ハルキウ州イズム近郊で、ロシアによるドローン攻撃への対策としてネットで覆われた道路=2025年12月撮影(写真:ロイター/アフロ)
ウクライナ前線地帯は現在「ネット」で覆われている。日々数を増し、進化し続けるドローンから人々と領土を守るためだ。
ウクライナの前線はもはやドローンとの戦いと言っても過言ではない。
現場取材を続け、何度も「ネットトンネル」を通った。その中で見えたのは、少しでも安全を確保するために、現場で編み出された工夫と、積み重なる膨大な労力だった。
なぜネットなのか
「以前、なんとなく測ったら100kmくらいネットトンネルが続いていた」
東部に向かう前、兵士の友人に最長はどれくらいなのか、と尋ねるとそんな答えが返ってきた。
「ネットトンネル」の出現は1年ほど前のことだ。ドローンという近代的なハイテク武器に対して、なぜ「ネット(網)」などというローテクな対策がされているのだろうか?
まずそこには「コスト」という問題がある。前線地域での主力ドローンはたった数百ドルで作れるような安価なものだ。構造もシンプルで大量生産されている。
その安さと数に対抗するには、コスト削減が欠かせない。
FPV(一人称視点)ドローンは、機体に搭載されたカメラから送られてくる一人称視点の映像を、操縦者はゴーグルやモニターでチェックしながら操縦することができる。そのため目標物を正確に狙うことが可能になるのだが、FPVドローンは対象物に当たった瞬間に爆発する。
訓練中にブーメラン型FPVドローンを手に持つロシアの兵士(写真:Vladimir Gerdo/TASS via ZUMA Press/共同通信イメージズ)
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このため、攻撃される側にしてみれば、ネットがあればドローンが攻撃目標に到達する前に爆発させることができる。もしくはプロペラが絡まって不発に終わらせることができる。
ネット自体はトンネルになる前から、対ドローン策としてウクライナで活用されてきた。
軍用車両を覆うように取り付けられたり、ドローンから網を投げて敵のドローンを無効化したり、といった具合だ。この試行錯誤の結果、いっそ道自体をネットで覆ってしまう、という方策が編み出されたのだろう。
