【安木レポート】ロシアの戦費調達と加速する中国のウニ買い付け、釧路・函館のウニ養殖が握る北海道の安定供給

安木 新一郎

安木 新一郎
函館大学商学部教授/択捉島水産会理事

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2026.6.4(木)

ウニを水揚げする日本とロシアの漁師。ロシアからのウニ輸入量に大きな変化はない(写真:共同通信社)

目次

戦費調達のためにウニの中国輸出を増やすロシア

コンブ漁とウニ漁が一体化している釧路の成功

 2022年2月から始まったウクライナ戦争は4年以上が経過しているが、ロシアからのウニ輸入量に大きな変化はない。2021年から2025年までのウニの輸入量を見ると、総量1万1000トンで、そのうちロシアが9000トン(80%)、チリが1500トン(15%)という状況で安定している。

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 もっとも、ロシア産とは言うものの、実は色丹島をはじめとする北方四島で獲れたウニが大宗を占める。以前は新千歳空港などで「ロシア産」として売られていたが、現在はちゃんと「北方四島産」と表示されている。

 チリからは加工されたウニが届くので、金額ベースでは輸入に占めるチリ産の割合が大きくなるが、重量ベースでは生の北方四島産ウニの存在感が圧倒的だ。

 ウニは人間だけでなくラッコにとっても重要な食料だ。ロシアの科学者たちは今年4月に千島列島のラッコの生息調査を実施し、北千島などを中心に増えていると報告した。ところが、色丹島だけはラッコが全く見当たらなかったというのである。

 科学者たちは、ラッコの保護区内でウニの漁獲がおこなわれており、ウニが少なくなって食べるものがなく、また人間や船の音に驚いて逃げてしまったのかもしれないとの仮説を立てている。

 色丹島にほど近い北海道東部では、沿岸各地でラッコが見られる。中には漁船に乗り込んでくる強者もおり、人を恐れない個体も出ている。これに対して、色丹島からラッコが消えているのは島周辺の自然環境が悪化している証左だ。

 北方領土では、ホッキ貝などの漁獲が制限されているため、日本に売れる海産物はウニに偏っている。色丹島では、プーチン大統領が直接水産加工業の立て直しを指示したこともあって、カニやスケトウダラのすり身の生産が好調だとロシアでは報じられているが、日本向けのウニの採取は依然として島民の重要な生業。このままでは、ウニを取り尽くしかねない。

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