【関連写真】アジア最大級のICT見本市「COMPUTEX TAIPEI 2026」が2日、台湾で開幕した=台北市

 開幕式には、頼清徳総統をはじめ、卓栄泰行政院長、TAITRAの黄志芳董事長(会長)、TCAの陳俊聖理事長らが出席した。開幕式の冒頭、主催者は「COMPUTEX 2026は歴史的な開催で、過去最大規模になる」と紹介した。

 黄会長はあいさつで、AIを「新しい文明の始まり」と位置付けた。地政学と新技術という二つの大きな力が世界を変えているとした上で、頼総統の下で進めるサプライチェーン再編や10大AIインフラプロジェクトを通じ、台湾が世界から信頼される存在を維持していると述べた。

 黄会長は、AIについて「単なる技術の物語ではなく、人間の物語だ」と述べた。AIは道具から行動する存在へ進化しており、新しい知性が人類の未来の文明を形づくるとの考えを示した。今年のテーマ「AI Together」については、一つの国、企業、AIモデルが次の時代を決めるのではなく、人間とAI、台湾と世界がともに築く時代を表すものだと説明した。

 TCAの陳理事長は、COMPUTEXが45年の歴史を持つ展示会であることに触れた。今年は33カ国から1500社以上が出展し、6000小間超を展開する。登録来場者は6万人規模に達するとし、AI関連技術の広がりと国際性の高まりを示した。

 陳理事長は、台湾がAI時代に不可欠な存在になる重要性も強調した。生成AIがここ数年の大きな潮流になり、AIエージェントの活用やトークン経済といった新しい利用モデルが生まれていると説明。台北101での1000機を超えるドローンショーなどを挙げ、COMPUTEXは展示会場にとどまらず、台北市全体へ広がるイベントになっていると述べた。

 頼総統はあいさつで、世界のAI需要が高まるほど、安定し、信頼でき、責任を持てる台湾の重要性が増すと強調した。台湾には技術力、産業力、民主制度の下で積み重ねてきた信頼があるとし、各国のテクノロジー企業が台湾への追加投資を発表していることは、その評価の表れだと述べた。

 頼総統は、平和は産業発展の基礎だとして、台湾海峡の安定と現状維持に取り組む姿勢を改めて示した。これは台湾が世界のサプライチェーンに対して果たす約束でもあるとした上で、演算力やAIインフラへの需要急増に対応するため、人材、水資源、電力、土地を確保し、産業発展を支える考えを示した。

 人材面では、海外の専門人材を誘致する制度の拡充に触れた。水資源では、水供給網をつなぐ「パールストリング・プロジェクト」が完成に近づいていると説明。電力供給では、台湾電力が20%の運転予備力を持ち、2032年まで安定供給を確保すると述べた。サイエンスパークやインダストリアルパークの増設も進め、企業が台湾に根を下ろし、世界へ展開することを支援する。

 頼総統は、台湾が人材、インフラ、交通、環境保全を組み合わせ、信頼性が高く、持続可能なAI産業エコシステムの構築を目指すと強調した。第1四半期のGDP(国民総生産)の年増加率が14.55%となり、48年ぶりの高水準を記録したことにも触れ、台湾がAI発展に欠かせない要になっているとの認識を示した。

 今後の競争力強化に向けては、行政院がAIインフラ整備を進め、2040年までに50万人のAI人材を育成する方針を示した。さらに、中小零細企業や従来型産業の高度化を支援する1000億台湾ドル規模の計画を進め、テクノロジー産業が従来型産業をけん引し、大企業が中小企業を支える形で、幅広い産業へのAI実装を促すと述べた。

 今年のCOMPUTEXでは、AIとロボティクスを組み合わせた「フィジカルAI」も大きな焦点になる。会場では、ロボット、ドローン、スマートモビリティー、産業向けAIなどの展示が広がる。InnoVEXには33カ国から約500社のスタートアップが参加し、AIの社会実装を見据えた技術やサービスを披露する。

 開幕式閉会後、頼総統らは展示会場を視察した。関係者の説明を受けながら、AI、半導体などの展示を見て回り、台湾企業や海外出展企業の取り組みを確認した。会場には開幕直後から多くの来場者が訪れ、AIを軸にした国際展示会としての熱気に包まれた。

 COMPUTEX 2026は、生成AIの普及を超え、AIが端末、データセンター、ロボット、産業機器、都市インフラへ広がる段階を示す場になる。台湾は、半導体やICT製造で培った強みを生かし、世界のAIエコシステムを支える中核として存在感を高めている。

電波新聞社 メディア事業部

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