2025年のマーケティングおよびメディア業界は、急速な技術進化と市場構造の変化が重なり、これまで当たり前とされてきた前提が揺らぎ始めた1年だった。とりわけAIの進化は、ツールの域を越え、マーケティングにおける生産性と創造性の前提を書き換えつつある。加えて、検索、ソーシャル、コマース、生成AIといった接点が絡み合い、顧客体験の「入り口」そのものも分散・再編されはじめた。

Digiday Japan恒例の年末年始企画「IN/OUT 2026」では、当メディアとゆかりの深いブランド・パブリッシャーのエグゼクティブたちにアンケートを実施。2025年をどのように総括し、そして2026年に向けてどのような挑戦とビジョンを描いているのか。その声を紹介する。

パナソニック コネクトで、取締役 執行役員 シニア・ヴァイス・プレジデント チーフ・マーケティング・オフィサー(CMO)兼 デザイン&マーケティング本部 マネージングダイレクターを務める山口有希子氏の回答は以下のとおりだ。

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――2025年のもっとも大きなトピック・成果は何ですか。

あるべき企業変革を実践するために、8年をかけてマーケティング部の機能を強化し、活動内容を変化させてきました。特に事業部や海外拠点と本社機能の連携体制については、マトリックス組織にしながら、会社全体のマーケティング能力を向上していくことに注力してきました。

その中でも、いかに「顧客起点・マーケットインの考え」を組織全体に取り込むかというのは大きな課題でした。2025年に象徴的だったのは、そのための取り組みである、顧客を深く理解する「N1分析」プロジェクトが会社全体に拡がり、全事業部でプロジェクトを進めることができたこと。N1分析による新たな視点や発見が、「組織横断」での取り組みにつながり、明確なビジネス成果が表れ始めています。

――2026年に向けて見えてきた課題は何ですか。

最大の課題は、AI時代への対応です。

BtoBビジネスにおける購買行動において、①Discover ②Evaluate ③Commit(Decide to buy)のすべての段階において影響を及ぼすNo.1がGenerative AIになるといわれています。マーケティング活動において、ドラスティックな影響を及ぼすこの大きな変化に、いかに迅速に対応するかが求められます。

また、AIを使ったマーケティング業務の生産性向上については、単に情報を「聞く」段階から、具体的な作業を「頼む」段階へと進化しつつあります。AIエージェントにより高度な業務を依頼できるような業務プロセスのAI最適化が重要になっています。

同時に、人であるマーケターの価値を改めて認識することも重要。問いをたてるチカラ、意志を持ち変革をドライブするチカラ、人と組織を繋ぐチカラ。より尖らせていく必要があります。

――2026年にチャレンジしたいことを教えてください。

AIの進化は、マーケティングの役割、マーケターの本質的な役割を改めて考える機会となっています。そして、AI Optimization(最適化)、ハイパーパーソナライゼーション、高度なデータ分析、そして、これからの人材育成などなど、AIに代表される技術の変化が凄いからこそ、勉強し続けることが重要です。AI時代のマーケティング組織のあるべき姿を探求していきたいと考えています。

また、これまでの30年以上にわたるBtoBマーケターとしての現場実践で得た知見、そして、CMOとして取り組んできたマーケティング組織改革・企業改革で得た知識や経験は、できるだけ次世代マーケターの方々の糧にしていただきたいという気持ちもあり、2026年は、そのような活動も意識したいと考えています。

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