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2025.10.28 16:00
塚本直樹、田中好伸(編集部)
米Space Exploration Technologies(SpaceX、スペースX)が提供する衛星ブロードバンドサービス「Starlink」(スターリンク)が、ウクライナの地上で稼働する無人兵器の性能を制限していると、米メディアSpace.comが報じている。
過去1年間、ウクライナは物資の輸送、負傷者の避難、ロシア軍への攻撃のために何千もの、車輪で移動するロボットである無人地上車両(Unmanned Ground Vehicle:UGV)を配備してきた。しかし、Starlinkが提供できる帯域幅が限られている(10Mbps)ため、UGVから送信される映像は低下しがちだ。
「速く運転したい場合、ロボットを制御できるようにするには、少なくとも毎秒30フレームのフレームレートが必要だ」と、ドローンスタートアップであるHulessの最高経営責任者(CEO)であるVadym Burukin(ヴァディム・ブルキン)氏は語る。「もし毎秒10フレームしかなく、UGVが素早く動いている場合、地雷原や木に突っ込んでしまう可能性が非常に高い」
Starlinkによる通信網は開戦当初からウクライナにとっては必要不可欠なものになっている。兵士たちの通信を維持するだけでなく、UGVやドローンなどの誘導にも活用されている。一説によると、ウクライナでは最大20万台のStarlink端末が稼働しており、欧州で最大のStarlinkのユーザー国という。
特に前線では多数のStarlink端末が稼働している。そのため、UGVの移動速度は時速約10キロメートルに制限されている。「これはかなり遅い。少なくても時速20キロメートルは必要だ」
Starlinkが提供する帯域幅が限られるという問題を解決するためBurukin氏らは、弱い無線信号を増幅して到達範囲を広げる信号中継器を搭載し、高さ150メートルまで上昇する有線(テザー)ドローンを開発した。「地上から地上への通信範囲は、わずか数キロメートルだ」と同氏は語る。「空中に中継器があれば、この範囲は40キロ以上に拡大する」
AI(人工知能)を活用した自律航法システムが、意図的な妨害(ジャミング)や信号問題から軍用ロボットを守っている。ウクライナの技術者は今後数年間で、AIが最前線の活動のほとんどを引き継ぐようになると期待している。
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Space.com
