紅茶に甘いものは欠かせない(写真はイメージ)【写真:PIXTA】
なにげない季節のイベントには、その国の文化や価値観がさりげなく表れます。日本では当たり前のホワイトデーも、イギリスでは少し違った受け止められ方をするようです。そこから見えてくるのは、紅茶とともに日常に溶け込む甘いものの存在。イギリス在住経験があるフードジャーナリストの斎藤理子さんが、紳士たちのチョコレート事情から、イギリスならではの甘いもの文化をひも解きます。
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ホワイトデーに驚くイギリス人
3月になると、日本ではホワイトデーの話題をよく耳にします。バレンタインデーのお返しをするこの習慣は、日本発祥のもの。バレンタインデーに女性が男性にチョコレートを贈るのは、日本独特の習慣であることはもうすでに広く知られていますよね。
イギリスでも、バレンタインデーはカップルにとっては一大イベントですが、一般的には男性が女性にプレゼントします。チョコレートやクッキーを添えた赤いバラの花束を贈るのが定番。これは老若男女、未婚、既婚を問いません。
チョコレートである必要もまったくなくて、相手が好きそうなお菓子とかワインとかを贈るのが普通です。バレンタインが近くなると、ロンドンの街中はハートのモチーフやイルミネーションに埋め尽くされます。
バレンタインデーのお返しをする習慣がないイギリス人に、ホワイトデーの話をすると大層驚かれます。バレンタインデーは、カップルが仲良く過ごす時間を一緒に持つことで完結するからです。でも、イベント好きな日本人は、それが商魂たくましい企業などの仕掛けだとわかっていても、盛り上がるチャンスは逃さない国民性なのだと思います。
紅茶の数だけ甘いもの
前置きが長くなりましたが、今回はイギリス人の甘いもの好きについてです。
イギリス人の紅茶好きは有名です。オフィスでも家でもことあるごとに紅茶を飲み、そのたびにチョコレートやクッキー(イギリスではビスケットといいます)など何か甘いものをつまみます。1日中紅茶を飲んでいるので、1日中甘いものを食べているということになりますね。
日本には「おめざ」という言葉があり、朝起きたときに食べるお菓子のことを指します。イギリスにもこの「おめざ」はあり、田舎のホテルやマナーハウスに宿泊すると大抵、朝に熱々の紅茶とビスケットが運ばれてきます。これは家庭でも一緒で、多くの人の1日が「おめざ」から始まり、寝る前のチョコレート(ミントチョコレートが多い)まで続きます。