(8月8日)●知事「いまの各団体の運営とかに大きな不安があって変えたいと思っているわけでは決してないが いまの指定している団体以上に良い団体がないんだということを公募というプロセスを通じてテストを通じて客観的に担保したい」

ことし7月。県が県政運営指針の改定案の中で突如示したのが県立文化施設の公募化です。

利用者数が年間5万人以上の牧野植物園や高知城歴史博物館、美術館など5つの施設が対象で、施設を管理・運営する文化財団や牧野記念財団などの外郭団体を「自律性向上団体」と位置づけ、これまでのように県が直接、各団体をその施設の管理者として指定するのをやめ、広く公募する方針を発表しました。

県の狙いはより付加価値のあるサービスの提供や職員の所得向上を図るため事業の実施や利益の使い方の自由度を上げ各団体の創意工夫を促そうというもの。

そして税金が投入される施設である以上、公平性の観点から、管理・運営団体を広く公募することにしました。

しかし「公募化」という点に波紋が広がりこれまでの調査や研究の継続性を不安視する声が施設の職員たちから上がったのです。これに対して濵田知事は。

●「そんなに畏縮をして心配して黒船が来たらたちまち 丸焦げにされるというような心配や懸念をする必要はないのではないか 自信をもってしっかりやっていただきたい」

県にとって公募化はあくまで施設運営の自由度を高めるための大義名分であり公募によって施設の管理者が変わる可能性は低いと考えていました。

そもそも県の公募化の提案のきっかけは2024年2月議会で、ある施設の職員の大量離職について議員から質問があったことでした。

●知事「特に職員の処遇改善が一部の団体で進んでいなくて離職が進んでいると もっと県の縛りを緩和して処遇改善などもできるようにということを中心に外郭団体の改革が必要ではないかと」

離職が相次いだのは高知市の牧野植物園。園では2024年、中途退職者が5人いてそれ以前も年間で平均4人ほどが離職し、ほかの施設に比べて低い給与が一因になっているといいます。

県の元・文化生活スポーツ部長で2025年4月から牧野記念財団理事長の岡村昭一さんです。

●岡村理事長「処遇が低いというか 処遇をひとつの理由として挙げる人は多い」

理事長の岡村さんは県に対し職員の処遇改善を訴えさらに想定よりも売り上げが増えた際に発生する剰余金の返納を免除してもらえないかと陳情。

これに対し県は2025年度分から代行料の人件費分を増額し、剰余金の返納についても半額としましたが同時に公募化の話が持ち上がりました。

●岡村理事長「県の理屈としては県民への説明とか県議会に対する説明上 公募を経ないと 競争を経ていないとそういった一連の措置が取れないということであればそれは致し方ない」

県が公募化の方針を示してから1か月あまりたった8月下旬。

(8月29日)●「主な意見として慎重論というか反対論としての論点は大きく2つ 1つは文化施設に収益性を求めることについての反対意見 もう1つがいまの直指定から公募方式への切り替えにより学芸員の雇用の不安が生じるのではないかと」

この公募化について県民に広く意見を聞くパブリックコメントは1か月間で異例のおよそ300の個人や団体から800件近くが集まり、批判が相次ぎました。

これを受けて濵田知事は各団体へのより丁寧な説明と職員の雇用継続を公募の際の条件とすることに言及しました。

●「仮に公募によって管理者が切り替わるというときには雇用の継続を担保するような措置を考えるということを提示していく」

その5日後。県の総務部長など9人が美術館や坂本龍馬記念館を運営する県文化財団へ説明に訪れました。

(県説明3日)●清水敦総務部長「文化をないがしろにしようというつもりは全くありませんし それを機に予算を削減しようとかそういう意図もありません 今回しっかり説明させてもらい職員のみなさんに納得してもらいたい」●鎌倉昭浩理事長「総務部長がこうして外郭団体に直接出向くということがいかにイレギュラーであるかということは元県職員として十分承知している そういう意味でわざわざ足を運んでもらいありがとうございます きょう少し説明を聞かせてもらった上で我々なりの想いというのを少し伝えさせてほしい」

このあと会は非公開で行われました。

●「少しこちらの説明が足りなかった部分があったと思う 今回の説明で一定補えたのではないか 今回役員のみなさんに説明させてもらったが職員のみなさんがその裏にたくさんいるので そのみなさんにもしっかり理解してもらいたい」

会に参加した県立美術館の安田館長です。

●安田館長「県が公募化したいという意図は理解できた?」「できる部分とできない部分があるというか 同じ団体が長年ずっと指定管理(直指定)でいるということに対する疑問が生じるのは確かに無理からぬことではあるが 逆に美術館や博物館といった文化施設はその活動がみなさんに見えているわけで そういうみなさんにとって過去30年間 私が来る前の高知県立美術館どうだったのかと」

安田さんは会の中で総務や広報のみを公募などとする部分指定方式を提案したといいます。

●「学芸を中心とした専門的な部分は直営で残しつつ 管理・総務・サービス・広報といった部分を指定管理者で公募なら公募で 場合によっては民間団体 それによって民間の広報やサービスのノウハウを取り入れる部分指定方式 この辺がベターだろうというのが(全国的に指定管理の)制度導入20年あまり経って大体見えてきているところ 高知県の今回の方針というのは(全国的な流れの)反対を行く方向だというところでは意見を申し上げた」

県文化財団は1993年の美術館開館と同時に県に管理運営を委託され2006年に指定管理者制度が導入されてからも直指定を受けてきました。現在の第5期の指定管理期間は2029年3月まで。公募となれば3年後には入札となる見込みです。

●「博物館・美術館は次の時代まで伝えていくという役割がある その継続性 しかもその質を伴った継続性 それが運営母体や働いている人たちが入れ替わることによってどう変わるか 不安要素が出てきたということについて職員も不安を感じて仕方ない」

現場で働く職員には不安と不信感が広がっていました。

●「100年先とか未来の人が見たときによく資料を守ってくれたという風に思われるような仕事をやっていきたい」●「わたしはもうあきらめた あきらめます だってこんなに信用されてなかったっていうのをはっきり言われたようなものですから」

事業の自由度を上げ職員の所得を増やせるようにという県の狙いと文化を守り残す仕事が継続できなくなるのではと不安を抱く現場の職員たち。それぞれの思いとはー。

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