遠赤外線による血行促進の効果で、運動や日常の疲れからの回復をサポートする「リカバリーウェア」に注目が集まっている。着るだけで健康に資する効果があるとする「医療機器」としてのアパレル(衣料)商品で、新たな成長分野として市場の拡大が期待されている。(寺田航)

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着るだけ山本化学工業が発売するウェア(大阪市中央区で)山本化学工業が発売するウェア(大阪市中央区で) 素材メーカーの山本化学工業(大阪市)は23日、着るだけで血流の改善につながるウェアを発表した。

 上下セットの半袖・ハーフパンツタイプで、部屋着として肌着の上に着たり、外出着を重ねたりして着用することを想定している。 素材として、遠赤外線を放射する3層構造の特殊な繊維を開発した。臨床試験では20分間の着用で、血流量が22・2~36・4%改善する結果が得られたという。血行促進効果の異なる2種類(税別13万円と同40万円)を5月に発売する。山本富造社長は「洗濯しても長い間性能が落ちることはない。今後は背広などにも進出したい」と話した。差別化 リカバリーウェアは、家庭用ばんそうこうや手術用ガーゼなどと同じ「一般医療機器(クラス1)」に分類され、従来の機能性衣類との差別化が図れる。競争が激しいアパレル業界の中でも、シェア(占有率)を伸ばす余地があり、新興企業が先行している。 アパレルメーカー「ベネクス」(神奈川県)は2010年以降、プラチナを微小化した「ナノプラチナ」などの鉱物を練り込んで開発した特殊繊維を使ったリカバリーウェアを扱う。シリーズの累計販売数は175万着(24年2月時点)に達し、スポーツ選手の愛好者が多いのが特徴だ。 ヘルステック企業の「テンシャル」(東京)も、セラミックを交ぜた繊維を活用したウェアを展開。上下で平均2万円前後するが、担当者は「睡眠の悩みを持つ人がパジャマや部屋着として購入するケースが多く、ギフト需要もある。販売は右肩上がり」と話す。出社が負担 購入の動機となる「疲労」を感じる人は増えている。新型コロナの5類移行後、リモート勤務から出社へと切り替える企業も多く、パナソニックが23年9月に実施したアンケートでは、前年より出社が増えたとする人の86・8%が「疲労が増えた」と回答。「日本リカバリー協会」(神奈川県)は、リラクゼーションや睡眠といった「休養」に関わるサービス・製品などの23年の市場規模は5・4兆円に達し、30年には、14・1兆円まで膨らむと推計する。

リカバリーウェア
=厚生労働省が2022年、一般医療機器に新カテゴリーとして「家庭用遠赤外線血行促進用衣」を設けた。日本医療機器工業会が定めた自主基準をクリアした上で、医薬品や医療機器の承認審査を行う「医薬品医療機器総合機構(PMDA)」に届け出て、販売されている。

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