政府の調査データを用いた新たな研究から、たばこが家計を圧迫する一方、たばこをやめることで経済的利益が生まれる可能性があることが分かった。(2026年5月29日公開)

新たな研究によると、インドでは10世帯に1世帯を超える世帯が、たばこをやめることで1つ上の経済階層へ移行できるほど大きな経済的恩恵を受ける可能性がある。これは2000万世帯を超える家族にとって、教育や医療など日々の必需品に充てる資金の増加、貯蓄の改善、医療費の減少につながる可能性がある。

『BMJ Global Health』に掲載されたこの新たな研究では、タタ社会科学研究所、インド医学研究評議会、科学・革新研究アカデミーの研究者らが、2022~23年度「家計消費支出調査」に含まれる、全国を代表する26万世帯超のデータを分析した。この調査では、たばこ (紙巻きたばこ、ビディ、グトカ、ザルダ、嗅ぎたばこ、チェルートなど) の消費量が、世帯ごとに7日間単位で記録された。

研究者らは、世帯規模の違いに伴う相対的な消費ニーズを考慮する家計消費調査の枠組みである「ディートン等価尺度」を用いた。最も貧しい世帯では、1人当たり月収に占めるたばこ支出の割合が6.4%と最も高かった。この割合は世帯所得の増加に伴って低下し、最も裕福な世帯では1人当たり2%だった。

また、この研究では、たばこ消費パターンに都市部と農村部の差があることも確認された。すべての経済層で、農村世帯はたばこに充てる支出の割合が高かった (6.6%)。研究者らは、これは所得以外の構造的差異、すなわち農村環境における文化的、社会的、アクセス面の要因を示唆していると指摘する。

分析によれば、たばこをやめることで、インドの世帯の11% (2049万世帯) が次の経済階層へ移行する可能性があるという。この割合は都市部 (7%、350万世帯) に比べ、農村部 (12%、1700万世帯) で高くなると見込まれる。

たばこをやめることで、最貧困層および低中所得層の1274万世帯が現在の所得階層から抜け出す可能性があり、その効果は農村世帯でより大きい。中には2つ、あるいは3つ上の所得階層に上昇する世帯もある。また、この研究によれば、500万世帯の中所得世帯もより高い経済階層へ進む可能性がある。

世界保健機関 (WHO) は、たばこ使用を世界の発展に対する「致命的な脅威」と呼んでいる。たばこ使用は、がん、心臓病、脳卒中と関連している。世界のたばこ使用者の約80%は、低・中所得国に居住している。これらの国々は、2012年に世界のGDPの約2%に当たる1兆4000億米ドルに達した世界全体の喫煙による総経済コストの、ほぼ40%を負担している。ブラジル、ロシア、インド、中国だけで、その総額の4分の1を占めている。

インドでは、15歳以上のインド人の29%に当たる2億6000万人超がたばこ使用者であり、喫煙製品よりも無煙たばこ (カイニ、グトカ、ベテル・クイッド、ザルダ) が好まれている。インドでは毎年、たばこ使用により約135万人が死亡している。

「私たちの研究結果は、たばこ使用の中止が健康上不可欠であるだけでなく、貧困削減のための強力な経済的手段でもあることを示しています」と研究者らは述べている。「たばこ使用の中止によって解放される多大な資源は、子どもの栄養改善、医療へのアクセス向上、教育投資に向けた有意義な機会となります。」

ただし研究者らは、たばこをやめることによる実際の経済的利益について決定的な結論は導き出せないため、この研究は経済的向上を直接定量化したものではないと注意を促している。この研究は、たばこがもたらす直接的な経済的制約と、たばこ使用中止の潜在可能性を示したにすぎない。

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