英国のスターマー首相は、発足から1年しか経っていない内閣の改造を強いられた。レイナー副首相兼が5日、私的な住宅購入で適切な税金を納めていなかったとして辞任したため、混乱の収拾を急いだ。

  レイナー氏は副首相であるだけでなく、与党・労働党でもナンバー2の役職を務めていたが、いずれの地位からも退いた。党内分裂とナイジェル・ファラージ氏率いる右派ポピュリスト政党「リフォームUK」を下回る支持率に悩むスターマー氏は、今週を政権の「第2段階」と位置づけていたが、レイナー氏の辞任で出鼻をくじかれた格好になる。

  これを受けてスターマー氏は、最重要閣僚の一部を含む内閣改造を実施。政府当局者によると、新外相にクーパー内相を起用。後任の内相にはマフムード法相が横滑りする。

  レイナー氏が務めていた副首相には、ラミー外相が就任する見通しだと、この当局者は説明。ラミー氏は法相も兼務する見込みだという。

Cabinet Meeting in Downing Street in London

英国のレイナー前副首相(2日、ロンドン)

Photographer: Wiktor Szymanowicz/Future Publishing/Getty Images

  レイナー氏(45)は独立した立場から倫理面の助言を行う政府顧問のローリー・マグナス氏から閣僚行動規範の違反を指摘され、辞任を決断した。マグナス氏によると、レイナー氏は調査の間を通じて「誠実に行動した」が、80万ポンド(約1億5900万円)の住宅購入で適正な税金を払っていなかったとの結論に至った。

  スターマー氏はレイナー氏について、閣僚行動規範に関して独立顧問の助言を仰いだことは「正しく」、「その結論に従って行動するのも正しい」と述べた。異例の手書きの書簡では、レイナー氏が政府での役職を「このような形で終えた」のは「痛恨」だと記した。

  事情に詳しい関係者によると、リーブス財務相は留任する。

  首相の後継候補として期待され、公営住宅で育ち10代で出産を経験した生い立ちから党員と労働組合双方に人気が高かったレイナー氏の辞任は労働党にとって大きな損失で、同党を取り巻く雰囲気をさらに暗くしかねない。スターマー氏は昨年7月の選挙で圧勝して政権をスタートさせたが、財政の苦境と移民やイスラエルのガザ侵攻など意見の分かれる問題で労働党をまとめられず、党内の左派と右派の両方の離反を招いている。

  レイナー氏は3日、イングランド南部ホーブの住宅を購入した際、固定資産税を過少申告していたことを認めた。同氏は住宅大臣も兼務していた。事実上政府から解任されたことで、レイナー氏の政治的な将来も大きく損なわれた。

原題:Starmer Shakes Up UK Government After Messy Rayner Departure (2)(抜粋)

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