5月13日にキヤノンから新しいフルサイズミラーレスカメラ「EOS R6 V」が発表されました。

「R6」のナンバリングながら、新しいデザインのカメラに仕上がっており、興味を引かれます。今回発売前のテスト機を短期間お借りすることができましたので、ざっくりとですが使用感を紹介させていただきたいと思います。


EOS R6 Vはどのようなカメラか?

ネーミングの通り、2025年11月に発売されたEOS R6 Mark IIIのセンサーや基本構造を踏襲したカメラという位置付けです。が、外観を見て最初に思うのは「CINEMA EOS C50に似てるのでは?」という部分。ファインダーを廃したスクエアボディやグリップなど、全体的な印象はC50と非常に共通していると感じます。またEOS R6 Mark IIIやCINEMA EOS C50と共通の7K 6960×4640ピクセルのセンサーを搭載しており、EOS R6 Mark IIIやC50と同様に動画を4:3のセンサーフルサイズで収録する「オープンゲート記録」も可能。スチルとムービーの両面で非常に評価が高いセンサーなので描写クオリティの高さが期待できます。


またメカシャッターが省略され電子シャッターのみとなっている点も大きなポイント。総じて写真向け要素を整理して動画を撮りやすいカメラにアレンジしてある印象です。


外観をチェック


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外観デザインを詳細に見てみると、ぱっと見よく似ているCINEMA EOS C50とは結構違うということがわかります。スクエアなシルエットは共通ですが、全体的にスリムに仕上がっている印象。


上面はC50と比べるとアクセサリー固定用のネジなどがない代わりにスチル・ムービー切り替えスイッチやメニューボタン、モードダイヤルなどがあります。面白いのはColorボタンで、EOS R6 Mark IIIにも同様の機能がありますがここからカラーモードに直接アクセス可能で、Color Filterによるクリエイティブな映像表現を手軽に楽しめるほか、カスタムピクチャー機能でCanon Log2にLUTを当てるといったCINEMA EOS寄りの運用も可能。


背面液晶はCanon機なら定番のバリアングル式。ただ正直に言うとこのカメラのクラスとしてはファインダーを省略して背面液晶1本に絞るには、やや液晶が小さいかな?と思うところ。





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側面の端子はマイク、イヤホン、フルサイズHDMI、USB-C、それにリモート端子とCanonのカメラとしては非常にスタンダードな構成。リモート端子がちゃんと残されてるのはCanonのカメラ作りのこだわりを感じる部分です。




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メディアスロットはグリップ側にあり、CFexpress TypeBおよびSDXCのダブルスロット。CFexpressカードは結構いい値段がするので、安価なSDXCも併用できるのは助かります。ただし動画RAWや最高画質のXF-AVC記録時はCFexpress Type Bカードが必須となるので注意。それより圧縮の軽いコーデックであればSDXCでも収録は可能。


またメディアスロット側には1/4ネジ穴があり、縦型撮影時のカメラ保持に利用可能。ここに固定アームなどでアクセサリーを取り付ける運用もできそうです。




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また側面から底面に抜ける冷却スロットがあり、ファンによるアクティブクーリング機構があります。このカメラが「V」を冠する最大のポイントと言っても過言ではないかもしれません。


冷却ファンの動作は切、入、オートがあり、入にはさらに高速、中速、低速、停止と4種類。動作するとそれなりに音が出るので録音を同時にやりたい時は注意が必要ですが、効果は絶大な模様。テスト撮影したのは5月の連休末、初夏かと思うほどの陽気でしたが温度に起因するトラブルは全くありませんでした。


バッテリーはLP-E6 Pを使用。旧タイプのバッテリーでも動作しますが、Wi-Fiなど一部の機能が制限される点はEOS R6 Mark IIIやEOS R5 Mark IIと同等です。


シャッターボタンはデフォルトで録画も兼ねており、ここの割り切りは実は珍しいと感じたパターン。シャッターにはビデオカメラのようなズームバーがついています。電動ズームを動作させることももちろんできますが、収録解像度をHDに設定した時に限りデジタルズームとして動作させることが可能。


せっかくなのだから4K撮影時でもデジタルズームができればいいのに…と思ったのは内緒。


またそうでなくても、ズームバーは設定からカスタムを割り振ることができず、デジタルズーム以外の利用法がないのはちょっと残念に感じた部分。フォーカス拡大したり、左右コマンドを割り当てたりといくつか活用はできそうなんですけどね。




