2026年2月26日配信
今年度の入試問題の特徴や難易度を分析
2月26日、令和8年度(2026年度)埼玉県公立高校入試学力検査が実施されました。
今年度の問題や難易度はどうだったのでしょう。以下、教育ジャーナリスト梅野弘之氏監修のもと、塾講師が教科ごとに問題構成、出題内容、配点、難易度等について見ていきます。

【国語】
大問構成と配点は大きな変更はありませんでした。ただし、大問3(論説文)の問2の記述問題は6点となり、昨年度より1点減少しました。その一方で、問4の選択肢の問題は5点となり1点増加しています。
大問1(長文読解・小説)は実石沙枝子著「踊れ、かっぽれ」を題材とした問題です。出題内容は登場人物の様子や心情などを問うもので例年通りでした。問題構成は小問5問、うち記述が2問で例年通りです。選択肢の問題は場面の移り変わりや主人公の心情の変化に注目して読み進めれば正解の根拠は見つけやすかったはずです。問2(6点)、問4(7点)は二つの指定語を使って説明する記述問題ですが配点が高いので差が付きそうです。問5の選択肢は、昨年の過去問演習に取り組んでいた生徒であれば、体言止めに着目できた可能性があります。
大問2は主に知識問題といわれるものです。問1の漢字の読み・書きは特に難しい問題はありませんでした。対話文の問題の中に組み込まれた形は昨年同様です。問2は身近な場面をもとに、話し合いの流れと合意内容を正しく読み取る問題です。対話文の問題の中に、文節の関係を問う問題、熟語の問題が組み込まれています。
大問3(長文読解・論説文)は、吉岡洋著『AIを美学する なぜ人工知能は「不気味」なのか』を題材とする問題でした。文章量も例年同様で、比較的読みやすかったと思われます。小問5問のうち2問が記述という構成は例年通りです。問2(6点)、問5(7点)は二つの指定語句を使って45字以上、55字以内で説明する記述問題ですが、過去問等で対策をしてきたかどうかで得点差につながりそうです。
大問4(古文)は「宇治拾遺物語」を題材とした問題でした。小問は4問です。問2は例年同様、現代仮名遣いの問題です。長年続いている傾向のため、対策ができた受験生も多かったのではないでしょうか。主語を問う問題も例年通りです。
大問5(作文)「緑との関わり」について2つの資料から自分の考えを書かせる問題でした。身近な題材であったため、自身の体験を踏まえて書きやすい内容だったとみられます。書き方の条件等は例年通りでした。時間をかけ過ぎず注意事項に従って書くことができれば、高得点を取れるでしょう。
難問は少なく、平均点は昨年並みと予想されます。(柏葉直人)
【数学・学力検査問題】
学力検査問題は、大問が4問出題され、問題構成や配点ともに大きな変化はなく、例年通りでした。
大問1は例年通り計算問題を中心に各単元から幅広く出され、配点65点も変わりません。(15)の三平方の定理の問題は計算が少し複雑なため時間がかかったかもしれません。また、(16)の問題は一見難しそうに見えますが、面積を求めるだけの問題で、比較的解きやすい問題でした。
大問2は作図と証明、大問3はダイヤグラム(1次関数)の問題、大問4は箱ひげ図の問題でした。大問2の作図も証明も今年度は教科書の基本問題程度の解きやすい問題でした。 大問3は、関数が苦手という人は一見難しいと感じたかもしれませんが、(1)(2)は十分に解ける問題だったと思います。また、大問4は箱ひげ図の読み取りの基本的な問題でした。諦めずにチャレンジした人は得点につながったのではないでしょうか。
全体的に応用問題が少なかったため、学力検査問題の平均点はやや上がるのではないかと予想されます。
【数学・学校選択問題】
学校選択問題は、大問が5問出題され、問題構成や配点も大きな変化はなく、例年通りでした。
大問1は例年通り計算問題を中心に各単元から出題され、難易度は高くなく、取り組みやすい問題が多かったようです。
大問2は作図と証明でした。作図はさほど難しくはありませんでしたが、証明問題は一度合同を証明してから相似の証明をするという問題だったため、少し時間がかかってしまった人がいたかもしれません。
大問3はダイヤグラム(1次関数)、大問4は箱ひげ図、大問5は空間図形の問題でした。どの問題も比較的解きやすい問題でした。落ち着いて取り組めば得点につながったのではないかと思います。
難しい問題にとらわれずに、大問1、2や後半の大問の(1)など比較的難易度の低い問題を確実に解けたかどうかが鍵となりそうです。
学校選択問題も全体的に難易度の高い問題は少なかったため、平均点はやや上がるのではないかと予想されます。(木下絢一)
【社会】
大問構成はこれまでと同じでした。また、大問ごとの配点も昨年同様でした。
出題傾向は今までと大きく変わりはありませんでしたが、来年度のマークシート方式導入に向けてか、用語を記述で解答する問題が6問から4問に減るなどの変化がみられました。
大問1の問1は、例年と同じく六大陸三大洋からの出題でした。この傾向は長く続いているため対策ができていた人も多かったと思います。
大問2では、雨温図の問題が出題されました。今年は世界地理でも雨温図が出題されているので、雨温図の読み方をしっかりと学習をした人は、高得点が取れたのではないかと思います。地形図を読み取る問題は、ここ数年と同じ写真を使った問題でした。設問から地形図全体を読み取り、そこから想像力に働きかける問題となっており、知識をどれだけ活用できるかが鍵になりそうです。
