昼時で込み合うJR博多シティの飲食店フロアで1店舗だけ休業した「博多醤油ラーメン 月や」の看板(7日、福岡市博多区で)昼時で込み合うJR博多シティの飲食店フロアで1店舗だけ休業した「博多醤油ラーメン 月や」の看板(7日、福岡市博多区で) 博多駅ビル「JR博多シティ」(福岡市)は、飲食テナントが独自に休業することを認める取り組みを始めた。従来は、全体の休館日に合わせるよう求めていた。人手不足が深刻化する中、それぞれのテナントの裁量を増やすことで、人材の確保につなげてもらう狙いだ。まだ珍しい取り組みで、ほかの商業施設にも広がるか注目される。(橋本龍二)

九州初「ライドシェア」福岡市と周辺で始まる…「タクシー不足解消できる」「事故や対応が心配」

 「店休日です。他の店舗は通常どおり営業します」。5月上旬、昼時でにぎわう博多シティの飲食店フロアにある「博多
醤油(しょうゆ)
ラーメン 月や」の入り口には休業を知らせる看板が出ていた。初めて独自の店休日を設けた店長の岡本真典さん(55)は「従業員の良いリフレッシュになった」と笑顔を見せた。
 2011年に開業した博多シティはほぼ年中無休で、全テナントが営業する前提だった。それが今年4月以降、飲食フロアのテナントから個別に申請を受け、各エリアで1日あたり最大1店を目安に休業できる仕組みを導入した。休む店舗は照明を消さず、全体のにぎわいの維持に協力する。 これまで10店が制度を利用して休業しており、博多シティの運営会社は「利用者のマイナスの評価を覚悟していたが、今のところない」(担当者)と胸をなでおろす。9月までに全体の約3割に当たる28店が独自の休業日を設ける計画で、今年度末までに半数に独自休業してもらう方針だ。 博多シティがテナントに配慮する背景には、人手不足が深刻さを増していることがある。 帝国データバンク福岡支店が今年4月、九州・沖縄の企業に実施したアンケート(969社回答)では、「人手が不足している」と回答した飲食店の割合が6割に達した。各業界で人材の奪い合いが過熱しており、賃上げに加え、休みの取りやすさなどの待遇面も改善が求められている状況だ。 博多シティでは19年以降、曜日を限定して営業時間を短縮したり、全館休館日を設けたりして「働き方改革」を進めてきた。今後、一定の条件を満たせば営業時間を自由に設定できる「フレックス制度」も導入する計画だ。一部の店舗では既に実証実験も始めている。 福岡市では、老朽化したビルの再開発が相次いでおり、今後、商業フロアを持つ大型施設が続々と完成する見通しだ。テナントの裁量を増やして人材の確保につなげてもらう動きは今後、各施設で加速していく可能性がある。

Share.