
卓球
2026.02.28
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王者の看板は時によろいとなる。卓球女子団体で県高校新人大会13連覇を達成した明豊は、その重みを背負いながら戦ってきた。県内では「絶対に負けられない」が前提となる。対戦相手は打倒・明豊を掲げて挑んでくる。頂点を守る戦いは、挑戦者でいるよりもはるかに難しい。
県新人大会は苦戦した。他校には小中時代から実績を積んできた選手が並ぶ。それでも団体戦になれば明豊が強い。その自負がある一方で、選手たちの体はどこか硬かった。勝って当然という空気が、無意識のブレーキになる。松本香織監督が「少し硬くなっていた」と振り返る通り、試合は手堅く慎重だった。
重圧から解放され、全国選抜で上位を目指す
空気が変わったのは九州新人大会である。夏まで3年生が中心だったチームは、2年生と1年生が主役となる新体制へ移行した。自分たちで点を取り、自分たちで勝つ。その実感を初めてつかんだ大会だった。試合を重ねるごとに動きは軽くなり、「自分たちで勝っている」という感覚が自信へと変わっていく。準決勝まで順調に勝ち上がり、決勝では宿敵・自由ケ丘(福岡)に敗れたものの、準優勝という結果以上に得たものは大きい。
2年生の佐藤凛桜は言う。「決勝は力を出しきれなかったが、全体的には力を出せた。今年のチームはいい意味で上下関係がない。とにかく明るい」。練習中から何でも言い合える関係性が、コート上の思い切りにつながる。全国選抜大会では「自分が主役になる」と宣言した。その言葉には強い覚悟がにじむ。
象徴的なのが、2年生4人でキャプテンを回すという試みである。強烈なリーダーが先頭に立つ形ではない。試合に勝つだけの責任だけでなく、まとめる責任も分担する。人任せにしないための仕組みだ。松本監督は「自分たちが中心だという自覚を持たせたい」と語る。全員で支え合い、全員で前に出る。女子チームらしい連帯の形が今年の色である。
交代制でキャプテンとなる2年生
戦力面でも個性は際立つ。1年生の荒木くららは、相手の嫌がる配球と用具の特性を生かし、じわじわと崩す職人型。派手さはないが、確実に流れを引き寄せる。一方、エース候補の椎原黎はボールの回転や試合展開への対応力が光る。懸念材料である決定力を研ぎ澄まされれば、全国でも通用する柱となる。ダブルスは安部七葉(2年)を軸に荒木、椎原を組み合わせ、相手によって最適解を探る。団体戦の妙味を熟知した布陣である。
課題は明確だ。松本監督は「守備力とサーブレシーブの質をもう二段階引き上げないと全国上位校には勝てない」と言い切る。ラリーの安定感、一本を取り切る決定力、流れを断ち切るサービスの強度。どれか一つでは足りない。全国の強豪は隙を逃さない総合力を備えている。攻撃の精度を安定させ、苦しい展開でも崩れない土台を築けるか。九州でつかんだ自信を、全国選抜大会(3月22日〜25日・新潟県)で通用する武器にまで磨き上げられるかどうか問われる。
(柚野真也)