大問3では、問3は昨年度から出題されている歴史書を使った問題でした。前後の文章をよく読むことで答えをつかめますが慣れていないと難しく感じたかもしれません。
大問4では、昨年に続き歴史の流れを図解したステップチャートの問題が出題されました。これまでの並び替えの問題の代わりに、ステップチャートによる問題が定着してきたようです。
大問5では、トゥールミン図式の問題が初めて出題されました。新しい出題傾向ではありますが、問題そのものは知識をしっかりと持っていれば解ける問題でした。形式に惑わされずに冷静に取り組めたかがポイントになりそうです。問6ではベンチャーやイノベーションなどの用語が出題されていました。聞きなれない言葉に迷いが生じた人がいるかもしれません。最新の情報にも目を向けることが必要不可欠になってきています。
大問6では、例年通り4つのカードを見て答える形式の問題が出題されています。今回は過疎問題や農業問題など、地域や文化を通して現状の課題解決に向けた問題となっていました。4枚のカードがSDGsを前面に出した問題が多かったので、少し戸惑ったかもしれませんが、落ち着いて解けば、解けたのではないかと思います。
記述問題(文章で答える)は自分の考えを言葉にできたかどうかで差がつきそうです。
社会の平均点はここ数年、65点前後となっています。例年と同じ傾向の問題であることと、選択肢の問題が若干増えたことなどを踏まえると、昨年と同じかやや上昇しそうです。(根岸孝之)
【理科】
大問構成と配点は昨年と同じでした。記述式問題のうち1題が、「計算の過程や考え方を記述する」形式に変更されました。平成31年度入試以来の出題です。
大問1は各分野からの小問で構成され、基礎的な用語や知識を問う問題が中心でした。地学・生物・化学・物理の各分野から2題ずつの出題で、取り組みやすい問題がある一方で、仕事率の計算問題も出題されました。
大問2から大問5は地学・生物・化学・物理の各分野からの出題です。会話場面や実験、観察、ノート、発表などを題材として問いが展開されており、長めの問題文や多くの図表を丁寧に読み取る必要があり、時間がかかります。
大問2は、「気圧と大気の動き」に関する問題でした。大気圧から力を求める問題やアネロイド気圧計の仕組みの問題と見慣れない出題もあり、差がつきやすかったと思います。
大問3は、「植物の吸水と蒸散」に関する問題でした。顕微鏡の問題や実験の結果から蒸散の特徴をまとめる問題が出題され、しっかり演習を積んできた生徒にとっては得点しやすい出題でした。
大問4は、「酸とアルカリ」に関する問題でした。化学反応式の出題は、塩酸と水酸化ナトリウムの反応に関するもので、頻出の典型問題であったため、得点できた生徒も多いと思います。一方で、問5の発表をまとめた記述問題は、取り組みづらい生徒もいたかもしれません。
大問5は、「音の性質」に関する出題でした。問4と問5の計算問題は苦労した生徒が多いかもしれません。また、計算過程を記述する問題は久々の出題であり、対応できなかった生徒も多かったと思います。
平均点は、昨年は64.8点と高水準でした。今年は昨年より下がる可能性が高いですが、過去数年単位でみると標準的な水準になると予想されます。(山本直登)
【英語・学力検査問題】
学力検査問題は、問題構成や配点において大きな変化はありませんでしたが、昨年度の問題に新たに登場した「年号を答える問題(正答率9.2%の難問)」は姿を消し、代わりに下線部を表すイラストを答える問題が追加されました。
大問5の英作文のテーマは「教室で先生や友達と学ぶことと、家で動画を見て学ぶことのどちらが好きか」と、今までに作文や議論の題材になったことがありそうな話題で、書きやすいはずです。
次に平均点に関してです。前提として、昨年度の学力検査問題の平均点(43.6点)は過去10年で最も低い点数です。それに加えて、昨年度は大問4・読解、大問5・英作文において、正答率が5割を超えた問題が全くなく、後半部分の難易度が特に厳しい構成でした。前述した新傾向の難問がなくなり、かつ、昨年度とほぼ同じ問題構成になっているので、昨年並み、またはやや上昇する見込みです。
【英語・学校選択問題】
学校選択問題は、問題構成や配点に関しては学力検査問題と同様に、年号を答える新傾向の問題がなくなった以外、大きな変化はありませんでしたが、大問3の問6は選択肢が正しい組み合わせを選ぶものになっていました。答え方のみ、昨年度の新傾向の問題を踏襲していたと言えます。
大問4の英作文のテーマは「学校内の掃除を生徒がすべきかどうか」と、学力検査問題の英作文と同様に書きやすいものでしょう。
最後に、平均点予想ですが、学校選択問題は学力検査問題と比べて平均点の上下の幅は小さく、導入された2017年度から昨年度までの合計9回で、平均点が55点~60点前後に収まらなかったは2回だけです。その2回は2017年度、2019年度ですので、直近になるほど安定していると言えます(昨年度は57.0点)。そのため、今年の平均点も昨年並みになると予想されます。(野口純)

=「埼玉新聞社 高校受験ナビ」オリジナル記事=
関連記事
【受験状況】令和8年度埼玉県公立高校入試