国内では有明海や周辺の河川にだけ生息するカジカ科の回遊魚ヤマノカミの分布を明らかにしようと、福岡県立三池工業高(大牟田市)の生徒が、調査に乗り出した。環境省のレッドリストで絶滅の危険度が2番目に高い絶滅危惧IB類に分類される「幻の魚」で生態は十分に把握できておらず、生徒たちは最新の生物調査法「環境DNA技術」で「生息場所を明らかにしたい」と意気込んでいる。(中村直人)向教諭(右)の指導を受けながら、ポンプを使って川の水をこし取る松本さん(3月17日、福岡県みやま市で)向教諭(右)の指導を受けながら、ポンプを使って川の水をこし取る松本さん(3月17日、福岡県みやま市で)九大などと協力

 3月17日、同県みやま市の1級河川・矢部川の河口。小雨の中、同高科学探究同好会の松本
匡生(まさき)
さん(17)は、堤防からバケツを垂らし、川の水をくんで引き上げた。すぐに携帯型のポンプなどを使い、検体を付着させるための専用フィルターでこし取った。

 作業は、顧問を務める
向(むこう)雅生(まさお)
教諭(49)の指導を受けながら実施。松本さんは「ヤマノカミの手がかりが見つかれば、うれしい」と笑顔を見せた。
絶滅危惧種のヤマノカミ=竹下教授提供絶滅危惧種のヤマノカミ=竹下教授提供 同好会は2021年度、理科が専門の向教諭の赴任をきっかけに設立した。現在は1~3年の6人が所属。発足当初から、九州大などの協力を得て環境DNAによる調査で有明海の生態系を調べている。 同好会は生息地に近い立地を生かし、ヤマノカミの調査を今年から始めた。3月には矢部川のほか、大牟田市の堂面川と諏訪川の水も採取。いずれの検体も民間分析会社に送り、鑑定結果を待っている。 1 2 3