本記事はk-IDの提供による寄稿記事です。

ブラジルが、ゲーム業界にとって近年最も影響力のある規制変更の一つを施行しました。2026年3月に施行された「デジタルECA」(法律第15,211/2025号)により、世界第5位の人口大国ブラジルではゲームの収益化モデルと未成年者との関わり方が根本から変わることになります。業界の反応も迅速で、グローバルおよび日本の主要パブリッシャーの多くが、すでにルートボックス(ガチャ)形式の機能へのアクセス規制や年齢確認ゲートの導入を進めています(参考:Brazil FELCA Compliance: Age Verification API for Gaming & Digital Platforms (2026)、Brazil’s Felca Law Blocks Kids from Multiple Games: What Gamers Need to Know)。

そしてこの出来事は一過性のものではありません。インドネシアやインドといった新興市場でも、検証可能な保護者同意の義務化、厳格な年齢確認、未成年者へのターゲティング広告禁止を盛り込んだ類似した法制の整備が進んでいます(参考:Indonesia restricts under-16 digital accounts to fight cybercrime – ANTARA News、DPDP Rules 2025 Notified by MeitY: Complete guide | EY – India)。こういった流れの中、ゲーム業界にいる法務・コンプライアンス担当は今から対策を求められています。

k-IDの詳細はこちら適用範囲:グローバルパブリッシャーに逃げ道なし

デジタルECAは、ブラジル国内の児童(12歳未満)および青少年(12歳以上18歳未満)を対象とする、または「利用される可能性のある」あらゆる製品・サービスに適用されます。ゲームが「利用される可能性がある」とみなされる基準は、未成年者にとって魅力的であるもの、利用の容易さ、ソーシャル機能を通じたリスクの有無など広範囲にわたります。域外適用は明確に規定されており、スタジオがどの国に拠点を置いていても、ブラジルでリリースされている以上、コンプライアンスは必須となります。

ゲームビジネスモデルへの3つの直撃1. 有料ルートボックスに明確な年齢制限

法律第20条は、未成年者がアクセス可能な電子ゲームにおける有料ルートボックスを明示的に禁止しています。コンプライアンスを満たすには、未成年者のアクセスを制限するための確実な年齢確認を導入するか、その層向けにルートボックスを含まないバージョンを提供するかのいずれかが求められます 。

2. 「自己申告」がグレーゾーンでなくなる

「18歳以上です」というチェックボックスや生年月日の自由入力に依存した年齢確認は、法的に不十分とみなされます。法律では、技術的に信頼性が高く、プライバシーに配慮した年齢確認メカニズムを求められており、パブリッシャーはデバイスベースの年齢推定や第三者の本人確認サービスとの連携など、検証可能なソリューションへの移行が必要となるのです。

3. ターゲティング広告とプロファイリングの停止

広告収益に依存する基本プレイ無料(F2P)タイトルには、重要なコンプライアンス要件が課されています。第22条は、未成年者への商業広告を目的としたプロファイリングを明示的に禁止しています。行動データやプレイ履歴、AR・VRなどの先端技術を用いた18歳未満へのターゲティング広告は厳しく制限されており、収益化戦略の実質的な見直しが求められています。

ペアレンタルコントロールの義務化

パブリッシャーは、デフォルトで「利用可能な最高水準の保護」に設定された保護者監督ツールを提供することが義務付けられています。このツールは、保護者が以下を行えるものでなければなりません。

スクリーンタイムの監視と制限

未承認ユーザーとのコミュニケーション(ボイス・テキストチャット)のブロック

ゲーム内購入の制限

パーソナライズされたレコメンドシステムの無効化

さらに、ソーシャルネットワーク機能を持つゲームでは、16歳未満のアカウントを保護者または法定後見人のアカウントにリンクさせることが求められます。

罰則:最大で売上高の10%

執行機関であるブラジル国家データ保護庁(ANPD)のもと、違反した企業にはブラジル国内における前年度売上高の最大10%の罰金という厳しいペナルティが科されます。なお、売上高データが入手できない場合は、違反1件につき最大5,000万レアル(約940万米ドル)の罰金が科されるほか、裁判所はゲームのブラジル国内での運営禁止を命じることもできます。

世界的なドミノ効果

ブラジルのデジタルECAは重要な転換点ですが、これはまだ始まりに過ぎません。16歳未満のデジタルプラットフォームへのアクセスを制限するインドネシアの新規制や、検証可能な保護者同意の義務化と未成年者への標的型広告禁止を盛り込んだインドのDPDPルール2025は、「年齢に応じた設計(Age Appropriate Design)」が世界的な標準になりつつあることを示してます。

パブリッシャーは、ユーザー層の実態を把握し、自己申告に依存しない年齢確認へと移行し、プレイヤーの確認済み年齢に基づいてルートボックスやターゲティング広告へのアクセスを柔軟に制御できる収益化システムを構築していく必要があります。コンプライアンスへの対応力は、グローバル市場へのアクセスを維持するための条件として、ますます重要になっているのです。

実用的なソリューションはすでに存在する

コンプライアンスの課題は現実に迫ってきていますが、解決策がないわけではありません。ますます多くのパブリッシャーが、ゲーム業界向けに設計された軽量な年齢確認ソリューションを提供する k-ID などのプラットフォームと連携しています。タイトル全体に一律のゲートを設けるのではなく、k-IDはルートボックスへのアクセスやチャット機能といった「リスクのある機能」そのものにピンポイントで年齢確認を配置することを可能にし、大多数のユーザーへの摩擦を最小限に抑えながら、法的要件を的確に満たします。プラットフォームはジオアダプティブ(地域適応型)であり、各法域で法的に推奨される年齢確認手法——IDドキュメントのスキャンや顔による年齢推定など——を自動的に提示します。

パブリッシャーにとって特に注目すべきは、k-IDが提供するAgeKeysと呼ばれる再利用可能な年齢確認トークンです。パスキーベースのアーキテクチャで構築されたAgeKeysは、あるオンラインサービスで一度確認されたユーザーが、次のサービスに移行する際にFace IDチェック一つで通過できる仕組みです。書類の再提出も、繰り返しの手続きも不要で、確認済みの資格情報はユーザーとともに移動します。ブラジル、インドネシア、インドをはじめとする各国の年齢確認要件が複雑に絡み合う中、こうした相互運用可能でプライバシーに配慮したインフラは、業界にとって最も現実的な前進の道となるでしょう。

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