中国は米国と一部関税の停止で合意したが、それだけでは中国金融資産への投資を活性化させるには不十分だ。中国の刺激策への期待が後退し、米中が最終合意に至るかどうか不確実性が残っている。
米中の関税休戦を受け、中国株は上昇。トランプ政権が大規模な上乗せ関税を発表した4月2日以後の下げを帳消しにしたが、外国人投資家は様子見姿勢を崩していない。先週末の関税交渉は中国にとって予想以上の成果で、政府による追加刺激策への市場の期待も弱まりつつある。
UBSグローバル・ウェルス・マネジメントの大中華圏株式責任者エバ・リー氏は「さらなる政策支援や企業業績の明確な改善が見られない限り、株価の上昇余地は限られる。最近の好材料の多くはすでに株価に織り込まれている」と指摘。
その上で「大きな逆風となるのは、米中交渉が予想以上に長引くことと、中国が経済を安定させる有効な刺激策を打ち出せない場合だ」と語った。
ストラテジストらによれば、中国人民元はドルに対し緩やかに上昇する見通し。デフレ圧力が続く中で中国国債の利回りが低下する可能性もある。

MSCI中国指数は今週4%余り上昇。それでも、米中が関税措置で最終合意に至るには時間を要するとの見方が根強い。トランプ政権1期目の貿易戦争では、中国株は通商合意に至るまで上げ下げを繰り返した。
人民元は今週、関税休戦を受けてオンショア・オフショア取引で6カ月ぶりの高値を付けた。現在の1ドル=7.2元前後から、7元に向けて元高が進むとの予測もある。
ただ、中国当局は大規模な資本流入を避け、元上昇を慎重に管理する構えだ。中国人民銀行(中央銀行)は14日、ブルームバーグが実施したアナリスト・トレーダー調査の平均予想よりも弱い水準に人民元の中心レートを設定した。これは昨年11月以来のことだ。
BNPパリバの大中華圏為替・金利戦略責任者、王菊氏は「当面の選択肢が限られる中で米国は関税戦争を軟化させたが、中期的にはサプライチェーンやハイテク分野での中国とのデカップリング(切り離し)が進行中だ」と述べ、「中国が大幅な元高を容認する可能性は低いとみている。特に不動産市場が依然として弱いことが背景だ」との見方を示した。

安全資産需要が和らぎ、中国国債の利回りは上昇した。10年債利回りは5月に入って約5ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)上昇したが、先月は金融緩和と通商対立激化を受け、月間ベースで昨年12月以来の大きな低下となっていた。
ピクテ・アセット・マネジメントの大中華圏債券責任者ケアリー・ヤン氏は「中国の国債利回りにはさらに低下余地がある。関税が課された状態ではデフレ圧力が続くためだ」と分析。
「現行の30%関税は中国の成長を引き続き鈍化させる。そのため、金融緩和的な政策が継続すると予想しており、これは国債にプラス」との考えを示した。
原題:China’s Investors Signal Trade Truce Is No Panacea for Markets (抜粋)
