男性から高額な現金をだまし取ったとして、詐欺罪などで22日、懲役9年、罰金800万円の判決を言い渡された「頂き女子りりちゃん」こと渡辺真衣被告(25)。判決前、勾留中の名古屋拘置所で記者との面会に応じて事件に至った経緯を語り、「捕まってほっとした」などと、複雑な心境も吐露していた。(福益博子)判決に臨む「頂き女子りりちゃん」こと渡辺被告(中央)(イラスト・構成 富永商太)判決に臨む「頂き女子りりちゃん」こと渡辺被告(中央)(イラスト・構成 富永商太) 「愛情不足で、居場所がない女の子たちが『ホス狂い』になる。ホストはお金を払うと褒めてくれるし、私を必要としてくれる」。渡辺被告は判決前の今月3日、記者に事件の動機をそう語った。

 「ホス狂い」とは、ホストとの交際に熱中するあまり、身の丈にあわない高額の現金を貢ぐ女性のことを指すスラングだ。 渡辺被告は20歳頃から東京・歌舞伎町のホストクラブに通うようになり、「担当」と呼ばれるお気に入りのホストに数百万円単位で金を使うようになった。 家族から虐待され、学校でもいじめられて「居場所がなかった」と公判で主張していた渡辺被告。「ウソだと分かっていても、ホストの『好きだよ』の言葉がうれしかった」。拘置所の中でそう語った。渡辺被告の判決の傍聴券を求めて並ぶ傍聴希望者ら(22日午後1時12分、名古屋地裁前で)渡辺被告の判決の傍聴券を求めて並ぶ傍聴希望者ら(22日午後1時12分、名古屋地裁前で) 「ホス狂い」たちは、一度に数百万円単位をホストに使うため、風俗などで高額を稼ぐ。渡辺被告はそれでも足りず、マッチングアプリなどで知り合った男性から現金をだまし取るようになった。だます方法を書いたマニュアルもSNS経由で飛ぶように売れた。 起訴されていない分も含めると、約3億円を詐欺で得たという。ただ、精神的には日々限界だったといい、「男性の人生を破滅させていることが嫌で、苦しかった」と振り返った。 「それでも『ホス狂い』以外の生き方が分からなくて、担当に褒めてもらうこと以外に生きている意味が見いだせなくて、でもやめたくて……」と早口で語ると、涙をにじませた。ホストクラブ通いを減らし、詐欺行為をやめようとしていたところで、愛知県警に逮捕されたという。「逮捕されてほっとした?」と記者が尋ねると、興奮したように「ほんとに!」と声をあげてうなずいた。 渡辺被告の判決には、傍聴席81席に対し313人が傍聴券を求めて列をなした。渡辺被告は主文の読み上げ後、苦しそうに呼吸を荒くし、裁判長が判決の読み上げを中断する場面もあった。再開後も、首をゆらゆらと揺らすなど、終始落ち着かない様子だった。 「外に出るのは10年先とかになっちゃうかもしれないけど、今度は、生きていて良かったと思う人生を過ごしたい。強くなって、女の子に寄り添える人間になりたい」。そう拘置所で語っていた渡辺被告は、判決を聞き終えると、うつむきがちに法廷を後にした。

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