8月12日まで高知市で開催されたよさこい祭り。その中で地方車の製作を通じて高校生と幼稚園がコラボする新たなつながりも生まれました。

本祭1日目の10日。追手筋本部競演場に登場した認定こども園くるみ幼稚園チーム。44回出場の常連チームで、地方車は去年まで使っていたものが老朽化したことから久々に新調しました。
木の良さを前面に出した新しい地方車。製作を担当したのは高知工業高校で建築を学ぶ3年生8人。幼稚園の依頼を受けて地方車を作るのは今回が初めてです。

■くるみ幼稚園
「すてきな地方車を作ってくれてありがとうございました。きょうはいっしょにたのしみましょう」

園にとって高校生が手がけた地方車は、今年のよさこい祭り参加のシンボル的存在です。この日、初めて完成した地方車を見た園児や保護者は。

■保護者
「仕上がって楽しみです、踊るのが。コラボのTシャツで子どもも張り切って」

■園児
「(地方車)かっこよかった」
「踊るのが楽しみ」

地方車を仕上げる最終作業はトラックのレンタルの関係で8月8日、本祭のわずか2日前でした。
高校生たちが、地方車の部材をトラックの上に組むのはこの日が初めて。トラックには音響機器や大きなスピーカーも載っていてスペースが限られるため、仮組みとは勝手が違い、手順などを試行錯誤しながら作業を進めます。

今回のプロジェクト、高校生とのコラボを提案したのは、幼稚園が地方車を発注した木材会社からの紹介です。

■溝渕木材工業 溝渕大記さん
「高校生が1つのアイディアからそこから図面に作り上げて次に加工して組み立てるというストーリーがすごく良いプロジェクトだったんじゃないかと思ってる」

新しい地方車のデザイン作りは去年9月にスタート。何度も幼稚園の要望を聞きながら修正して練り上げてきました。高校生たちが考えた当初の5つの案から、「はりまや橋」や「提灯」などのデザインを残す一方、荷物の出し入れや乗り降りできる開口部を側面に設けたいという幼稚園からの注文にも応えます。

■くるみ幼稚園
「車を停めてそこで開けんとかんけど、(入口が)横にあるとちょっと先生がさっと入ったりができるんで便利かなと。ちょっと人が通れるぐらいの広さ」

木材の加工作業に入った今年5月以降、毎週水曜日の「課題研究」の授業の中で進めてきました。最も難関だったのは普通の授業ではやらない日本古来の伝統技術「金輪継ぎ」の学び。指導にあたったのはプロの大工さんです。

■大工さんアドバイス
「本当の理想は墨(目印の線)の半分のける。難しいから俺らでも少しだけ墨を残して、あとでちょっとノミですいたりとかしていく」

地方車の長い部分の木材5本には、この「金輪継ぎ」が使われ、高校生8人全員がのみやカンナを使い、繊細な仕上げが必要な手作業での削りを体験しました。

■高校生
「ふだん全くやることがない技術だったんですごく難しかったんですけど、大工さんに教えてもらいながらできて良かった」

一方で、園児たちとの関係も深まりました。この日は、地方車作りを進める高校生たちの授業の様子を年長の園児が見学です。

■園児・高校生
「あれ、オレンジの(何)?」
「オレンジのあれ、冷房。涼しい風が出てくる」
「あぁ、エアコン?」
「エアコン!」

見たこともない加工機械やパソコンなどの並ぶ作業室に園児たちも目を輝かせていました。

■高校生
「園児たちのああいう笑顔を見てたら、もっとやっぱり自分らが頑張って完璧なもの作りたいなっていう想いが強くなった」

一方で、高校生たちも何度かくるみ幼稚園に足を運んで園児たちと交流を深めました。いつしか地方車作りだけでなく高校生たちが園児と一緒によさこい祭りに参加することへ目標が広がりました。

■高校生
「すごい良いやつ(地方車)が出来上がるんで、楽しみに待っててください。お願いします」

園児と一緒になってのゲームやよさこいで使う鳴子作り、踊りの練習などを通して園児と高校生、お互いの距離も少しずつ縮まったようです。

■高校生
「かわいいですね」
「去年の9月ぐらいからこの幼稚園に来させてもらってるので結構仲良くさせてもらってると思ってる」
「自分たちの作った地方車を気に入ってもらえたら一番いいかなって思う」

■くるみ幼稚園 土居恵子園長
「(暑さで)子どもたちも心配なんですけど、学生さんたちも初めての経験なんで体力的に大丈夫かなとちょっと心配はあります」

こうして迎えた地方車組み立ての最終日。幼稚園で作られた提灯を1つ1つ丁寧に飾りつけ、ついに地方車が仕上がりました。

■高校生
「部材の長さが足りん分とかあったんですけど無事できて良かった」「柱であったり土台であったり継ぎ手の部分とかこだわってるので、中身の部分が自信をもって良くできたと言えます」
「ほかの高校生とかが体験出来ないことをさせてもらってるのでそれは良い経験になるとみんな思ってると思う」

よさこい祭り本祭当日。園児たちが喜ぶ可愛いデコレーションも加わった新しい地方車を大勢の観客の前でお披露目です。

■踊りの掛け声
「元気ですか?!」
「はーい」

地方車を製作した高校生たちも園児とおそろいのTシャツ衣装を着て一緒に踊るほか、こんなサポートも。幼稚園からの注文でデザインした地方車側面の開口部から飲み物の入ったクーラーボックスを下ろす手伝いをするなど裏方としてサポートしながらチームを盛り上げます。

■高校生
「いい感じに仕上がってると思う。一番はやっぱり欄干の扉。あそこを一番時間かけて工夫してやったんで、そこを見て欲しい」

地方車の製作がつないだ園児とのかけがえのない絆を感じながら高校生も笑顔いっぱいで踊り切り、楽しいよさこい祭りの想い出をかみしめていました。

■高校生
「めっちゃ疲れました、けど楽しかったです。よさこいが大好きになりました」
「練習1回も行ってなくて踊れんかったですけど楽しかった」
「ふだん小さい子たちとあんまり関わることも無いので、良い機会になりました」

新しい地方車は今後も側面の絵などを変えながら大事に使っていくということです。

Share.