
写真はメタ社のロゴ。2025年6月、フランスのパリで撮影。REUTERS/Gonzalo Fuentes
[北京 27日 ロイター] – 中国国家発展改革委員会(発改委)は27日、米メタ(META.O), opens new tabによる中国発の人工知能(AI)企業Manus(マナス)の買収を認めないと発表し、取引の撤回を命じた。米国が半導体関連の輸出規制を通じて中国のAI開発を阻もうとする中、中国のAI人材や知的財産が米国企業に取り込まれるのを阻止する姿勢を示した。
発改委の外国投資安全審査室は、「法令に基づきManusへの外国投資を禁止し、関係当事者に買収取引の撤回を求める」と表明した。声明にメタや他の海外投資家の名前は挙げられなかった。
メタは27日の声明で「取引は適用法令を完全に順守している。この調査について適切な解決を見込んでいる」と述べた。メタはAIエージェント(最小限の人的介入で複雑なタスクを実行するツール)の開発強化を目的にManusを買収した。
メタは昨年12月、Manusを買収すると発表した。中国商務省は今年1月、メタによる買収完了の数日後に調査を開始した。
Manusは昨年5月に米ベンチャーキャピタルのベンチマークが主導する7500万ドルの資金調達を完了した後、同年7月に中国のオフィスを閉鎖し、数十人の従業員を解雇した。その後、事業をシンガポールに移転。これにより、Manusの親会社バタフライ・エフェクトはシンガポールで再法人化し、中国のAI企業に対する米国の投資規制と、国内AI企業の知的財産や資本の海外移転を制限する中国の規制の双方を回避できるようになった。
シンガポールに拠点を置く企業が関与する取引について、中国がどのような根拠で撤回を求めているのか、また完了済みの買収がどのように撤回されるのかは不明だ。しかし、アナリストや弁護士は、完了済みの取引を撤回させる異例の措置は、中国当局が国家安全保障審査の枠組みの下で、中国の資産・株主・技術が関わる国境を越えた取引に対する管轄権の確立を目指していることを示すものだと指摘した。
今年3月、規制当局が買収審査を進める中、Manusの肖弘最高経営責任者(CEO)と季逸超首席科学者が北京で規制当局者と面談し、その後出国禁止になっていることが関係者の話で分かった。
Manusのスタッフはすでにメタのシンガポールオフィスに移っており、2人の幹部が出国禁止となっているにもかかわらずプロジェクトは進行していると、事情に詳しい関係者2人が明らかにした。
中国の法律事務所、中倫律師事務所のパートナー、カール・リー氏は27日、リンクトインへの投稿で、今回の措置は買収の規制分析がもはや対象企業の設立地に限定されないことを示していると指摘。「技術の発祥地、中核的な研究開発の所在地、創業チームの国籍と所在地、中国での過去の事業、データの流れ、オフショア再編のプロセスなど、全てが審査対象になり得る」と述べた。さらに「機微な技術分野では、取引はM&Aとしてだけでなく、戦略的技術やデータ、ノウハウ、国家安全保障上の機微な能力の潜在的な移転としても審査される可能性がある」との見方を示した。
Manusは昨年初め、世界初と称して汎用AIエージェントを発表、国営メディアや評論家から「中国の次なるディープシーク」として称賛された。
今回の発改委の決定は、外国資本へのアクセスを求めてシンガポールに事業を移転する中国のスタートアップ企業、特にテクノロジーなどの機微な分野の企業に対する厳しい警告を発するものだ。こうした慣行は「シンガポール・ウォッシング」と呼ばれることが多い。
アンクラ・チャイナ・アドバイザーズのマネジングディレクター、アルフレド・モントゥファール・ヘル氏は、中国当局の介入は、AIが米中間の戦略的競争の中心的な存在となっていることを反映し、かつて半導体に集中していた規制がAIにも及んでいることを示すと指摘した。
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