トップニュース巨額投資の台湾兵器は「無用」か、米イラン戦争の戦訓に台湾軍が抱く強い危機感米イラン戦争でMQ-9「リーパー」無人機の神話が崩壊。(写真/米空軍公式サイト提供)

米イラン戦争でMQ-9「リーパー」無人機の神話が崩壊。(写真/米空軍公式サイト提供)

2026年2月28日から4月8日まで続いた米イスラエル・イラン戦争は一時停戦に至ったものの、戦火はペルシャ湾岸諸国へと拡大した。米イスラエル連合軍は精鋭兵器を投入し、米軍は戦略爆撃機によるイランへの激しい空爆まで行ったが、短期決戦という作戦目標の達成には至らなかった。逆に、湾岸地域に展開する米軍基地はイラン軍の弾道ミサイルや自爆型ドローンによる度重なる攻撃を受け、多くの高価値な軍事資産を喪失している。米軍がイランに対して使用した主力兵器の中には、台湾軍が現在運用しているものや多額の予算を投じて調達した装備も多く含まれており、これらの実戦における有効性は台湾軍当局にとって極めて重要な関心事となっている。実際のところ、一部の兵器が実戦で期待外れの結果に終わったことから、台湾側は今後の調達に躊躇を見せ、再評価を始めている。

ある台湾軍関係者は、パトリオット防空ミサイルは長年、台湾軍の対米調達における重点兵器であったと指摘する。今回の米イスラエル・イラン戦争での実績について、迎撃コストの高さや、イランの極超音速ミサイルに対してパトリオットPAC-3ミサイルを8〜9発同時発射しても迎撃できなかった「特例」はさておき、戦場全体におけるPAC-3および性能向上型の迎撃率は、噂されているようなわずか5%という低水準では決してなかった。全面的な飽和攻撃以外の状況下において、PAC-3ミサイルによる弾道ミサイルや巡航ミサイルの迎撃能力は決して低くない。さらに、PAC-3ミサイルは台湾軍が構築を急ぐ「台湾の盾(T-Dome)」多層防空・ミサイル防衛システムの最も中核となる装備であるため、調達総数が1000発を超える計画は今後も継続される見通しだ。

20190528-台湾軍の漢光35号演習が28日に2日目を迎えた。写真は大佳河浜公園内に展開中のパトリオットPAC-3ミサイル。(蘇仲泓撮影)

パトリオット防空ミサイルは長年、台湾軍の対米調達における重点兵器となっている。写真は大佳河浜公園内に展開中のパトリオットPAC-3ミサイル。(写真/蘇仲泓撮影)

最も非効率で高コストな装備、MQ-9B「シーガーディアン」無人機

しかし、台湾がすでに高額で調達し、その性能が極めて高く評価されていた一部の先進兵器については、今回のイラン戦線での実戦結果が期待を大きく下回った。実質的に「役に立たない」ことを自ら証明する大惨事とも言える状況に、台湾軍上層部も衝撃を受け、強い危機感を抱いている。ある軍関係者は、実戦の検証に耐えられなかったこれらの装備について、すでに巨額の費用を支払っており受領せざるを得ないとしても、台湾の限られた国防予算を無効性が確認された兵器に浪費するわけにはいかないと明かす。無駄な出費は一度で十分であり、将来的に追加調達を行う場合、軍内部からの強い反発は避けられないだろう。

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台湾軍当局が米イスラエル・イラン戦争の教訓を検証した結果、最も役に立たず予算の浪費であるとワースト1位に認定された装備は、MQ-9B「シーガーディアン」無人機であることが判明した。同機は2026年3月に米国で最初の2機の引き渡しを完了し、第3四半期に台湾に到着予定であり、残る2機も2027年に引き渡される見通しだ。台湾軍のこの高額な調達計画には、4機のMQ-9B、2セットの地上統制システム、予備部品およびその他設備が含まれ、総額は4億6700万米ドル(約700億5000万円)に達する。MQ-9B単体の価格だけでも少なくとも5500万米ドル以上となる。

MQ-9BはMQ-9「リーパー」無人機の改良型である。今回の中東戦争において、米軍はイラン上空および近海に多数のMQ-9無人機を投入し、偵察や対地・対艦作戦を支援した。イラン軍の防空システムは開戦当初から米軍の集中的な空爆によって致命的な打撃を受け機能不全に陥っていたにもかかわらず、2月28日の開戦から4月8日の停戦までの間に、MQ-9は24機も撃墜された。最も安価な基本型の単価を3000万米ドルと見積もっても、米軍はMQ-9の損失だけで7億2000万米ドルに上り、しかもそれに到底見合わないわずかな戦果しか挙げられなかった。

