ドイツのメルツ首相(写真)はトランプ米大統領との対立が深刻に(写真:AP/アフロ)
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戦後最悪のエネルギー危機にトランプ関税が追い打ち
防衛産業に期待するも移民問題が足かせに
米国防総省は5月1日「ドイツに駐留する米軍部隊のうち5000人を撤退させる」と発表した。撤退は今後6カ月~12カ月で完了する見通しだ。バイデン前政権が今年中に開始する予定だった長距離火力大隊の配備も取りやめるとしている。
ドイツは欧州最大の米軍拠点で、約3万6000人の現役軍人が駐留し、重要な訓練拠点となっている。海外の米軍拠点としては5万人規模の在日米軍に次いで大きい。今回の削減により、在欧州米軍の規模はロシアによるウクライナ侵攻を受けて増強した2022年以前に戻ると言われている。
トランプ氏は5月2日「削減規模はさらに大きくなる」と主張したが、与党・共和党内で反対の声が上がっており、先行きは不透明だ。
ロシアとウクライナとの停戦が見通せない中、米軍がドイツ駐留軍の規模縮小に踏み切った背景にメルツ独首相の先週の発言があったことは間違いないだろう。
メルツ氏が4月27日に「イランが交渉の場で米国に恥をかかせている」と発言したことにトランプ米大統領が激怒し、SNSでメルツ氏に猛反撃した。米国のイラン攻撃に批判的な言動を続けるメルツ氏に対し、トランプ氏の怒りは頂点に達したようだ。
メルツ氏は「トランプ氏との個人的な関係は良好だ」と火消しに走っているが、ドイツ政府内では「公に発言するべきではなかった」との声が上がっている。失言癖があるメルツ氏は虎の尾を踏んでしまったのかもしれない。
筆者が注目したのは、トランプ氏のメルツ氏に対する批判だ。
