EUの行政執行機関である欧州委員会が、中国のECサイト・Temuに対して2億ユーロ(約371億円)の制裁金を科すことを発表しました。

Commission fines Temu €200 million for breaching the Digital Services Act
https://ec.europa.eu/commission/presscorner/detail/en/ip_26_1178


Temu fined $232 million for breaching EU rules on sale of illegal products | Reuters
https://www.reuters.com/world/china/temu-fined-232-million-breaching-eu-rules-sale-illegal-products-2026-05-28/

Temuは中国発の激安通販サイトとして人気を博していますが、その一方で海賊版や安全性に問題のある製品への対策が不十分であることが問題視されてきました。

EUでは「デジタルサービス法(DSA)」によって、ユーザー数が4500万人以上の大規模プラットフォームに対して、違法コンテンツや偽造品の拡散を防止するための措置を講じることを義務化しています。Temuも対象に含まれることから、欧州委員会は2024年10月にTemuに対する調査実施を決定しました。

Temuは偽造品や安全でない製品の取り扱いを管理できていないとして欧州委員会が調査に乗り出す – GIGAZINE

by Focal Foto

欧州委員会はTemuによる2024年と2025年の中間リスク評価報告書、2024年6月28日・2024年10月11日の欧州委員会による正式な情報要求への回答、第三者によって共有された情報、欧州委員会から委託を受けた独立した試験機関による覆面調査などをふまえた上で、「EUの消費者がTemuのプラットフォーム上で違法商品に遭遇する可能性は非常に高い」と判断。DSAに基づき、2億ユーロの制裁金を科すことを決定しました。

欧州委員会によると、Temuが行ったリスク評価はあくまでeコマース業界全体に関するリスクについての一般的な情報に基づいたもので、Temu自身のサービスに関する具体的証拠に基づいていなかったとのこと。このため、消費者が違法な商品に遭遇するリスクが著しく過小評価されていました。

覆面調査では、Temuで取り扱いのある充電器は多くが基本的な安全基準に適合しないものだったほか、検査対象となったベビー用品の大半が法定安全基準を超える化学物質を含有しているか、あるいは取り外し可能なパーツによる窒息の恐れがあり、中程度から高度の安全リスクを伴っていたとのこと。

また、レコメンデーションシステムや提携インフルエンサーによるプロモーションプログラムなど、Temuのサービス設計が違法製品の流通リスクをいかに増幅させるかという可能性についても、適切な評価が行われていませんでした。

DSA第75条の規定により、Temuは2026年8月28日までに欧州委員会に行動計画を提出する必要があります。行動計画にはリスク評価義務違反を是正するための措置を明記する必要があり、計画受領から1カ月以内に欧州デジタルサービス委員会が意見表明を行います。その後、さらに1カ月以内に欧州委員会が最終決定を採択し、措置実施のための合理的期間を設定します。

今回の決定に従わない場合、Temuには持続的に制裁金が科される可能性があります。欧州委員会は今回の決定およびDSA全般の順守に向けて、引き続きTemuと協議を行っていくとのことです。

欧州委員会上級副委員長で技術主権・安全保障・民主主義担当のヘンナ・ヴィルックネン氏は「リスク評価は形式的な手続きではなく、DSAの根幹を成すものです。Temuのリスク評価は具体的なリスクを過小評価しており、具体性に欠け、確固たる証拠に基づいておらず、包括的でもありません。その結果、Temuで販売されている違法製品がもたらす潜在的な被害の本当の規模について、規制当局もユーザーも一般市民も、いまだ情報を得られていません。今こそ、Temuは法律を順守すべき時です」と述べています。

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