イラン革命防衛隊が提供したこの写真は、イラン・イスファハン州で墜落した米軍輸送機1機と救助作戦に参加したヘリコプター2機を示している。(AP通信)

米イラン戦争以降、MQ-9無人機はこれまでに24機も撃墜されている。イメージ図。(写真/AP通信提供)

調達済みのMQ-9Bの運用法、低コスト・大量配備の無人機との「ハイ・ロー・ミックス」

前出の軍関係者は、台湾が調達したMQ-9BはMQ-9と機体構造や飛行性能がほぼ同じであると指摘する。MQ-9Bはより優れた海上監視機能を備え、最大滞空時間が30時間以上に達する上、電子光学・赤外線センサーや合成開口レーダーなどの多様な先進センサーシステムを搭載し、海上および地上の目標を効果的に追跡できる。しかし、MQ-9シリーズは極めて広い全幅と遅い飛行速度に加え、ステルス能力を持たないため、現代の防空システムに容易に追跡・ロックオンされる。高強度の戦闘における生存性は極めて低いと言わざるを得ない。

同関係者はさらに、防空能力が不完全なイランでさえMQ-9を容易に撃墜できたことを踏まえれば、中長距離防空ミサイルを装備して海上を巡航する中国人民解放軍の艦艇が、台湾軍のMQ-9Bを撃ち落とすことは造作もないと強調する。ましてや、米軍の実戦記録でもMQ-9シリーズの電子妨害(ジャミング)に対する脆弱性が露呈している。平時のグレーゾーン事態に対処する任務においてすら、台湾海峡周辺を頻繁に飛行する中国軍の電子戦機に制圧され、監視・早期警戒・位置特定の機能を発揮できない可能性がある。さらに深刻な問題は、台湾軍のMQ-9Bの保有数がわずか4機にすぎない点だ。開戦となれば、1日か2日で全機を喪失する可能性が高い。その上、法外な単価と限定的な作戦能力は、台湾軍が目指す「非対称戦」の部隊構築方針と乖離している。今後、このような実効性の乏しい高価な装備の追加調達に巨額の予算を費やすべきではない。

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軍事情報関係者も、巨額を投じてMQ-9Bのシステム一式を購入した以上、無駄にせず有効活用すべきであると語る。しかし、米軍でさえも生存性が高く、低コストで損耗可能な無人機でMQ-9を代替する方向へとシフトし始めている。予算が限られている台湾軍は当然代替案を検討すべきだ。例えば、国家中山科学研究院(中科院)が独自開発した「騰雲2型(Teng Yun 2)」中大型無人機は優れた性能を有し、偵察監視、目標測位、滞空時間においても一定の水準に達している。さらに重要なのは、低コスト、大量配備が可能で損耗に耐え得るという非対称戦の要求に完全に合致している点だ。台湾軍が保有する4機の高価なMQ-9Bと「騰雲2型」を組み合わせた「ハイ・ロー・ミックス」の運用は、極めて妥当な選択である。

台湾国防部副部長・徐斯倹氏が自ら飛行統制席に座る様子。(国防部提供)

軍関係者は、MQ-9シリーズは全幅が広く飛行速度が遅い上、ステルス能力を欠いており、高強度の戦闘における生存性は極めて低いと指摘する。写真はMQ無人機の飛行統制席に座る台湾国防部副部長・徐斯倹氏。(写真/国防部提供)

主力戦車の有用性が低下、自爆型ドローンを防げないM1A2やメルカバ

MQ-9B無人機に加え、今回の米イスラエル・イラン戦争は、多くの台湾軍関係者に「主力戦車は現代の戦場においていよいよ実用性を失いつつある」という事実を改めて痛感させた。これは、台湾陸軍で順次部隊配備が進む米国製M1A2T「エイブラムス」主力戦車の存在価値に対する疑問を呼んでいる。今回、米軍はイラン戦線においてM1A2戦車を地上戦に投入しなかった。しかし、イスラエル軍はレバノン南部のヒズボラに対する作戦において、M1A2と同等の性能を持ち、特に市街戦と乗員の生存性向上に特化した「メルカバ(Merkava)」主力戦車を投入した。結果として、アクティブ防護システム「トロフィー」を搭載し、自爆型ドローンや対戦車兵器の攻撃に有効と謳われたメルカバでさえも、実戦においてヒズボラのFPV(一人称視点)ドローンや対戦車ミサイルによる集中攻撃をしのぎ切ることはできず、わずか半月足らずで数十両を喪失する事態となった。

