【ポイントを見る】無視されたベッセント長官の「忠告」、日銀は利上げにたどり着けるか

■今回も2人の委員が利上げ提案

日銀は、10月30日、政策金利を0.5%で据え置くことを決めました。決定会合では2人の委員が「概ね物価目標を達している」などとして反対、逆に0.25%追加利上げの提案を行いました。構図は、前回9月会合時と同じ、その意味で利上げ派への同調は広がりませんでした。

あわせて日銀は、経済・物価の見通し(展望レポート)も公表しましたが、消費者物価の見通しは、7月公表時と全く変わらず、認識も、政策もいわばフリーズ状態だと言えるでしょう。

元来、金融緩和論者で、金融政策についても「責任は政府にあり、日銀はその手段を決定するもの」と主張する高市総理大臣の誕生で、いきなり利上げが行われるとは考えられず、結論としては、大方の予想通りで、「常識的」だったと言えるかもしれません。

■ハト派的とみられた植田総裁会見

焦点は、「今回」よりも、むしろ「今後」にありました。しかし、決定会合後の植田総裁の記者会見は、「踏み込み」の弱いものでした。植田総裁は「予断を持っていない」などと、慎重な表現を使う場面が目立ち、12月或いは1月の利上げに、「前向き」な印象を与えることを極力避けました。

また、焦点の為替市場についても、円安への懸念を表明することもなく、淡白な印象でした。もちろん、日銀総裁が直接、為替市場の動きに言及することはご法度ですが、それでも、「円安の物価への影響を注視している」といった表現は可能なわけで、金融市場では、植田会見は「思った以上にハト派」という受け止めが広がりました。

■植田会見を機に円安加速

この日、1ドル=152円台だった円相場は、植田総裁の記者会見中にどんどん円安が進み、一時154円台へと、8か月ぶりの水準まで値を下げました。高市氏が自民党総裁に決まったサプライズで円安が進んだ際は153円台前半でしたから、あっという間にこれを突き抜けたのです。

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