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もう一点、EOS R6 Mark IIIから引き継いだ点としてセンサーシフト手ぶれ補正の搭載があります。これはC50にはない機能。一般的にはセンサーシフト手ぶれ補正機構を入れるとセンサーを浮かせるような配置になるため熱対策面で不利とされ、業務機であるEOS C50はセンサー手ぶれ補正を搭載していませんから、長時間のRAW撮影などでは熱が問題になるかもしれません。自分が使用した限りでは問題になることはありませんでしたし、よりカジュアルに撮影できるように搭載された機能として歓迎したいと思います。


また、C50のようなCINEMA EOSメニューへの切り替え機能はないので、動画モードと静止画モード、どちらも同じメニューシステムを利用します。これはR5 Mark IIやEOS R6 Mark IIIについても感じることですが、一見同じメニューのようで動画と静止画で収録の項目など細かい部分がそれぞれにアレンジされています。便利と感じる反面「統一しても良いのでは」とも思う部分です。


と、外観やメニューを概観しても、まさしくこのフォルムが示すようにEOS R6 Mark IIIとC50の中間のような使用感。Canonのミラーレスカメラを使い慣れた人なら全く操作に迷うことはないかと思います。逆にいうとEOS R6 Mark IIIからファインダーとメカシャッターを省略してクーリングファンを付けたらこうなるという、既存のカメラからの発展系としては非常にわかりやすい構成だと思いました。


テスト撮影

お借りできた期間が限られていたため使い込むようなテストにはなりませんでしたが、逆にこのカメラの持ち味としてのシンプルさを満喫しようと考え、RAWではなくカラーフィルターの「Pale Teal & Orange」を中心に撮って出しの撮影を行ってみました。また、こちらに掲載している画像は全てオープンゲート撮影したXF-AVCからの切り出しとなります。


レンズはRF28mm F2.8。レンズのキレもありますが、良い意味で写真。記事としては静止画を貼っているわけですが、これが動くというのはなかなか面白い体験です。


Pale Teal & Orangeは動画としてはコントラストが強く、逆光ではぶっ飛ぶか潰れるかというピーキーな挙動を見せます。普段はここにディフュージョンフィルターを入れたりと、硬い映像を柔らかくする工夫を入れるのですが、今回はフィルターもなし。操作性という意味だけではなく出てくる画に関しても真の「ハイブリッド機」と呼ぶにふさわしい質感と感じました。




 
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こういった何気ない風景をつい撮ってしまう
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手前のグリーンの向こうは太陽だが、青空がちゃんと飛ばずに残っている
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  テキスト

ハイライトの粘りが本当に素晴らしいと感じる
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暗部のシチュエーションでも美しい
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とにかく暑い日だった
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終わりに

EOS R6 Vは要素だけ俯瞰するとEOS R6 Mark IIIからファインダーとメカシャッターを取り除いた動画特化版という見方もできるのですが、手に持ってみるとそれだけではない、全く新しい魅力を持ったカメラだと感じました。動画専門機としては少し先にCINEMA EOS C50が同じセンサーを搭載して発売されているわけですが、C50が動画専用機としてDIGIC DV 7チップを搭載していることでEOS CINEMAならではの機能やメニュー構造などを搭載しているのに対してこちらはEOS R6 Mark IIIと同じDIGIC Xを搭載し、スチルとシネマ両方に対してバランスの取れた性能を実現していますし、センサーシフト手ぶれ補正などC50にない機能も搭載しています。EOS R6 Mark IIIの単純な廉価版でもなければ、C50の下位互換でもない独自のポジションを持ったカメラといえます。


少しだけ不満があるとするならば、背面液晶はもう少し大きなサイズが欲しかったと思います。またそれと矛盾するような感じになってしまいますが、本体サイズは横幅などがオリジナルのEOS R6 Mark IIIよりも少し大きくなってしまっているので、もう少し小型化できれば良かったのにと思ってしまうところ。

しかし、それを踏まえても、現時点におけるキヤノンオンラインショップでの税込363,000円という販売価格は、予算を節約しつつセカンドカメラを必要とするような動画の制作者から見ると非常に魅力的だと思います。

難しいことは考えずに28mmや45mmF1.2などのコンパクトな単焦点レンズをつけて気軽に撮り歩くような使い方をしたくなるカメラだと思いました。



WRITER PROFILE

湯越慶太

湯越慶太

東北新社OND°所属のシネマトグラファー。福岡出身。新しいカメラ、レンズはとりあえず試さずにはいられない性格です。












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