広島「街なかスタジアム」はなぜ実現できたのか? 秋田と広島、スタジアムを巡る合意形成の正体<2/3>
■番記者が見たクラブと秋田市をめぐる状況
ここまで、広島における行政、政治、都市戦略という観点からスタジアム問題を整理してきた。ここで再び、視線を秋田に戻すことにしたい。
「県外から見ると、かなり揉めているように見えるかもしれません。でも、県知事と市長から『どうやって整備するか』について意見が出ているということは、それだけ議論が動いているということですよ」
そう語るのは、ブラウブリッツ秋田の番記者、竹内松裕である。J3に昇格した2014年からクラブを追い続け、チーム事情だけでなく地域社会との関係も含めた秋田のサッカーを見つめてきた。ゆえに現在のスタジアム議論について、竹内は外部の印象と異なる見方を示す。
「避けて通れないお金の話をするにあたって、落としどころを見出すには、本音で意見を言い合う必要があると思います。県、市、クラブの3者協議はこれからですが、県と市が腹の探り合いではなく、それぞれの立場で率直な意見を交わしているのが現状。そのことについて、僕はポジティブに捉えています」
市長の沼谷に対する評価についても、竹内の見方は決してネガティブなものではない。
「2025年の春に県知事選と秋田市長選が同時にあって、2人の新しい首長が就任しました。その経緯もあって就任当初は、これまでのスタジアム整備の議論がしっかり引き継がれるのか、もっと言えば、ライセンスの件で動きがなくなるんじゃないかという心配もありました」
新市長が就任したのは、2025年4月12日。クラブライセンスの提出期限は6月末であった。結果、どうなったのか。竹内の話のつづきは、これまた県外の人間からすると、いささか意外なものであった。
「実は沼谷さん、Jリーグ側とも直接話をして、2031年8月をめどとする新スタジアム整備のスケジュールを説明するなど動いてくれたんですよ。あまり知られていないですが、去年はここ数年で一番、ライセンスの心配をしなくてよかったという印象があります」
そうなると、今回の敵対的な状況というのは、いったい何なのか? Jリーグ側から発せられたとされる「志が低い」がよほど腹に据えかねたのか。それとも単に、地元メディアが煽っているだけなのか──。こればかりは現地に赴き、当人に話を聞くほかないだろう。
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