公開日時 2025年12月28日 05:00
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沖縄に言及した中国系記事数の推移
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琉球新報朝刊
中国系のメディアで沖縄県の歴史や帰属に言及した記事が11月、インターネット上で急増した。メディアや交流サイト(SNS)の分析技術を提供する米メルトウォーターのツールで調べると、「琉球」「独立」といった言葉を使った記事が前年同月比で約20倍になった。日本の領土であることを疑問視する主張が目立ち、台湾有事を巡る高市早苗首相の国会答弁を受けた宣伝戦の可能性がある。
日本社会を揺さぶるとともに、中国国内の世論を醸成する狙いがありそうだ。
中国や香港に拠点があるメディアのニュースから「琉球」または「沖縄」と「独立」という単語が、文章内で一定の近さで使われている記事を抽出した。
この条件で調べると、昨年11月の記事数は30件程度だった。これが今年11月は約600件に拡大。高市首相が台湾有事について発言した11月7日以降に急激に伸びた。
今年11月によく見られた中国系メディアの記事は、沖縄が独立王国だった歴史を伝え、1972年の沖縄返還では沖縄の主権が日本に戻っていないとの主張を展開した。人民日報系の環球時報は11月、沖縄県の帰属を疑問視する社説を載せた。
サイバー空間の安全保障に詳しい中曽根平和研究所の大沢淳氏は「中国の宣伝戦は自国の世論を固めた後、対外的に強い姿勢を打ち出す」と説明。中国側の多言語発信を想定し「日本も情報空間や国際会議などで、多言語を用いてしっかりと反論すべきだ」と強調した。
メルト社のツールは主要メディアやポータルサイトを調査範囲としているが、中国や香港での対象メディア数は公開していない。メディア数の昨年と今年で母数は変わっていないという。
<用語> 沖縄独立論 戦後、沖縄では沖縄民主同盟の仲宗根源和氏は独立論者として知られたが、支持を得られず、1950年の軍政下での議会選挙で落選した。日本が独立を回復した52年発効のサンフランシスコ平和条約では沖縄が改めて米国の統治下に置かれた。だが吉田茂首相は「(沖縄の)主権が日本に残される」と明言。祖国復帰運動が展開された。ただ基地負担の軽減などが保証されず、復帰反対の声も。71年の参院選では、結党したばかりの琉球独立党の候補は落選。72年の日本復帰後も支持が広がらなかった。
