解体に向けて店舗が移転・廃業し、照明も消えた市場南側の一角解体に向けて店舗が移転・廃業し、照明も消えた市場南側の一角
 北九州市小倉北区の
旦過(たんが)
市場一帯で2022年4月に起きた1度目の大規模火災から19日で2年となる。市が進める再整備事業は相次ぐ火災の影響で遅れていたが、被害を免れた市場南側の一角は3月末までにほぼ営業を終え、市は夏の解体開始と今年度末の商業施設着工を目指す。昭和の面影を残す北九州市民の台所は再生への歩みを進めている。(牟田口洸介)

 今月16日、青果店や鮮魚店などが軒を連ねていた市場南側の一角。通路には「関係者以外立ち入り禁止」の柵が設置され、解体に向け、ほとんどの店が移転・廃業していた。一部の店は火災跡地に設けられたプレハブの「旦過青空市場」に移って営業している。 65年以上前から木造店舗がひしめき合い、様々な所で雨漏りするなど老朽化が著しかった。再整備事業で市が最も早く解体するエリアで、跡地には鉄骨4階建ての商業施設を建設する。 この一角の店舗でつくる協同組合の古場泰憲理事長(77)は「いつまた火災が起きてもおかしくない。一日も早く解体して再整備のステップを進めてほしい」と強調する。 古い木造店舗が集まる旦過市場では、防火対策や近くを流れる河川の水害対策のため、市が大規模火災前から再整備事業に取り組んできた。 市によると、この一角の店舗所有者らとの移転交渉はコロナ禍や2度の大規模火災の影響で遅れていたが、約7割が市との補償契約を締結。市は残る店舗側とも交渉を続けており、古場理事長は「威勢のいい声が響く市場の雰囲気を残す施設にしたい」と語る。 再整備事業を巡っては、北九州市立大が27年4月の開設を計画する新学部を誘致する動きも出ている。 新学部はデジタル人材の育成が狙いで定員は約120人。市場の組合側は、再整備事業で民間が主体となって建物を建てるエリアでの開設を要望しており、市と同大は候補地として検討している。 市場に若者が集うだけでなく、ITと融合させたにぎわい創出の取り組みなどが期待され、旦過市場商店街の中尾憲二会長(58)は「生まれ変わる市場が市の発展の一翼を担うためにも、若者の力を活力にしていきたい」と話している。木造飲食店などで防火指導 北九州市では旦過市場一帯の火災後も大規模火災が相次いでいる。今年1月に小倉北区の中心市街地にある飲食店街「鳥町食道街」など36店舗が焼損。3月には八幡東区でも飲食店など8棟が焼けた。 市は対策として今年度、古い建物が密集する地域の木造飲食店に自動消火装置を設置する費用を9割補助する。 このほか、市消防局OBの防火指導員が木造飲食店などを訪問して防火対策や消火器の使い方などの指導を続けており、同局予防課は「火災リスクを減らすため、防火意識向上の取り組みを進める」としている。

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