空や海でも 活躍再発見
イラスト・大野八生 電車、飛行機、船……。人やモノを遠くに運び、ダイナミックな動きやつくりも面白い乗り物は、児童書の一大人気ジャンルだ。普段あまり目にしない視点から描いた作品や、赤ちゃんが遊べるよう工夫された本など、魅力をいきいきと伝える試みが広がっている。(泉田友紀)
「マロマロ・テュッティ!」……NHK交響楽団のコンマスが絵本の中の呪文に込めたものは
車が行き交う高速道路のジャンクションや、多くの物資が船で運び込まれる港湾など、細密で立体的な絵が圧倒的な迫力にあふれている。絵本作家の青山邦彦さんの『のりものいっぱい』(金の星社)は、建築設計事務所で働いた経験がある著者ならではの一冊だ。
祖父母の家に子どもたちだけで向かう兄と妹が、途中で多くの乗り物に出合う。それらを、鳥が空から見下ろすような構図で描いた。「乗り物を並べて見せるのではなく、パノラマのように、スケールを実感してほしかった」と青山さんは語る。 線書きから水彩での彩色まで、作画に約8か月かかった。「建物の設計図を手がけた経験が生きている」という。田畑で働く田植え機やトラクター、空港で飛行機が飛び立つ準備を整えるタラップ車や燃料給油車。様々な場面で乗り物が私たちの暮らしにかかわっていることに気づかせる。
「どんな乗り物がどこにあって、使われているか、再発見する楽しみにつなげてもらえれば」と話す。

赤ちゃん向けの仕掛け絵本が人気のひらぎみつえさんは『ブーブー しゃこにはいります』(ほるぷ出版)を刊行した。消防車や郵便車、レーシングカーなど、あらゆる車の車庫入れを描く。ページのくぼみに指を入れてスライドさせると、車庫にぴったりと入れられる。ひらぎさんは、「車がきれいに収まるのは気持ちいい。赤ちゃんに自分で車を動かしたような達成感を味わってもらいたかった」と語る。「車は身近な存在であるとともに、メカのかっこ良さが憧れの対象になっている」ため、車の絵がかわいらしくなりすぎないように工夫した。
図鑑で歴史を振り返る本もある。ヒサクニヒコ著『人類の夢をかなえた飛行機の本』(子どもの未来社)は1903年のライト兄弟の初飛行に始まり、空を飛ぶ夢をかなえた飛行機の120年余りの変化をたどる。戦争が技術を進歩させてきた一面も紹介した。巻末のメッセージには、重い事実を踏まえたうえで、<最初の空を飛びたいという願いが、今こそ平和な空のために生かされることを切に祈っています〉とつづった。 連休も迫り、お出かけが増える季節。絵本で味わってから乗ってみれば、楽しさは2倍だ。
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