かっているので……。インコースのストレートはデッドボールOKくらいの気持ちでいないといけないと思っています。でも自分はデッドボールに怖さはないんです。むしろ向かっていく気持ちを持っています」
良い打者だと認められているからこその攻めでもある。だが、最上級生となり立ち振る舞いについて考えるたびに、2年上の先輩の渡部聖弥の姿を思い出す。渡部とは2年間共に練習し、多くの刺激を受けた。
「入学した時から聖弥さんが近くにいたので、プロへ行くための物差しは自分の中にずっとありました。聖弥さんは対応力がものすごい打者です。バッティングだけ見てもすごい人なのに、普段からおごり高ぶりが全くないんです。練習ではレギュラーじゃない選手に対しても気さくに話してくれるし、すごく謙虚な方。尊敬する先輩です」
そんな渡部がプロで躍動している姿を動画やニュースで見るたびに、うれしさと同時に気合も入った。そして今、中軸を任されてきた渡部と同じ位置にいる。昨年までは長打力で注目を浴び続けてきたが、この春はある進化も感じている。

「やっぱり全国の舞台には立ちたい」
本塁打記録に迫る
「去年までと比べると打率は良い方だと思います。長打を打ちたいというよりも、自分がここという場面で打てば勝てる。打つべき者が打てば結果はついてくる。そう思っています。だからやるべきことに集中していくだけです」
1節目の大経大戦では勝ち点を落としたが、4月18日に春山がスタメン復帰して以降、チームは負けなしで勝ち点を手にしてきた。リーグ優勝し「やっぱり全国の舞台には立ちたい」と大舞台への思いを口にしつつ、偉大な先輩を追いかける目は鋭い。
関西六大学連盟の通算本塁打記録は12本。同じ大商大の先輩の佐伯貴弘(元横浜)が残した数字だ。その記録へあと2本に迫り「佐伯さんの記録に挑戦してみたい」と個人的な目標も口にしたが、まずはチームのための一本、一打席に集中し、フォア・ザ・チームの精神で自分のスイングを貫いていくつもりだ。
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