島根県美郷町議会は、町職員らへの迷惑行為「カスタマーハラスメント(カスハラ)」を禁止する条例案を12月定例会で可決した。当初、町は職員のみが対象の条例案の提出を検討していたが、議会の意見も踏まえ町内の事業者にも対象を広げた。町によると、自治体職員へのハラスメント対策を明記した条例の制定は珍しいという。施行は2026年2月1日から。

カスハラの防止に向け、町内などに掲示される啓発用ポスターの見本(島根県美郷町提供)カスハラの防止に向け、町内などに掲示される啓発用ポスターの見本(島根県美郷町提供)

 町職員組合が82人の組合員に対し、24年3月に実施したカスハラに関する調査で、回答した70人のうち、約23%にあたる16人が「カスハラを経験した」と答えた。町総務課が今年8月に管理職15人を対象にした調査でも、約67%にあたる10人が来庁者らからカスハラ行為を受けたとした。

 具体的には、同一内容の苦情の繰り返しや暴言、言葉尻を捉えて
執拗(しつよう)
に責め立てるといったケースが目立ち、中には午前3、4時頃まで対応した例もあった。対応に時間を取られ、円滑な行政サービスの提供に支障をきたしたという。

 町職員は利用者(住民)を選べず、行政サービスの提供を基本的に拒否できないことから、カスハラの被害に遭いやすい。このため、町が職員へのカスハラ防止対策として条例制定に動いた。

 カスハラを巡っては、改正労働施策総合推進法が今年6月に成立し、事業者に防止対策が義務づけられることになった。条例には、町が関係機関と連携し、情報提供や助言を行うことなどを明記。氏名の公表や罰則規定は定めていない。町は具体的な対応マニュアルの作成を進めており、ポスターやホームページで条例の趣旨も周知する。

 嘉戸隆町長は「美郷町商工会などと連携して啓発に努め、カスハラ防止につなげる」と決意を語った。

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