ウクライナからレバノンに至る戦場の実態は、世界最高峰と評価されるM1A2エイブラムスやメルカバといった主力戦車が、高性能なアクティブ防護システムの有無にかかわらず、自爆型ドローンの連続攻撃に耐えられないことを示している。特にM1A2戦車は1両当たりの価格が1000万米ドルを超すが、台湾が調達した性能ダウングレード版にはアクティブ防護システムが一切装備されていない。108両のM1A2T戦車の調達総額から算出すると、平均単価は約1500万米ドルとなる。将来の台湾海峡有事において、無人機が無数に飛び交う戦場環境となることは必至である。そのような状況下では、高価なM1A2Tは反上陸作戦の戦力として機能するどころか、自らの生存を維持することすら困難になる恐れがある。

台湾軍関係者は、今回の米イスラエル・イラン戦争の実戦結果を受け、陸軍はM1A2T戦車の追加調達という考えを完全に断念すべきだと指摘する。その理由は、作戦コストが極端に非対称だからだ。数万米ドルのFPVドローンが、4億台湾元(約20億円)を超えるM1A2Tを容易に破壊できてしまうのである。台湾軍は予算を他の非対称兵器に振り向けるべきだ。現役の装甲部隊の戦力向上については、現在運用中のM60A3など旧式戦車の近代化改修や、高い機動力を誇る台湾国産の装輪装甲車の追加調達を通じて対応すれば、十分な効果を達成できる。

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20260410-陸軍連合兵種第584旅団が10日、連合兵種第1大隊のM1A2T戦車部隊編成完結式を挙行した。(軍聞社提供)

軍関係者は、米イスラエル・イラン戦争後、陸軍はM1A2T戦車の追加調達を完全に断念する可能性があると指摘する。写真は台湾陸軍が挙行した連合兵種第1大隊のM1A2T戦車部隊編成完結式の様子。(写真/軍聞社提供)

開戦直後に破壊された米軍レーダー、中国軍の標的となる台湾「楽山レーダー」

最後に、米イスラエル・イラン戦争は台湾軍に対し、「固定された装備への予算浪費を絶対に避け、機動作戦が可能なシステムへの投資に予算を集中すべきだ」という教訓を深く刻み込んだ。最も顕著な例が、カタールのアルウデイド空軍基地に配備されていた約11億米ドル相当の米軍「ペーブ・ポウズ(AN/FPS-132)」長距離早期警戒レーダーである。同レーダーは開戦直後にイランの無人機によって破壊された。さらに、ヨルダン、アラブ首長国連邦(UAE)、カタールに配備されていた高高度防衛ミサイル(THAAD)システムのうち、機動性が低い中核装備であるAN/TPY-2レーダーもそれぞれ被害を受けている。これと同様の事態が、台湾・新竹の楽山に設置されているペーブ・ポウズレーダー(AN/FPS-115)にも発生する可能性が高い。飛来する弾道ミサイルや巡航ミサイルに早期警戒情報を提供するこの高額な戦略級レーダーは、中国軍の台湾侵攻時における最優先の破壊目標と言える。

台湾の軍事情報関係者によれば、新竹の楽山ペーブ・ポウズレーダーは極めて先進的で探知距離も長いものの、設置場所が固定されており巨大であるという弱点を抱えている。開戦となれば「一度きり」の使用に留まる公算が大きく、台湾軍に7〜10分程度の追加の警戒時間を提供し、全土の防空システムを稼働させて迎撃態勢を整えるとともに、空軍戦闘機を緊急発進(スクランブル)させて戦力保存を図るための時間を稼ぐのが精一杯だ。これらの固定レーダーが中国軍によって次々と破壊された後は、台湾全土に分散配置されたAN/TPS-77機動型長距離レーダーや海軍艦艇の搭載レーダー、そして早期警戒機が連携し、台湾軍の防空作戦における「目」の役割を引き継ぐことになる。

ペーブ・ポウズレーダーが開戦後に一度しか使用できないのであれば、性能向上に巨額の費用を投じる必要はない。ハードウェアをより新しいAN/FPS-132規格にアップグレードする場合、10億米ドル以上の費用が必要になると推算されている。台湾軍関係者は、少額の予算でハードウェアとソフトウェアを局所的に強化し、必要な部品を交換して実用的な性能を維持するのが最善の策だと強調する。米側の説得に乗って全システムの更新に巨費を投じるべきではない。これにより節約された数百億台湾元の予算を、秘匿配備が可能な最新鋭の機動レーダーや情報共有システム等の調達に充てることで、戦時の防御上の強靭性(レジリエンス)を高めることができる。攻撃を受けても台湾の防空網が直ちに完全な機能不全に陥る事態を防ぐことが重要である。

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