SEMI Europe 20 Under 30 Awardは、半導体業界の未来を切り拓く若手優秀人材を表彰する制度だ。受賞者の Tokyo Electron Europe(TEL Europe)のエンジニア Vincent Riedrichが、半導体業界での道のりと、変化の激しい半導体業界で働くためのモチベーションを語る。

略歴




Vincent Riedrich


Startup Engineer

Tokyo Electron Europe

Vincentは、メカトロニクスおよび電気工学を学び、2022年よりTokyo Electron Europeにて、システム導入、カスタマートレーニング、装置立ち上げ業務を担当。仕事と並行して、国家資格である電気技術者を目指し、オンラインプログラムでの履修を修了。



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職業訓練生から受賞者へ

2025年11月、ヴィンセントは2025 SEMI Europe 20 Under 30 Awardの受賞者の1人に選ばれた。本賞は、マイクロエレクトロニクス(精密電子技術)のサプライチェーン全体で活躍する30歳未満の若手人材を対象に、優れたリーダーシップ、技術力、イノベーション、協業、多様性推進への貢献を評価する賞だ。

SEMI Europe 20 Under 30の受賞、おめでとうございます。これまでの経歴と、この成果に至った経緯を教えてください。

「私が半導体業界に入ったのは約10年前、ドイツのフラウンホーファー研究所でメカトロニクス技術者の訓練生*になったことがきっかけです。2019年に正式に採用されてからは、主に計測システムやドライエッチング装置の業務に携わり、プロセスと装置技術について学びました。

プラズマエッチング分野の知識をさらに広げるために2022年にTEL Europeに入社し、装置の立ち上げを担当するスタートアップエンジニアとして働き始めました。その後、カスタマートレーニング、トラブル対応、カスタマーサポートの役割も増えていきました。この技術力と実務経験、そしてお客さまとの密な連携が、これまでの成長に繋がっています。」


ドイツでの国家認定の職業訓練制度。企業での実務(OJT)と並行して、学校で専門知識・理論を習得する。

今回の受賞をもたらした、特定のプロジェクトやイノベーションはありますか?

「これだけが決め手という要因はありません。いくつかのプロジェクトへの取り組みと、これまでの努力が認められた結果です。

大きな理由の1つは、ドライエッチング装置の業務です。私は、過去数年間にわたり、多くの装置の立ち上げのサポートやトラブル対応、最適化プロジェクトを担当し、短期間でのシステム安定化や、プロセス品質向上、お客さまの技術的課題の解決を支援してきました。

さらに、知識の共有にも力を入れています。お客さまや新入社員向けに研修を企画し、実践的かつ効率的にノウハウを伝えることに努めています。これは、半導体業界において非常に重要な取り組みです。

また、国家資格の電気技術者を目指すオンラインコースの受講も、受賞理由の1つだと思います。長期的な成長を目指し、技術基盤を着実に強化している姿勢の証明だからです。技術への情熱、お客さまへの真摯な姿勢、学び続ける意欲、そして責任感。これらが、SEMI Europe 20 Under 30を受賞した理由だと思います。」




SEMICON Europa 2025にて(Vincentは写真左側)


自分の仕事は、半導体業界や技術にどのような影響をもたらしていると考えますか?」

「プロセスの安定化、知識の共有、そしてバリューチェーン全体の能力向上に貢献していると考えています。

私の仕事は、主に二つの分野に影響しています。まず、装置の信頼性です。ドライエッチング装置の立ち上げやトラブル対応で、とても複雑な半導体製造装置を、より安定的かつ効率的に、再現性高く稼働させる支援をおこなっています。稼働率が上がり、精度が向上した装置は、製品の歩留まりや品質に直結します。ナノメートル単位で成功・失敗が決まるこの業界においては、私の仕事の影響は大きいです。

もう一つは、知識の共有です。カスタマートレーニングや現場のエンジニアとの連携、協力して問題解決に対応しながら、ノウハウを迅速かつ実践的に製造現場に届けています。このような知見の共有がイノベーションの加速につながり、新しい技術の早期実用化を実現しています。」

変化の激しい業界で、どのようにしてモチベーションや革新性を維持していますか?

「1番の動機づけとなっているのは、半導体業界の絶え間ない成長です。毎週、新たな課題や技術が出てきて、このダイナミズムが仕事の魅力となっています。

職場環境自体も刺激的です。半導体業界は、とても動きが速く、技術的にも高度です。技術革新が生まれるスピードや、チームとして大きく貢献できることを実感できる点に、やりがいを感じています。そして、私自身の好奇心も重要な役割を果たしています。好奇心がプロセスの理解を深め、新しい解決策を試す原動力となっていますし、物事の仕組みを本当に理解したいという思いが、未知のテーマや困難な課題に挑み続ける原点となっています。」

好奇心とつながりと挑戦と
半導体業界で活躍したい若い方々に向けて、アドバイスをお願いします。

「好奇心をもち、難しいテーマを恐れないこと。学び続け、質問をする意欲があれば、早く成長できます。

交流を大切にし、積極的に同僚とつながること。20 Under 30のような若手同士の交流は、新しいアイデアの源泉になり、とても励みになります。

研修や新たな仕事、プロジェクトの機会を活用すること。経験を積むたびに、自分の強みが増え、次のチャンスにつながります。

そして、何よりも楽しむこと。技術や課題を楽しむことができれば、長期にわたってモチベーションを維持しながら、一つ一つの仕事で成長できます。

学ぶ意欲とオープンな姿勢、そして責任感をもちつつ、仕事を楽しむこと。これらがあれば、業界にインパクトを与えられるはずです。」




仕事や勉強以外に、自然環境の中でリラックスしたり、アウトドアを楽しむ