2026年シーズンのジョージ・ラッセル(メルセデス)のガレージには、どこか落ち着かない空気が漂い続けている。スタートやリスタートでの出遅れ、接触など、物事は決してスムーズに進んでいない。

とりわけ第4戦マイアミGPの週末は、両予選セッションで僚友アンドレア・キミ・アントネッリに対して0.4秒の遅れを取るなど、ラッセルにとって受け入れがたい現実が浮き彫りとなった。期待外れと言わざるを得ない状況だ。

迷宮入りの末の終盤20周テスト

スプリントレースこそアントネッリを脅かす速さを見せ、チームメイトのペナルティにも助けられて4位に入ったものの、アントネッリが見事な3戦連続ポール・トゥ・ウインを飾った決勝レースでは再び苦境に立たされた。

結果、開幕4戦終了時点というシーズンの早い段階で、選手権争いでの首位アントネッリとの差は20ポイントにまで拡大した。

5番グリッドからスタートし、4位でフィニッシュした決勝での自身について、ラッセルは「本当に、本当に酷いペースだった」と振り返る。どうすればクルマを速く走らせることができるのか、まったく分からず迷宮に迷い込んでいた。

よりペースを引き上げるための手がかりを求めて、レース終盤の20周をテストセッションとして使わざるを得ないほど、状況は深刻だった。だがこれは一定の成果をもたらした。

「最後の10周で幾つかのアイデアを試したら、一気に競争力が上がった。ディファレンシャルとブレーキバランスにかなり大きな変更を加えて、キミが週末を通して走らせていたものにかなり近づけたんだ」

「走り方を忘れたわけじゃない。少し流れが悪いだけだ」

グリッド上で会話を交わすアンドレア・キミ・アントネッリとジョージ・ラッセル(ともにメルセデス)、2026年5月2日(土) F1マイアミGPスプリント(マイアミ・インターナショナル・オートドローム)Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

グリッド上で会話を交わすアンドレア・キミ・アントネッリとジョージ・ラッセル(ともにメルセデス)、2026年5月2日(土) F1マイアミGPスプリント(マイアミ・インターナショナル・オートドローム)

一方で同じ終盤には、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)と接触し、フロントウイングにダメージを負うという試練が待ち構えていた。

厳しい週末の中でチャンピオンシップ争いにおけるダメージを最小限に抑えたとはいえ、コース上で躍動する若きチームメイトの影で、ラッセルは一人もがき続けていた。

マイアミが暴いたラッセルの弱点

マイアミ・インターナショナル・オートドロームは、ラッセルが以前からしばしば苦戦を強いられてきたコースだ。彼の感覚を狂わせ、逆にアントネッリの強みを引き出した要因の一つは、マイアミ特有の滑らかな路面と高い気温にあるとみられる。

マクラーレンにおけるランド・ノリスとオスカー・ピアストリの関係に少し似ているが、ラッセルはよりグリップの高い状況を好む傾向があることを自ら認めている。

路面が滑らかであればあるほど、ラッセルが本来持ち合わせているマシンの限界を引き出す感覚は鈍り、ラップタイムへの変換が難しくなる。

だからこそラッセルは、より荒れた路面と、より低い気温という、一般的なコンディション下での開催が期待できる今後のレースが「待ちきれない」と口にした。

スタート直後のコーナーで先頭を走るアンドレア・キミ・アントネッリと追うジョージ・ラッセル(ともにメルセデス)、2026年5月2日(土) F1マイアミGPスプリント(マイアミ・インターナショナル・オートドローム)Courtesy Of Mercedes-Benz Grand Prix Ltd.

スタート直後のコーナーで先頭を走るアンドレア・キミ・アントネッリと追うジョージ・ラッセル(ともにメルセデス)、2026年5月2日(土) F1マイアミGPスプリント(マイアミ・インターナショナル・オートドローム)

背水の陣で臨むカナダGP

次戦カナダGPの舞台となるジル・ビルヌーブ・サーキットはラッセルにとって、タイトル争いの行方を占う試金石となり得る。実際、本人も「本当の試練は今後数戦で訪れるだろう」と認める。

モントリオールはラッセルにとって、昨シーズン初の勝利を飾った思い出の地であると同時に、メルセデスが今季初となる大規模なアップグレード・パッケージを投入する重要な週末でもある。

言い訳のできないこの状況下で、もし再びアントネッリの水準に及ばないことがあれば、ラッセルは自らのパフォーマンスを本格的に危惧すべき状況に置かれることになるだろう。

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