<今回のポイント>1月20日火曜日のグローバル市場は売りが優勢となり、欧州株式は下落幅を拡大、米国株式先物も下落を示唆した。デンマークは、グリーンランド問題に直面して潜在的な関税引き上げへの影響度が高まっていることから、投資家の注目が集まっている。安全資産とされる金と銀は過去最高値付近まで上昇した。

モーニングスター欧州株指数は週明けから下落を続け、20日火曜日の終値時点で週間ベース1.9%の下落となった。モーニングスター北欧株指数は、一時売りに押されたものの反発し、20日までの週間下落幅は2.1%に収まった。

Morningstar 米国株指数は、火曜日の米国市場通常取引開始後に1.3%下落した。アジア株も前日の売りに抵抗はみられたものの、結局下落して引けた。

米国株式市場および債券市場は、マーティン・ルーサー・キング・Jr.記念日のため19日月曜日は休場だった。つまり、米国投資家にとって異例のニュースの多い週末と、米国と欧州間の貿易摩擦の激化に反応する最初の機会は休み明けの20日火曜日となった。

モーニングスターの欧州市場チーフストラテジスト、マイケル・フィールドは次のように述べる。「新年を好調なスタートで迎えた株式市場にとって、米国政府による自傷行為ほど迷惑なものはない」。

この株式市場の下落は、ドナルド・トランプ米大統領の「グリーンランドの支配権の変更に同意しなければ、米国は欧州諸国からの輸入品に新たな関税を課す」との発言が端緒となった。 トランプ大統領はデンマーク(グリーンランドの主権国)に対し、2月1日から米国への輸出品に10%の関税を課すと発言したのである。ノルウェー、スウェーデン、フランス、ドイツ、英国、オランダ、フィンランドに対しても同様に10%の関税が適用され、合意に至らない場合は6月に25%に引き上げるとした(21日にはSNSで8ヵ国への課税は撤回すると表明)。

さらに、トランプ大統領は自身が提案したガザ平和評議会へのエマニュエル・マクロン仏大統領不参加との報道を受け、フランス産ワインとシャンパンに200%の関税を課すと警告。さらに過激な発言を展開した。また、英米の軍事基地が置かれているチャゴス諸島の主権をモーリシャスに返還する計画について英国を激しく非難し、この動きを「とんでもない愚行」と批判した。また、これが米国がグリーンランドを取得する正当化性を補強するとも主張している。

モーニングスターのフィールドは、「市場はこのニュースに対し慎重な姿勢を取り、下落で応えた。しかしこれは周到に計画された経済的な領土拡大政策ではなく、欧州が米国のグリーンランド政策に反発して過剰反応したものだ。以前の解放記念日関税と同様、今回も最高裁判所の判断を受ける必要があり、合法ではないとされればトランプ政権は再考を迫られる」と指摘した。

世界中の投資家が米国と欧州の間の緊張がどのように展開するかを見極めているが、三菱UFJフィナンシャル・グループのシニアエコノミスト、ヘンリー・クック氏は、市場はこの1年間でトランプ氏の脅しに過剰反応しないことを学んだと指摘している。同氏はまた、法的根拠の不透明さが依然として大きいと強調した。「トランプ氏の場合、これまでと同様に大雑把な話であり、どのような法的枠組みが用いられるのか、またこれが既存の米国の報復関税とどのように関連するのかは明確ではない」。

デンマーク株式は特に関税引き上げに敏感

ダンスケ銀行のクロスアセット戦略責任者であるビャルネ・ブレンホルト・トムセン氏は、欧州がより孤立した関税ショックに直面した場合、シワ寄せはデンマーク市場に現れると考えている。

「当社のエコノミストによれば、もし関税が10%ポイント引き上げられると、欧州の成長率は最大0.25%ポイント低下する可能性がある。ただし、これは最悪のシナリオであり、実際の影響はずっと限定的だろう」とトムセン氏は述べ、主な脆弱性はデンマーク株にあると付け加えた。

トムセン氏によれば、「多くの外国のポートフォリオ・マネジャーにとって、デンマーク株式は主要なベンチマークではない。上昇余地は限られおり、トランプ大統領の行動が特定企業への個別措置、制限、あるいは関税強化へとエスカレートした場合、売り圧力が生じる可能性がある。これはデンマーク株式市場の規模に対して不釣り合いなほどの重圧となる恐れがある。こうした状況をふまえて、一部の外国投資家は現段階でエクスポージャーを増やすよりも、傍観を続ける可能性がある。当社は、これは注視すべき重要な領域だと考えている」。

金・銀は引き続き上昇、米ドルは弱含み

米国と欧州連合(EU)間の貿易戦争の可能性に対する懸念の高まりを受けて、市場は総じてリスク回避ムードにある。投資家の資金は、安全資産を求めて商品市場になだれ込んでいる。金と銀は20日取引時間中にそれぞれ1オンスあたり約4,712ドルと94ドルと、過去最高値に近い値をつけた。

一方、米ドルは引き続き軟調に推移し、貴金属相場をさらに押し上げた。ユーロは19日の1.16米ドルから上昇し、一時1ユーロ=1.17米ドルを 付けた。

アクティヴトレードスのシニアアナリスト、リカルド・エヴァンジェリスタ氏は「不確実性が投資家たちのセンチメントを支配し、米ドルが弱含みの状況では、金価格にはまだ上昇余地があるかもしれない」

一方同様に安全資産とされている長期米国債は、安全資産とは逆の動きを見せて下落した。米国債10年物の利回りは、16日金曜日の4.24%から4.28%へ上昇した。◇

※ 本稿はモーニングスター(北欧)の記事「Stocks Fall as Trump Escalates Tariff Threats Against Europe」をモーニングスター・ジャパンが翻訳したものです。原文と翻訳に相違がある場合、原文が優先されます。

著者はこの記事で言及されたいかなる有価証券も保有していません。詳細はこちらをご覧ください:
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