米中首脳会談でイラン戦争の停戦について協議されるだろうが・・・(写真は2025年10月25日、韓国で、写真:AP/アフロ)

(英フィナンシャル・タイムズ紙 2026年4月29日付)

 米国がサダム・フセインを排除するのに、1991年の第1次湾岸戦争から第2次湾岸戦争に至る12年の歳月を要した。この独裁者の身柄が拘束された後も、イラクでは数年にわたって反乱が続いた。

 第3次湾岸戦争がいつ頃終わるかについては、金融市場を筆頭にかなりの油断が見受けられる。

 ドナルド・トランプによるイランへの「壮絶な怒り作戦」は、壮絶な出口探しと化した。しかし、武力紛争に戻ることがない明らかな出口は存在しない。

 なぜそう言えるのかは、イランが示した最新の提案を読めば分かる。

 計画では、トランプがイラン港湾の海上封鎖を解き、イランがホルムズ海峡を開放し、核の問題についてはその後で協議する。

 トランプはこれを拒否したが、これを上回る条件を引き出せるかどうかは今のところ定かでない。

 この提案がなされたのは、交渉担当者のイスラマバード行きをトランプが再度キャンセルせざるを得なくなった直後のことだった。

 担当者のスティーブ・ウィトコフとジャレッド・クシュナーの2人については、複雑な核協議を行うのにふさわしくないとの指摘が数多くなされている。

 この2人に専門的な能力がどれほど不足しているかが判明するのは、しばらく先になるかもしれない。

トランプ政権を信用しないイラン

 今回の戦争の最も顕著な特徴は、戦いを続けたくなる有力な理由がイラン側にあることだ。

 中東に新たな黄金時代をもたらすとトランプが何度提案しようとも、イランはすぐには受け入れないだろう。

 自分の思い通りにことが運ばなかった場合、トランプが手のひらを返して体制転覆を狙ってこないとは考えにくいからだ。

 何しろ、天国を約束するかと思えば次の日には態度をがらりと変え、地獄を見せてやると凄むようなことを繰り返してきた人物だ。

 イランの現体制が残忍で狂信的だからだなどという言い訳は通用しない。最も寛大な交渉担当者ですら、トランプの言うことを言葉通りに受け入れることは難しいと考えるはずだ。

 イラン側から見れば、海峡封鎖を続ければ続けるほど、トランプがこの教訓を理解する公算が大きくなる。

 だが、イランの先日の提案を少しひねったものにトランプが同意したらどうなるか。恐らく核協議が滞ったり失敗したりした場合に備えて、互いに脅し合うことになるだろう。

 トランプの武器は橋や発電所、さらには海水淡水化施設などへの爆撃と、斬首作戦の再開になる。

 イランの武器はホルムズ海峡の再封鎖だ。どちらの方に威力があるかは、戦略の大家でなくても分かる。

 トランプはイランの核開発の野心について何か言うかもしれないが、戦争の最大の目的が海峡の再開であることをすでに明らかにしている。

 そしてイラン側は、空からひどく攻撃されても耐える力があることを明らかにしている。

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